精神科Q&A
【0423】兄から命の恐怖にさらされています。兄は人格障害でしょうか
Q: 私の兄(33歳)についてご相談いたします。
兄は高校を中退後、定職に就かず、たまにアルバイトをしていましたが、最近では全く働くことができません。ほとんどの場合、自分から仕事仲間にけんかをふっかけ、トラブルを起こし仕事をやめています。
リストカットをしたこともあり、感情の起伏が激しく、今はないようですが、2年程前までは、幻聴や、独り言、意味のない薄ら笑い、盗聴恐怖といった症状がありました。また、昨年の夏には、家に灯油をまき火を付けようとしました。
兄は実家で、両親と同居していますが、私は、電車でひと駅の所に妻と子供の3人で暮らしています。
最近では、兄の言動が非常に激しくなり、こちらとしては、答えようのないことや、つじつまの合わない要求(例えば、私の子供を家に連れて遊びに来いと言った直ぐ後に2度とつれてくるな等)をします。
先日、妻が兄の口車に乗り、電話で激しく口論をしてしまいました。
その直後、兄が、私の家まで包丁持参で来て、窓ガラスを割り、包丁を振り回しました。
私が立ちはだかったため、幸い私の家族は、怪我をしませんでしたが、この恐怖は、今も忘れることができません。子供は妻の実家に避難させましたが、「そこへ行って暴れてやる。」「おまえら3人とも殺す。」「早く離婚しろ。」「おまえ(私のこと)だけ家に帰って、一緒に暮らそう。」等口走っています。恐怖に満ちた毎日です。
将来を考えると絶望的です。私自身も病気になりそうです。
先生のご解説を拝見すると、兄は境界型人格障害と思われますが、このような場合、どう対処すればよいのでしょうか、また、治癒しない場合、一生または本当に私たちが殺されるまでこの恐怖は続くのでしょうか。全くばかげたことだと思いますが、兄を一生預かってくれるような施設はないものでしょうか。
林: お兄様は精神分裂病(統合失調症)だと思います。人格障害ではないでしょう。すぐにでも精神科で薬物治療を開始するべきです。そうすれば今の症状はかなり軽くなるでしょう。
「幻聴や、独り言、意味のない薄ら笑い、盗聴恐怖」
という症状は、精神分裂病に典型的なものです。人格障害でこうした症状が出ることは滅多にありません。(本当は、【0292】、【0303】、【0307】などで言ったように、内容を具体的に書いていただくともっとよくわかると思います。このように単語でお書きになられると、実際にはどういう症状を指してあなたがこうした言葉を使っておられるのかわかりませんので、なかなか判断はできないのです)
また、文面から察する限りでは、激しい言動がほとんど常にある状態が続いているようです。これは精神分裂病、それも治療を全く受けていない場合に見られるものです。境界型人格障害では、仮にこうした言動があったとしても、次の日には、あるいは次の週には、もケロリとしてしまうのが普通です。
一日も早く精神科を受診して、治療を受けさせてあげてください。といっても、受診させること自体がそう簡単でないことはよくわかります。保健所か病院に、まずご家族だけが相談に行き、適切な方法のアドバイスをもらうのが第一にやるべきことだと思います。