精神科Q&A

【0402】うつ病の薬で肝臓の数値が悪くなったのですが


Q: 33歳の弟がうつ病で1ヶ月ほど入院しております。入院前より肝機能が低下しているといわれ、飲酒をやめたところγGTPの値も少し低くなったのですが、入院し、薬を変更したところ、また値が上がってしまったそうです。(ただ、血液検査の結果表コピーをいただくことを拒否されたので、明確な数値はわかりません。)
 それに伴い薬を肝臓に負担の少ないものに変更してはもらえていません。何となく先生にまかせないと気分を害されそうな雰囲気でいいだせませんし、具体的にこれに変えて欲しいといった知識もありません。
現在の薬は
ルボックス、ソラナックス、テトラミド、アモバン、ロヒプノール
だそうです。
この中に特別肝臓に特別悪いものがあるのでしょうか?
他にどの薬なら負担が軽いのでしょうか?

担当医を信じてお任せするのが一番いいだろうとは思っていますが、まったく説明してもらえず、本人も家族も不安になり、メールさせていただきました。


: まず、弟さんの現在の薬の中には、肝臓に特別悪いものは含まれていません。肝機能障害の原因が薬であるとして、どの薬が原因として疑わしいかはわかりません。どの薬にも可能性はあると思います。
 仮に弟さんの肝機能障害の原因が薬だったとしますと、薬を止める(そして別の薬に替える)か、またはこのまま様子を見る、の二つの方法が考えられます。
 どちらを採るべきかは、肝機能障害の程度にもよります。障害が軽度で、薬を止めることによるうつの悪化の方がマイナスであると判断されれば、様子を見ることになるでしょう。
 肝障害が高度でしたら、そんなことは言っていられません。薬を中止しないと危険です。
 そして、弟さんの肝障害が軽度か高度かということは、検査結果の数値や経過を拝見しなければわかりませんので、弟さんの場合にどうするべきかは、今のところ主治医の先生にしか判断できないと思います。

 なお、こういうケースは常にあり得ることですので、最初から多種類の薬を処方するのは好ましくないことは【0311】にもお書きした通りです。つまり、弟さんの肝機能障害の原因が薬だとすると、それは今のんでおられる薬の中のどれか一つであることはほぼ間違いありませんが、どの薬かということはわかりませんので、全部の薬を中止する以外ありません。また、今後これらの薬を弟さんに処方することは出来なくなります。実際にはこの5種類の薬のうちの4種類は「無罪」であるはずですが、全部「有罪」とする以外ないのです。これは治療の幅を著しく狭めることになります。ですから私なら最初からこのような処方は決してしません。(経過によって、徐々に種類が増えるケースは十分ありますが、最初から多種類の薬は処方しないということです)


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