精神科Q&A
【0657】統合失調症(精神分裂病)で入院治療を受け症状はなくなりました。でも私は本当に統合失調症なのでしょうか。
Q: 31歳、男性です。私は28歳のとき統合失調症を発病し入院しました。20代から弁理士の資格を目指し一生懸命勉強していましたところ、数年してから少しおかしくなったと言うか、予兆らしきものがありました、それは人の考えていることが分かる、自分は優れた人間なんだと思い込むようになったのです。
それでも別にそれ以外では勉強のことだけを考え毎日の生活を送っていましたが、冬のある日、突然、家がヤクザに狙われている気がして取り乱してしまいました。具体的には、交番に駆け込みパトカーを呼んでしまいました、その際、家に盗聴器が仕掛けられている、今日ヤクザが来なくても、明日来るかもしれないので、家族そろって逃げようと言って、恐怖感で寝ることも出来なくなりました。
それを見た両親がすぐに私を精神科に連れて行き、とりあえず家が狙われているので、避難する目的で入院という形をとることになりました。入院すると、その病院がヤクザと関係していて、病院内でも狙われている気がしました。
医者も悪者に見えて、薬を飲んでくださいと言われても、毒に思えて飲むのを拒否したら、保護室に連れて行かれ注射を打たれてベットにつながれました、その時打たれた薬は分かりません。
それから、リスパダール5mg、レボトミン25mgを2錠、デパス0.5mgを３錠（朝、昼、晩)飲むようになりました。薬が効いたのか、隔離されて安心したのかは分かりませんけれども、病状はすっかり良くなり、1ヶ月で退院することが出来ました。
その後、2年半経過しました、再発及び発病時の恐怖感は1度もありません。
さて、話が長くなりましたが、本題はここからです。
私は、現在病気の症状に悩まされることもなく、日々の生活を何事も無く送っています。現在の薬は、リスパダール2mgだけです。
先生にお尋ねしたいことは、次の2点です。
①私は、本当に統合失調症なのでしょうか?
②主治医には、薬は一生飲んでもらうと言われたのですが、本当に一生飲まなければならないのでしょうか?
追記:ここのホームページは大変参考になりました。ホームページの内容を読めば、上の質問の回答も予想できるのではないか、と思われかもしれませんが、私はどうしても自分は統合失調症ではないと考えてしまいます。
林: あなたは統合失調症(精神分裂病)だと思います。メールに書かれている症状と経過はかなり典型的なものなので、診断は間違いないでしょう。おそらくあなたも客観的にはそう思っておられるのだと思いますが、それでも、
私はどうしても自分は統合失調症ではないと考えてしまいます
と考えるのは、逆にこの病気の特徴ともいえます。
なお、薬をいつまで飲むか、どれだけ飲むかというのは、ケースバイケースなので、即答することはできません。けれども、仮に減量する場合でも、主治医の先生とよく相談しながらすることが大切です。統合失調症(精神分裂病)では、多くの方が、いったん良くなったあと自己判断で薬を飲むのをやめ、症状が悪化していくという結果になっています。【0578】、【0662】などをご参照ください。そして、他の病気と違って、悪化したことがご本人には自覚できないことが多いため、治療を再開することが難しくなるというケースも多々あります。【0633】、【0662】などがその例になります。