精神科Q&A

【1050】SSRIによる躁転について


Q主人55歳。会社員 私49歳パート 娘9歳の三人家族です
結婚12年になります。

主人の事でご相談申し上げます。
元来穏やかな性格の人です。子供の頃はおしゃべりを担任から注意された事もあると言っていましたが、その後は自己練磨や社会や会社に育てられ知り合った当初は物静かな印象でした。この12年間私のやりたいようにやらせてもらっていたのですが、その一つに娘の受験がありました。母と子のやり取りをずっと見ていて憂うつになってきたようです。
以前にも嫌だと思ったら下痢してしまうことがあり、私が心療内科への受診を進めました。

「軽いうつ」ということでしたが、パキシル40mg 
                ドグマチール200mg
                デパス1mg 
                マイスリー10mg    という処方がだされました。
主症状の下痢も翌日には止まり、憂うつ感も消え本人も私も喜んでいました。
ところが、1カ月ぐらい飲んでから、どうも様子が以前と違うことに気が付きました。具体的には、
   ローンを組むほどの買い物
   頭がとてもよく回転し、次から次へと計画をたてられる
   同僚への罵倒
   怒りのエネルギーの発火点が低くなる
   行動的
などです。
そこで、即、主治医に電話して「ハイ」になっていると伝えるとその場でパキシルの中止を指示されました。急な中止の疑問を抱きながらもドグマチール、デパスを飲んでいるからいいのかくらいに思いました。事情がありすぐに主人の受診は出来なかったのですが私が代理で受診しリーマス600mgが処方されました。二日後 本人受診し今後のことを相談しました。会社を休んだほうがよくないかという私の意見を入れ。結局、本人はしばらくは半休を使いながら仕事をしたいというので
               リーマス600mg
               リスパダール2mgがでました。同時にデパスは抜かれました。
ところが、その薬を飲んで直後から嘔気、頭重感におそわれ、起き上がることも出来ないくらいひどい状態になりました。翌日診療時間を待ちかねて電話しリーマス、リスパダールも中止になりました。その日は、本人は「死ぬかも」と思うくらい辛い状態でした。精神的にも不安定でした。3日ほど寝て過ごし徐所に体力気力も戻ってきました。
次に受診し        ドグマチール200mg
              マイスリー10mg
              レンドルミン5mg    になりました。
その後まだ躁だったためドグマチールを主治医に言って止めてもらい、今は睡眠剤だけです。体はすっかりよくなったのですが、躁状態の買い物、攻撃性(言葉は選ぶことができる)が続いています。

当初の攻撃対象は家族以外だったのですが、今は私になっております。今まで我慢してきた事等を私の資質に至るまでけなします。病気だからと理解しておりますが、辛いものがあります。

質問は、躁転してしまった主人は治るのでしょうか。今はリーマスは飲んでいないのですが飲んだほうが良いのでしょうか。
そこのクリニックは血中濃度を測らず最初から維持量とも思われる量を処方するので、心配です。治る場合はどれくらいの期間を基準にしたほうがよいでしょうか。それ以外は日常生活には支障はありません。
文章に足りないところがあるかとは思いますがどうぞよろしくお願い申し上げます


林: ご主人が躁状態であることは確かだと思います。しかしそれが抗うつ薬(このケースではSSRIであるパキシル)によるものか、あるいはそもそもがうつ病ではなく躁うつ病なのかはわかりません。この鑑別が非常に難しいことは【0902】【0898】などにお書きしたとおりです。(もっとも、この【1050】は、どちらかというと躁うつ病の可能性のほうが高そうです)

いずれにせよ、抗うつ薬の中止とリーマスの開始は適切な対応といえるでしょう。残念ながらリーマスによると思われる強い副作用が出てしまったことから、リーマスの中止はやむを得ない処置といえます。

質問は、躁転してしまった主人は治るのでしょうか。

治ります。それは間違いありません。

今はリーマスは飲んでいないのですが飲んだほうが良いのでしょうか。

可能ならもちろん飲んだほうがいいです。問題は副作用ですが、

そこのクリニックは血中濃度を測らず最初から維持量とも思われる量を処方するので、心配です。

初回600mgという量は、必ずしも多すぎるとはいえません。しかし、結果的に副作用で中止においこまれていますので、再開するとしたら、400mg、あるいは200mgから、血中濃度を測定しながら慎重に行うべきでしょう。
 あるいはリーマスが飲めない場合の対応としては、【1043】にもお書きしたように、デパケン(バルプロ酸)かテグレトール(カルバマゼピン)を試みるという方法もあります。

メールからは、躁状態になってからの持続期間が不明ですので、直ちに上記の薬物療法を始めるべきか、もう少し様子を見るべきかが判断できません。始めるなら少量のリーマスか、デパケン(バルプロ酸)またはテグレトール(カルバマゼピン)ということです。

治る場合はどれくらいの期間を基準にしたほうがよいでしょうか。それ以外は日常生活には支障はありません。

残念ながらこの文章は意味不明です。
したがってお答えできませんが、おそらくこれに関連していると思われることをお書きしますと、ご主人のような躁状態は、適切に治療すれば、週の単位で回復に向かうのが普通です。

その後の経過(2007.1.5.)


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る