精神科Q&A

【2078】15歳の頃に統合失調症と診断され治療を続けてきました。32歳の今、自分が良くなっていくことに喜びを感じるようになりました。


Q: 私は32歳の女性です。15歳の頃に統合失調症(当時は精神分裂病と呼ばれていました)と診断されました。その頃は主治医の方針で、私は病名を知らされていませんでした。これはおそらく私が知ると、現実を受け止められないと思った配慮だと思いますが。ずっと神経衰弱だと告げられていました。両親は知っていました。私は元々、小さな頃から積極性がなく、授業中に挙手が少ないことをいつも学校の通信簿に書かれていました。わかっているのに手を挙げないと。それは事実です。自分で認めます。転機は中学に入ってから。吹奏楽部に入ってからです。もともと楽器の演奏が好きだったので入部しました。とても楽しかったです。この中学での経験は私にとって価値のあるものです。昔からテストの点だけがよかっただけの私が、変われたのです。勉強も両立してがんばっていました。中二の秋に副部長になり、最初は順調だったのですが、問題は中三になってからです。担任の先生と合わなかったです。ただそれだけならたいしたことはありませんが、この頃から大変な仕事を任されてばかりで、勉強に集中できない日々が続き、成績も落ちたため、教育熱心だった父は、私に厳しく言いました。「勉強しろ!」と。中学はなんとか卒業し、本来の志望校よりも1ランク下の高校に行きました。楽勝でやっていけると思っていました。でも、その高校では、友人関係に悩み、勉強どころではありませんでしたので、当然成績も悪く、落ち込む日々が続き、食欲も落ちて痩せてきたので、心配した母と精神科を受診したわけです。
 正式な病名は20歳頃知りました。ここから先は比較的楽になってきました。病院のデイケアに通うようになり、SSTと呼ばれるものも経験しました。自分が良くなっていくことに喜びを感じるようになりました。発病当初から聞こえてきた幻聴もおさまりました。今は、この病気は薬だけではなく、本人の努力も必要なんだと思っています。統合失調症の解明と予防のための研究に、私の症例を役立ててほしいです。この文は、質問ではないので、精神科Q&Aに受け入れてもらえるかどうかわかりませんが、私と同じ病気で苦しんでいる人たち、また未来的にこの病気が解明されることと、予防できる病になってくれることを祈って書きました。


林: 貴重なご報告をありがとうございました。ご家族、主治医の先生をはじめとする医療者、そしてご本人の力のすべてが総合された結果、統合失調症という病気が克服されつつある様子が読み取れます。今後も病状が安定し、さらに改善していかれることを願っています。


◇ ◇ ◇

この【2078】のケースは、15歳の頃に統合失調症と診断されて治療が開始され、かなり良い経過をたどっていることが読み取れます。早期発見・早期介入が成功した例といっていいでしょう。このケースの成功要因は、次のようにまとめることができます:

a. 早期に統合失調症と診断された。
b. ご家族が統合失調症という病名を受け入れた。
c. 当時、ご本人に適切な説明がなされた。
d. 適切な治療が続けられた。
e. 適切な時期に真の病名がご本人に告げられた。
f. 現在、ご本人が治療に積極的な気持ちを持っている。

以下、aから順にご説明していくことにします。

a. 早期に統合失調症と診断された。
この【2078】のケースは、15歳という早い時期に統合失調症と診断されました。
 他のどんな病気でも同じように、診断は早ければ早いほどその後の経過は良く、診断が遅れれば、経過は悪い方向に傾きがちであるといえます。現に良い経過をたどっているこの【2078】のような実例を目の当たりにすれば、統合失調症においても、できる限り早く診断の機会が得られることが望ましいのは明らかであるように思えます。【2007】に記した、

統合失調症のごく初期や前駆症状の時期に、いかにして早く正確に発見するか

という課題は、ですから、非常に重要であるといえます。
 けれども、【2007】以下に度々指摘してきたように、ここには偽陽性という厄介な問題があります。すなわち、病気の診断というものは、症状がはっきり出ていない早い時期に下そうとすれば、そこには誤診の危険が大きくなるということです。ここには、できるだけ早く診断すれば誤診が多くなり、診断が遅れれば治療が難航するというジレンマがあります。
偽陽性とは、統合失調症でないのに、統合失調症と診断されてしまうことを指します。
【2007】に記したように、
◆統合失調症ではないのに精神科を受診することによるマイナス
 ・・・不要な投薬を受けたり、統合失調症かもしれないと告知されることによって本人や家族がダメージを受けたり、偏見の対象になったりすること
のおそれがある一方で、
◆統合失調症なのに精神科を受診しないことによるマイナス
 ・・・言うまでもなく、症状の悪化
のおそれがあるのです。

【2078】においては、発症当時の症状の詳細が不明ですので、はたして偽陽性のおそれがあったのかなかったのかはわかりません。【2078】の質問文に記されている、精神科初診のころの症状は、

高校では、友人関係に悩み、勉強どころではありませんでしたので、当然成績も悪く、落ち込む日々が続き、食欲も落ちて痩せてきたので、心配した母と精神科を受診したわけです。

ということだけですので、これは生活レベル低下という、統合失調症の前駆期疑い項目の一つではあるものの、この項目だけですと偽陽性の可能性はかなり高いことになります。但し、この【2078】では、現在の状態として、

発病当初から聞こえてきた幻聴もおさまりました。

と書かれていますので、かなり早期から幻聴があったことが読み取れます。すると精神科初診当時は、生活レベル低下に加えて、軽い幻聴、あるいは、被害妄想的な過敏さなどがあったのかもしれません。
しかしそうだとしても、まだまだ偽陽性の可能性は残ります。
 とはいえ、【2078】のケースは、結論としては統合失調症だったので、偽陽性ではなかったわけですから、問題ないといえるかもしれません。しかしそれは結果がわかっているから言えることであって、【2007】に記したように、統合失調症の前駆症状疑い項目が認められる人が、その後実際に統合失調症を発症する率は20%から40%ですから、偽陽性の人が80%から60%存在するわけです。【2078】は、もちろん当時の細かい症状は不明ではあるものの、たまたまこの20%から40%のほうに入っていたにすぎないといえるかもしれません。逆に80%から60%のほうに入っていたら、不要な薬を飲まされたり、統合失調症のおそれという不要な心配を持ち続けることになっていたということになります。

この【2078】と同じくらいの年齢に統合失調症を発症したか、あるいは少なくとも前駆症状があったケースとして、今回の更新の中の第一例である【2000】があります。【2000】の方は、

私の統合失調症の本当の発症時期はいつなのでしょうか?

と質問しておられます。
このご質問に対するひとつの答えは、

小学6年の頃、得体も知れない強い不安に襲われました。新しい環境と新しい友達やこれからの生活への不安というよりは、何かが私の心に侵入してきたかのように怯えるような感覚でした。

これが最初期の兆候だったという判断が、今から振り返ってみれば、可能です。すなわち、この時点で【2000】の質問者の脳内で、統合失調症という病気の過程が進行し始めていたという判断です。
もっとも、これだけではいかにも漠然としすぎているという判断も可能で、そうだとすれば、

中学2年の頃からでしょうか、友達が私の悪口を言っていると思うようになり、友達の輪の中に入っていくのが怖くなってしまいました。

このころを発症(脳内で、統合失調症という病気の過程が進行し始めていた)とするのが妥当でしょう。

但し、今お答えした「発症」は、「脳内で、統合失調症という病気の過程が進行し始めていた」という意味での「発症」です。精神科の通常の臨床や研究調査では、この段階では統合失調症の発症とは呼びません。公式の診断基準を満たした時点を発症とするのが通例です。先にお書きした、「統合失調症の前駆症状疑い項目があった場合、将来実際に統合失調症を発症する率は20%から40%」の中の「発症」とは、公式の診断基準を満たす状態になったことを指しています。残りの60%から80%は偽陽性と呼ばれていますが、それはあくまで公式の診断基準を満たす状態にはならないという意味であって、脳内には統合失調症という病気の過程が存在するかもしれない人々を含んでいます。また、【2073】でもご説明したように、「偽陽性」という判定は、一定期間(1年から、せいぜい数年)のうちに「発症」しなかったことを指しているにすぎず、さらに長年経過を見れば、その中の一部の人々は統合失調症を発症すると推定されますので、偽陽性と判定したが実はそうではなかったという、偽-偽陽性問題というものも存在します。

また、【2072】【2073】のような、一過性にかなりはっきりした統合失調症の症状を呈する人々をどう考えるかという問題もあります。【2072】や【2073】の内容を見れば、「一過性だったんだから、治療は必要なかった」という結論が正しいように思えます。けれどもそれは、【2072】と【2073】のケースが、結果としてはそうだったということにすぎないのであって、その一過性の統合失調症症状の時期に、たとえば自殺してしまったり、あるいは社会的に非常に問題のある行動を取ってしまい、後の人間関係に大きな支障をきたすことも考えられたわけです。(そしてもちろん、一過性ですんだと思っていたら、その後に統合失調症を発症したというケースもあります。偽-偽陽性問題として【2073】でご説明した通りです)

さらには逆に、偽陽性ならそれで安心なのかという問題もあります。【2000】から【2078】までの中には、解離のケースもたくさんありました。それらは統合失調症かどうかという観点からは偽陽性ですが、では医療は不要かというとそんなことはありません。また、前駆症状疑い項目の症状がずっと続くケースもあり、それらは統合失調症を発症していないから医療は不要かというとそんなことはありません。

これらは統合失調症の早期発見・早期介入をめぐる問題のごく一端にすぎません。統合失調症という病気の重大さ、そして初期の症状の診断の難しさ、さらにはまだまだ根強く社会に存在する偏見も考慮しなければならないため、この問題はきわめて複雑です。
そして、仮に前駆症状の段階で正確に診断ができたとしても、発症を予防する最善の方法はまだわかっていません。

【2000】の方は、

私の統合失調症の徴候は中学2年の頃からあったように思うのです。もっと治療が早くできていたら、発病を防ぐことができたのではないでしょうか。

と言っておられます。これは、多くの統合失調症の方やご家族に共通する叫びであると思われます。そしてこれに対する答えを求める研究は、精神医学界で強力に進められています。しかし現時点では、早期発見には様々な問題が伴い、早期介入(発症予防)の方法はまだまだ手探りというのが現状です。


b. ご家族が統合失調症という病名を受け入れた
この【2078】のケースでは、

15歳の頃に統合失調症(当時は精神分裂病と呼ばれていました)と診断されました。
・・・・・
両親は知っていました。


という記述から、統合失調症と診断された15歳頃の時点で、ご両親がその病名を受け入れ、治療への協力に努力されたことが読み取れます。それが、その後の良好な経過に結びついています。

とまとめてしまうと簡単なようですが、現実には、統合失調症という病名をご家族が受け入れないケースはとても多いものです。というより、少なくとも診療の初期の段階では、受け入れられないほうがむしろ普通といってもいいかもしれません。受け入れられなかったケースのその後は、時には非常に悲惨です。たとえば【0440】一年前に精神分裂病の初期といわれた弟が、はちゃめちゃになってしまいました のような例。それから今回の更新にある【2001】のように、いったん受け入れたかに見えたご家族がまた受け入れを拒否されたという例もあります。
 このようなケースがあまりに多いこともあり、統合失調症という病名告知は、ご本人に対してはもちろんのこと、ご家族に対しても慎重にならざるを得ません。ひとつ前の【2077】は、病名が告げられていなかったことを、ご家族が憤っていらっしゃいます。それは結果から見れば理解できますが、でははたして統合失調症という病名が告げられていたら、本当にご家族の協力が得られたかどうか。それはわからないことです。病名を告げたことでかえって治療が中断してしまうことも、実際にはしばしばあるからです。

この【2078】では、ご家族が統合失調症という病名を受け入れています。が、当初からスムースに受け入れられたかどうかはこのメールからは不明です。メールをお書きになった質問者にも、当時の事情はわからないでしょう。最初は別の病名が告げられていて、治療が進むにつれて、徐々に真の病名を受けいれられるような診療がなされていたのかもしれません。ある意味それは、統合失調症の臨床医の真の医療技術ともいえるものです。


c. 当時、ご本人に適切な説明がなされた。
この【2078】のケースでは

その頃は主治医の方針で、私は病名を知らされていませんでした。これはおそらく私が知ると、現実を受け止められないと思った配慮だと思いますが。ずっと神経衰弱だと告げられていました。

というように、当初はご本人には病名として神経衰弱という説明がなされていました。その説明はご本人が20歳に達するまで、5年間に渡り維持されていました。このように、最善の治療を続けるという目的にかなった説明をするのも、統合失調症の臨床医の真の医療技術の一つといえるでしょう。
 本当は統合失調症なのに別の病名がご本人に告げられた例として、【2004】の社会不安障害、【2014】のうつ病があります。これらのケースでなぜそのような病名が告げられたか、真実は不明ですが、【2004】にしても【2014】にしても、その診断が治療につながっていることが何より大切なことです。診療が開始された初期の時点で統合失調症と診断しそれを告げることが、正しいとは限りません。
 この【2078】で、「ご本人に適切な説明がなされた」というのは、当時の説明の延長として、現在まで適切な治療が続けられ、それが奏功しているという意味です。


d. 適切な治療が続けられた
早期発見については、正確な診断。偽陽性も偽陰性もない診断。それが最善であることははっきりしています。
 しかし早期介入については、何が最善の介入かはまだまだ研究段階で、正解は不明です。
 発症していれば別です。この【2078】は、おそらく15歳の時点で、前駆症状ではなく、統合失調症の発症と診断されていたと思われますので、そうであれば抗精神病薬による薬物療法は必須です。
しかし、前駆症状の段階では不明です。
それは、前駆症状かどうかわからないということだけでなく、仮に前駆症状であると確定できたしても、では発症を予防する最善の方策は何かは不明だということです。
ですから前駆症状の段階では、【2007】で引用した【1190】の回答、すなわち、

信頼できる先生を見つけて、その先生に長期にわたってかかる。薬をいつ飲むか、そもそも飲むか飲まないかも、その先生と相談しながら決める。

が、現時点での現実的な最善策といえます。


e. 適切な時期に真の病名がご本人に告げられた。
この【2078】のケースでは、

正式な病名は20歳頃知りました。

そして、

ここから先は比較的楽になってきました。

とのことですので、適切な時期に真の病名がご本人に告げられたといえます。
このことは、c.、すなわち、治療開始当時は別の説明がなされていたこととセットになっています。
ケースによっては、いつまでも告げないほうがいい場合もあるといえます。
そこには病識という、統合失調症に特有の問題があります。病識とは、自分が病気であることの認識を指します。
自分が病気であると認識して、自分から治療を受けてほしい。そういう願いがご家族から寄せられることもよくあります。【1822】【0919】などをご参照ください。それはご家族の心情としては理解できますが、統合失調症という病気は、それが不可能なこともあります。その事実をご家族が受け入れなければ、治療はうまくいかない。そういうケースは多々あります。

f. ご本人が治療に積極的な気持ちを持っている。
この【2078】の方は次のように言っておられます。

今は、この病気は薬だけではなく、本人の努力も必要なんだと思っています。

ご本人が治療に積極的な気持ちを持っていることは明らかと言えます。今後はさらに良い経過が期待できるでしょう。
但し、統合失調症の人に一律に、治療意欲を求めることは現実的ではありません。
治療意欲そのものも、病状と密接に関連しています。すなわち、良好な経過があってはじめて、治療に積極的になれるのです。
この【2078】のケースではおそらく、15歳というかなり早い時期から適切な治療がなされたことが、良好な経過につながり、それがさらに、ご本人の治療意欲という良好な結果を生んでいるのでしょう。
治療意欲が不十分なケースでは、そのことにご家族はフラストレーションを感じ、ときにはそのことでご本人を責めるということも散見されますが、統合失調症という病気は、その症状によって、治療意欲そのものが損なわれることもしばしばあります。

◇ ◇ ◇

【2000】から【2078】まで、統合失調症の早期発見・早期介入をテーマとするQ&Aを続けてきました。
これは、現代精神医学の一大テーマでもあります。
したがって膨大な研究論文が発表されています。
早期発見については、前駆症状疑い項目としてどのようなものが挙げられるか、そこまでは精神科医の間でかなり共通の見解があるといえます。【2007】でご紹介したARMS、サイコーシス・リスク・シンドロームの記載です。
 しかしながら、早期発見の実際、すなわち、具体的にその中の項目がどのような条件で認められた場合に、統合失調症の前駆状態といっていいかについては、まだまだ研究途上の段階です。
 早期介入については、さらに研究は未成熟で、ほとんど手探りといっていい段階にあるといえます。

すると今回(2011.6.5.)の更新の第一例である【2000】の問い、すなわち、

私の統合失調症の徴候は中学2年の頃からあったように思うのです。もっと治療が早くできていたら、発病を防ぐことができたのではないでしょうか。

あるいは

私の統合失調症の本当の発症時期はいつなのでしょうか?

に対しては、現代の精神医学はまだ答えを持っていないと言わざるを得ません。

こんなことでは精神医学は社会への責任を果たしているとは到底いえないわけですから、早期発見・早期介入についての研究が強力に推し進めてられているのは当然といえば当然です。

しかし私は、統合失調症という病気の典型的な症状についての知識を多くの方々に知っていただくことが、早期発見・早期介入と同じか、それ以上に、場合によってははるかに、大切なことであると考えています。

統合失調症という病気の典型的な症状は何か。これについては、精神医学界では、すでに議論は済んでいるといえます。(もちろん、細かい点についてはまだまだ未知ですが、大部分の典型的なケースについては、議論の余地はほとんどないということです)
 ところが、精神医学界で議論が済んでいる知識が、社会の人々に十分に知れ渡っているかというと、決してそうではありません。
 典型的な統合失調症の症状があるのにもかかわらず、病気ではないと思われて、精神科を受診されていないケースは膨大に存在します。
今回(2011.6.5.)の更新で取り上げたケースの中には、統合失調症かどうか、はっきりわからないケースがたくさんありますが、統合失調症についてのQ&Aでこれまで回答してきたケースの多くは、メールの記載だけからも、はっきりと統合失調症であるとわかるものがたくさんあります。だからこそ私は「統合失調症です」と断言する形で回答してきているのですが、そのようにはっきりしたケースでさえも、統合失調症であることが周囲の人にはわからず、あるいは、統合失調症であると告げられても納得できず、治療が受けられていない場合が膨大にあるというのが現実です。

統合失調症の早期発見・早期介入についての研究が強力に推し進められているのは、それが重要な問題であることに加えて、統合失調症の初期症状という、精神科医にとって学問的にも興味深い問題であることも大きな理由です。
それに対し、統合失調症という病気の典型的な症状は、もはや精神科医にとっては学問的な興味の対象にはなりにくくなっています。だから、最近ではもう研究論文もあまりありません。ということは、典型的な症状の知識を広めることに熱心に取り組む精神科医の数は少ないということです。

けれども、統合失調症の当事者やご家族のためには、この典型的な症状について知っていだくことのほうが重要な場合が多々ある。
そしてその際には、この病気の暗い面の事実も知っていただく必要がある。
求めればどんな情報でも得られる現代は、病気の明るい面だけを公表して済む時代ではないからです。

これが、14年のサイト運営を通して、1万通以上いただいたメールから得た私の印象です。
こころと脳の相談室は、統合失調症に限らず、こころの病の実像を多くの人に知っていただくことの実現に向け、まだしばらくは運営を続けます。

◇ ◇ ◇

【2000】から【2078】までの回答は一連の流れになっています。【2000】、【2001】、・・・【2078】の順にお読みください。


(2011.6.5.)


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