精神科Q&A

【0728】毎日悲しくてたまりません。通院を再開すべきでしょうか。


Q: 私は30歳女性です。
私は昨年まで8年間小学校で教師をしていました。
勤めて2・3年目辺りから今にして思えばもううつ病だったように思いますが
当時はストレスが強くて心身ともしんどいだけだ甘えるなと自分を戒めていました。

職場は40代50代の先生方ばかりで唯一の20代だった自分は、若い女の先生ははずれだと保護者に言われないように(実際未熟でしたし、担任は1年間変更できないのだから親としては当然だと思います)と毎朝5時半に起き、7時〜22時まで食事もろくにとらず働き、日付がかわってから帰るなど土日も出勤し、教材研究を繰り返し、疲れていても休み時間は5分でもゆとりがあれば子どもたちと可能な限り遊ぶようにし、毎日の子どもの様子を日記につけてわずかな変化を見つけては声をかけて努力してきました。

プライベートで友人に遊びに誘われても休みの日は外出する気力もなくなり、教師として未熟な自分は遊ぶ資格なんてないと、頭に入らなくても教材研究や教育書を読まなければいけない、いざこざが子ども達の中にあるからそれのアドバイスや働きかけを今のうちにできるだけ考えないといけない、体力を回復しなければならない等の強迫観念に襲われるようになり、職場に行く以外は外出できなくなりました。

お腹が空いてぐるぐる音を立てていても食事がとれず、体重が落ち栄養失調にもなりました。
扁桃腺が弱く高熱もよく出たり微熱もずっと続くのが普通で、でも休むとクラスの授業が遅れるし人員不足な中、6時間も色々配慮を必要とする子どももいるのに代わりに入って頂くのも心苦しく普段から迷惑をかけているのだからと絶対休めませんでした。
風邪を放置して悪化、動けなくなり肺炎で2度入院もしました。

どんなに自分が頑張っても、物を作り上げるような仕事とは違うので、目に見えて子どもがかわったりよくなることはありません。色んな子がいます。色んな家庭の事情を持って集まっています。毎日何かしらのトラブルは絶えません。一生懸命考えて動いても終わりがありません。
情けない気持ちでいっぱいでした。振り返れば自分はそれまで絵に描いたような人生で失敗はなく、何をやってもそれなりにこなせて、努力すれば何でも手に入っていたように思います。

頑張っても頑張っても終わりのない教師の仕事が辛くて仕方なくなりました。
子どもが遊んでいる姿や木の新芽を見ていたら知らない間に涙が出ていたり、実家に住んでいますが親とも会話が出来なくなり、一人部屋で泣き、最後には自分はもうだめな人間で居てはいけないと死ぬ事を考えるだけの日が数ヶ月続きました。

抑うつ症の自覚も流石にでてきましたが、カウンセリングというものは患者を否定せず、肯定しては患者の言葉をオウム返しするものだというイメージがありましたので受ける気がせず、精神科に薬だけもらいに通院していました。

お医者さんは診断書を書いてあげるからすぐ休職するようにと言って下さいましたが、途中で担任がかわることで子どもや保護者にどう思われるか、また復帰したとして同僚の先生方に今まで通りに接してもらえなくなるんじゃないか、また成人して結婚もしてないのにただ家にいる人間を自分自身軽蔑していたのもあって休職はできませんでした。

お薬を飲むようになって酷い落ち込みや泣くなどの症状はなくなってきましたが感動の起伏がなくなり、唯一の趣味で生きがいであった絵が全く描けなくなりました。
絵が描けないのは自分にとっては生きている価値が無いに等しい程のショックで、数ヶ月後に薬をやめてしまいました。
やっぱりその後は同じ状態の繰り返しのようになり、とうとう1年後に退職してしまいました。

今は、教師の時のような毎日のプレッシャーがなくなり、絵のアルバイトをして過ごしています。当時程ではないのですが、きちんと職についていない自分が許せない思いと、どの職業についても性格的に自分をギリギリまで追い込む癖があるのでまたうつになるだろうと言う恐怖心があります。結婚も恋愛もする気力がありません。
買い物に行っても何も欲しいものが見つからず友人と会うのも辛いです。
自分のためにお金を使う事に抵抗があり、極力どこにも行きたくなく、もし自分が死んだ時に迷惑をかけている両親に使ってもらえれば…と貯金(8年間使ってこなかった給料)もほとんど手をつけていません。

たまに会う友人がパニック障害でうつらしく、自分の病状をこと細かに話してきます。私はあまり自分の病気のことを人に知られたくなくて言いませんし、平然を装っていますが、その友人の話を聞いて数日は引きずられてうつうつとして酷く落ち込みます。また平然を装うのにいっぱいいっぱいでその友人に優しく接してあげられない自分が嫌になります。

このまま年を重ねて自己嫌悪に苛まれて生きていくのかと思うとどうにも悲しくてたまらなくなります。
元気になって活き活きとなれるならもう一度通院してみようと言う気になってきました。しかし、1番ひどい時の毎日死にたい程ではありません。
ただ何事にも臆病になってうつうつとして全てから逃げているだけなのかもしれません。
もううつではなく性格の改善の問題なのでしょうか。
通院の再開は必要でしょうか。

長々と失礼しました。
 以前通院している時はほとんど泣いてばかりで話せなかった事なので(今も泣きながらですが文章だと書けるのでよかったです)ここまで読んで頂けて嬉しいです。有難うございました。


: 通院を再開してください。あなたはうつ病だと思います。治療を受ければ治ります。
 あなたのケースは、症状が典型的なうつ病であるのに加えて、あなたの性格がうつ病になりやすい人の典型といえます。「絵に描いたような」という表現は失礼かと思いますが、まさに絵に描いたような、あるいはうつ病の教科書に出ているような、メランコリー親和型あるいは執着気質(この二つは厳密には違いますが、かなり似ています)といえます。

 まずは通院を再開し、治療を受けることです。そして、良くなった時点で、認知療法の本を読むことをお勧めします。もちろん治療の途中でも、主治医の先生からの勧めがあれば読んでも構いませんが、特にそうした示唆がなければ、良くなってから読むことをお勧めします。うつ病の図書室にご紹介してある、「いやな気分よ、さようなら」や「「うつ」を治す」がいいと思います。

 認知療法は、必ずしもすべてのうつ病の人に勧められるものではありません。【0718】【0720】もご参照ください。けれども、あなたのケースでは適切な治療法だと思います。性格やものの捉え方と、うつ病の発症がかなり関連していると思われるためです。(必ずしも医師から認知療法を受けなくても、まずは本をよくお読みになるだけでもいいと思います)

 性格とうつ病の関係は、実は非常に難しく、性格の延長にうつ病があるという解釈から、性格とうつ病は実は直接の関係はないという解釈まで、さまざまなものがあります。その問題はさておき、あなたのケースでは、今のうつ病は治るのは確実としても、その後これまでのような姿勢で生活を続ければ、再発のおそれが非常に高いと思います。それが、あなたに認知療法をお勧めする理由です。


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