精神科Q&A
【0371】精神分裂病の弟の日記に「死にたい」と書いてあった(【0330】、【0359】の続き)
Q: 【0330】、【0359】でご相談いただいた、患者の姉です。
経過は実家に戻してから相変わらず家の中では元気に過ごしているのですが、最近弟がお風呂に入っている間に弟の部屋にあるノートの中身を見てしまいました。
なんか日記のようなものが書いてあり、「死にたい」とか「早く一人になりたい」とか「早く見放して欲しい」とか書いてあったのです。早く大学に帰りたいとも書いてありました。これは帰すべきではないですよね?
かなり深刻に悩んでいるみたいなのですが本人が病気じゃないから病院には行かないと言うのでどうすることもできず・・・分裂病の人は死にたいと言って本当に自らの命を絶ってしまうこともあるのでしょうか?
林: あります。精神分裂病(統合失調症)では、特に発病初期に自殺の率が高いことはよく知られています。その意味では、弟さんはかなり危険な状態であるとも考えられます。
「考えられます」というのは、確信が持てないという意味も含んでいます。
つまり、自殺の率が高いといっても、具体的にどの程度かはよくわからないのです。というのは、おそらく発症しても病院を受診しないうちに自殺してしまう方がいらっしゃるはずですが、その数がわからないのです。(そういう方はかなりの数にのぼっていると私は推測しています。【0688】がその一例になります)
また、「死にたい」という意思を見せた方のうちの中で、はたして何%が本当に自殺につながっているかもわかりません。
もしこうしたデータがあって、かなりの高率であることが数字で示されていれば、「強制的にでも病院に連れて行くべきです」と言えるのですが、何とも言えないというのが現状です。
ここから後は、ですから、ご家族がどうお考えになるか、ということになります。はっきりしない回答で申し訳ありませんが、「精神分裂病の初期には自殺率が高い」ことをご理解の上、対応をお決めください。