【4437】私は全般性不安障害なのか、うつ病なのか、統合失調症なのか
Q: 20代女性です。
小学校4年生の頃から学校生活に馴染めず、自分の髪の毛を抜く癖があり、皮膚科で抜毛症だと診断されていましたが、親からの医療ネグレクトにより、それ以降病院やカウンセリングのようなことは受診したことがありませんでした。中学や高校にある相談室を2,3回利用したことがありますが、自分の話をなかなかすることが出来ず、具体的な支援にはつながりませんでした。
小学生のころから中学生のころまで色々な友達グループからいじめを受けており、関わってきた先生方からも全てそれを無視され続けてきたので、その頃から強い自責感や希死念慮があり、自殺未遂やオーバードーズなどがやめられません。
大学に入ってから、自分のスマートフォンやPCからクラウド上に保存してある写真データや大学での講義内容、レポートなどの情報が著作権侵害にあたり、それが監視されていることで法律違反がバレて、自分が逮捕されてしまうのではないかという妄想により判断が出来ないまま大量のデータを削除してしまったり、大学で自分が重要な規則に知らずに違反してしまったことで取得していた単位が全て取り消され、採用されている奨学金が廃止され、全て返金しなければならなくなることで、貯金が底を尽きてしまうのではないかという罪業妄想と貧困妄想が止められず、また、普段できていたはずの文字を読むことや絵を描くことなどの日常的な行動が出来なくなり、大学を休学して精神科を受診しました。
私にはアルコール依存症の父と、統合失調症歴18年の母と、自律神経失調症と抑うつの既往歴が過去にある姉妹が一人います。
最初に受診した精神科では母親の統合失調症の遺伝で、統合失調症の前駆症状だという診断でした。不安症状もあったので、リーゼとソラナックス、ミルタザピン15㎎、レキサルティ2mg、ベルソムラ10㎎、ロゼレムを服用していました。
事情があって転院し、心理検査を行ったところ、ロールシャッハテストによる結果により、人格の統合水準が低く思考障害があり、そのことにより知的能力は低くないが知的生産力や現実吟味力が低く、重度の神経症か精神疾患の可能性があることから、統合失調症は否定できないという診断でした。しかし、統合失調症を持っている母親は自身の経験から私が統合失調症であるという診断に強い拒否を示しており、そのことから医師の判断により、抜毛症を持っていたことを根拠に、全般性不安障害という診断になりました。現在は減薬しミルタザピン15㎎と不眠症状が強まったためベルソムラ20㎎、レキサルティによるアカシジアが出たのでレキサルティは1㎎服薬しています。前の病院では希死念慮があることを伝えていましたが、自分の話をすることが苦手で、希死念慮があることを伝えられておりません。
最近の状況としては、家族との折り合いが悪く受診時以外は地元を離れて一人暮らしをしています。しかし、セルフネグレクトがひどく、毎日薬を飲むことや、清潔を保つこと、栄養バランスのとれた食事を摂ることが出来まん。強い自責感や希死念慮は常にあり、自分は他人と適切なコミュニケーションが取れないのではないかという不安から、家族との最低限の連絡以外、他人とのかかわりを持つことが出来ません。これらも今の主治医には伝えられていません。今文章を入力していて、自分が支離滅裂なことを書いているのではないかというのも不安でなりません。また、先ほど申し上げましたように医師の判断で全般性不安障害だと言われていますが、これが本当は自分が統合失調症などの別の病気である場合、今後自分が全般性不安障害であることで診断書を作成してもらったり、それを提出したりすると偽造罪で逮捕されてしまうのではないかなどの妄想が止められません。家族からは「医者もお金をもらって判断しているのだから堂々としていればいい」と言われますが、誰も信用できないので安心できません。また、妄想症状が酷くなっているのか、アパートの隣室や上の階から水を使う音が聞こえるたびに、自分の部屋で水漏れが発生していて、近いうちに多額の水道料金の請求がきて自分が破産してしまうのではないかだとか、明日にでも自分の貯金が全てなくなり、大学を辞めないといけなくなるのではないかという妄想が頭の中にあります。これも誰にも言えていません。幻聴や幻覚などはありません。
私は本当に全般性不安障害という診断でいいのでしょうか。それともうつ病でしょうか、統合失調症でしょうか。
林: 統合失調症の可能性が最も高いと思います。全般性不安障害の可能性はほぼゼロです。
患者に対する医師の責務は治療であって、正しい診断名を告げることではありません。この【4437】は、治療を継続するためには統合失調症という診断名を告げることは不適切で、全般性不安障害という偽りの診断名を告げる必要があったことがほぼ明らかです。これは精神科の臨床ではよくあることで、実際は統合失調症であってもうつ病という診断名を告げられていることもよくあります。精神科では病名告知そのものが治療の一部といえる要素もありますから、正確な診断をすることはもちろん必須であっても、当事者やご家族にどのような診断名を告知するかについては別次元の配慮が必要であると言えます。
精神科Q&Aは医療相談ではなく、単に事実を回答するものですから、そのような配慮は一切行いません。この【4437】は統合失調症の可能性が最も高いです。全般性不安障害が偽りの診断名であることは明確です。
なお、ご懸念の件、すなわち、
医師の判断で全般性不安障害だと言われていますが、これが本当は自分が統合失調症などの別の病気である場合、今後自分が全般性不安障害であることで診断書を作成してもらったり、それを提出したりすると偽造罪で逮捕されてしまうのではないか
については、そのような心配は一切ありません。質問者が嘘の症状を報告して医師に診断書を書かせたわけではありませんから、診断書の病名が事実でないことについて、質問者に責任は一切ありません。
(2022.1.5.)