【4389】解離性障害へのラミクタールの効果を実感しています(【3323】【3339】【3359】【4368】のその後)

Q: 【3323】自分が2人いるように感じます【3339】解離性同一性障害に発展する可能性は高いですか【3359】ほかにも忘れていた症状がありました【4368】解離性障害がラミクタールで劇的に改善しましたの30代女性です。 私の質問にご回答いただきありがとうございました。解離性障害に対応する脳内変化がラミクタールの薬理作用によって改善した可能性が最も高いとのこと、大変勉強になりました。ラミクタールの減薬や中止については、それが可能かどうかを含めて主治医の先生と相談しながら進めていきたいと思っております。減薬や中止することによる弊害と服用し続けることによる弊害、いずれも考えて決めていくことになろうかと思います。私としましては、ラミクタール服用前の状態に戻りたくない思いが強く、できれば生涯服用し続けたいと感じております。私の報告が学術的なデータとして役立つのであれば幸いに存じます。

私は薬で皮疹や嘔吐の副作用が生じやすい体質のため、薬剤誘発性リンパ球刺激試験を行った上でラミクタール5mgから服用開始しました。2週間ごとに5mg増量し、90mgまで増量したところで脱毛の副作用が生じたため、現在は75mgで維持しています。服用初日から目覚めた瞬間の希死念慮が普段より和らいでいる感覚を得ました。仕事中も外の刺激が入りづらく内面も穏やかでした。増量すればするほど希死念慮が遠ざかり、フラッシュバックの頻度は変わらずとも強度が減じました。比喩に語弊があるかもしれませんが、これまで集中治療室で危篤状態であった人が、劇的に回復して通院治療で良くなったようなレベルの薬効を実感しました。ここまで生きるのが楽なのはこれまでの人生で経験したことがなく、戸惑いもありましたが嬉しかったです。
身体面では、カウフマン療法により10年以上止まっていた月経が再開しました。排卵もしており、妊娠も可能と言われています。解離する頻度にあまり変化はなく、一人の時に緩むと解離してしまうため、現在はコンサータ少量を用いることを主治医の先生と相談しているところです。

林先生が最後に、精神療法とラミクタールの相互作用による改善である可能性についても触れてくださっているように、精神療法は効果的であったと感じております。4年前までは過去の出来事は自分が原因で自分が異常であったために起こってしまったという確信がありましたが、その感覚は薄れ、それにまつわる自責や罪悪感は生じなくなりました。これは精神療法による効果ではないかと感じております。主治医の先生は解離を専門にしている方ではありませんが、定期的に解離の専門家に相談をしたうえで私の治療にあたってくださいました。熱心に真剣に私に向き合ってくださっていることが伝わってきて、私は初めて心から人を信頼することができたと思っています。この先生だからこそ私は改善に向かうことができたのだと思います。

林先生に経過をご報告することを励みに治療に取り組んできました。さらに改善しましたら、また経過をご報告させていただければ幸いです。本当にありがとうございました。

 

林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。

私の報告が学術的なデータとして役立つのであれば幸いに存じます。

2016年の【3323】以来続けていただいているご報告は、まだ不明の点が多いラミクタールという薬の薬理作用の解明という学術的な意義に加え、何より解離性障害に苦しむ方々にとっての貴重なデータになると思います。ご報告にあらためて感謝いたします。

服用初日から目覚めた瞬間の希死念慮が普段より和らいでいる感覚を得ました。仕事中も外の刺激が入りづらく内面も穏やかでした。増量すればするほど希死念慮が遠ざかり、フラッシュバックの頻度は変わらずとも強度が減じました。比喩に語弊があるかもしれませんが、これまで集中治療室で危篤状態であった人が、劇的に回復して通院治療で良くなったようなレベルの薬効を実感しました。ここまで生きるのが楽なのはこれまでの人生で経験したことがなく、戸惑いもありましたが嬉しかったです。

医学文献でいうところの「著効例」そのものにあたると思います。

ラミクタールの減薬や中止については、それが可能かどうかを含めて主治医の先生と相談しながら進めていきたいと思っております。減薬や中止することによる弊害と服用し続けることによる弊害、いずれも考えて決めていくことになろうかと思います。

おっしゃる通りで、これからの服用計画が課題ですが、このように洞察を持って慎重な姿勢を続けていかれれば、心配はほとんどないと思います。

またのご報告をお待ちしております。重ねてご報告にお礼申し上げます。

(2021.9.5.)

05. 9月 2021 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害