精神科Q&A
【0690】うつ病回復期の頭痛・だるさ・眠気
Q: 37歳女性です。
昨年の秋に激しい頭痛と嘔吐が起き、どこに行ってもよくならなかったのですが、最後に心療内科を受診し、うつに近い状態との事でレスリンを1日1錠投与されました。
そうしましたところ、驚いた事にあれほどひどかった頭痛が一気におさまり、その後、体調も落ち着き安定していたと思った矢先、無性に焦燥感にかられ、集中力がなくなり落ち着きがなくなり物事全てがおっくうになりました。
そのうちに突然また頭痛と嘔吐、さらにはめまい、耳鳴り、歩いていてもフワフワとし食欲が無くなり、全てが嫌になり、気が付くと涙を流してしまう自分に驚きました。
改めて病院に駆け込み、泣きながら現状を話したところ
「うつではないが、うつ状態である。」
と、言われ半年前から休職する事にしました。
思えば、母子家庭で仕事の事、お金の心配、3人の子どもの世話や、母親のように慕っていた叔母の死、など色々あったのが原因だったのかもしれません。
それ以来、処方されている薬は
スルピリド・トレドミン 1日3錠
寝る前に レスリン25 スルピリド パキシル 各1錠
薬を飲みだしてからは大波小波ありますが、ほぼ安定している気がします。
ところが、あまりにも朝起きられず、また起きてもボーっとしてまた寝てしまうと相談したところ、パキシル→デブロメール1錠に2週間前変更になりました。
ご相談するのは、うつの回復期の過ごし方です。
本当は早く働いて生活費を稼ぎたいのですが・・・休職して6ヶ月が過ぎます。
春に正社員の話があり働く予定でした。ですが、
「こんな調子で働けるだろうか」「仕事と家事の両方が今まで通り出来るだろうか」など考えていたら体調が悪くなり、気持ちが落ち込みやる気もなくなりついには学校のPTAの役員にもなってしまい「全部両立できるだろうか」と不安が大きくなりまた頭痛が起きてしまいました。
結局、主治医にも相談したりアドバイスをもらい仕事は断りました。
それから、知人の紹介で週2日アルバイトをしました。
ところが、週のうち1日は元気良く行くのですが2日目になると、朝からひどい眠気やだるさで布団から出られず休みが多くクビになってしまいました。
パキシルからデブロメールに切り替えたのもそんなことがあったからです。
皮肉な事に2、3日前から、ものすごく調子がよくて今ならなんでも出来そうな気がするのです。ただ、今までもそんな時期があっても、すぐにまた無気力な気分やひどいだるさ・眠気を繰り返してきてるので、実際のところ、仕事をしても続かないのではないかと思うと、働く事がこわいのです。
このような状態で私は回復期に入っているのでしょうか?
それとも、とっくに回復しているのに、ラクをしたくて逃げてるだけなんでしょうか?
もし、回復期に入っているなら、今後何に気をつければいいのでしょう。
林: あなたの診断は、うつ病だと思います。うつ病は、治ります。そして現在あなたは回復期に入っていると思います。
皮肉な事に2、3日前から、ものすごく調子がよくて今ならなんでも出来そうな気がするのです。ただ、今までもそんな時期があっても、すぐにまた無気力な気分やひどいだるさ・眠気を繰り返してきてるので、実際のところ、仕事をしても続かないのではないかと思うと、働く事がこわいのです。
このように、回復期には良い時期と悪い時期が繰り返されることはしばしばあります。うつ病の相談室p.110〜をお読みください。
それとも、とっくに回復しているのに、ラクをしたくて逃げてるだけなんでしょうか?
そんなことはありません。まだ治療が必要な状態です。うつ病の回復期の症状が変動する時期には、あなたのような心配(治っているのに自分は甘えているのでないか、という心配)をお持ちになる方は多いものです。そのような心配は、かえって回復の妨げになります。まだ病気であるという自信を持って(という言い方はちょっとおかしいですが)、治療を続けてください。
もし、回復期に入っているなら、今後何に気をつければいいのでしょう。
上記のことが第一です。それからもうひとつは、これからも多少は悪い時期が来ると思いますが、その時にあまりがっかりしないことです。さきほども言ったように、回復期には良い時期と悪い時期が繰り返されることは珍しいことではありません。それを繰り返しながら良くなっていくのです。
なお、回復期に入ったあなたにこのようなことを言うのは余計なことかもしれませんが、あなたの処方には私は賛成できません。
スルピリド・トレドミン 1日3錠
寝る前に レスリン25 スルピリド パキシル 各1錠
あなたの記載からすると、かなり初期からこの処方がなされているようです。ここには抗うつ薬が4種類入っています。このように多種類の薬を最初から処方することには、はっきり申し上げれば何の意味もありません。(治療が長引いた場合は別です)。多種類を飲んでも効果があるという証拠は全くないことに加えて、万一強い副作用が出た場合、どの薬が原因かがわからず、以後はこの4種類の薬のどれも飲むことができなくなるからです。この点については、【0311】、【0402】もご参照ください。