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もの忘れは「ぼけ」のはじまりか  宇野正威著 PHP新書

国立精神・神経センター武蔵病院で「もの忘れ外来」を開設している著者が、痴呆について書いた本です。タイトルからおわかりのように、記憶障害についてかなり力を入れて書かれていますが、むしろ痴呆の説明の部分(第2章 もの忘れは痴呆につながるのか / 第3章 アルツハイマー病型痴呆とは何か / 第4章 アルツハイマー病の診断と治療 / 終章 もの忘れは防げる) の方が役に立つと思います。記憶についての章は正確ですがやや専門的にすぎるので、はじめに読むと飽きてしまう可能性が強いので、飛ばした方がいいでしょう。2、3、4章を読めばアルツハイマー病のこと全体を理解することができます。

アルツハイマー病の本は、ふつうの書店に売られているものでも、極端にやさしい本と極端に専門的な本の2種類がほとんどのようです。極端にやさしい本は病気の理解にはほとんど役に立ちません。専門的な本はなかなか読みきれないのは言うまでもありません。上に紹介した宇野先生の本は、どちらかというと専門的な方に入りますが、薄くて安いわりに非常に正確ですので、全部を読むというよりもさしあたって知りたい部分や必要な部分を読むという方法をおすすめします。

 

●● 白愁のとき 夏樹静子 角川文庫

これは小説です。五十歳台でアルツハイマー病の初期(の疑い)と診断された主人公の苦悩がテーマです。記憶障害、感情の障害などが徐々に表れてくる様子や、それに対する検査などが医学的に見て非常に正確に書かれています。単に正確なだけでなく、自分の脳、つまり自分の人格そのものということになりますが、それが崩れていくことについての恐怖やその恐怖に対して弱気になったり立ち向かったりという複雑な心理も見事に書かれています。痴呆を扱った小説としては「恍惚の人」が有名で、この「白愁のとき」はあまり知られていませんが、今後、病名を本人に伝えることが多くなるにしたがい、新たに評価されてくる小説だと思います。

 

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