精神科Q&A
マイスリー(ゾルピデム)の副作用についての医学論文
● Lam SP et al: Parasomnia among psychiatric outpatients: a clinical, epidemiologic, cross-sectional study. Journal of Clinical Psychiatry 69: 1374-1382, 2008.
タイトルにあるParasomniaは「睡眠随伴症状」のことで、いわゆる夢遊病や夜驚症など、睡眠に伴うあらゆる症状を指しています。この論文は睡眠随伴症状の統計や関連因子をまとめたもので、【2190】のケースのような、「夜、睡眠中に起きて物を食べる(Sleep Related Eating Disorder)」は、特にマイスリー(ゾルピデム)服用時に多いことが示されています。
● Le Bon O et al: Total absence of recall of discussion occurred shortly after ingestion of 10mg of zolpidem. Pharmacopsychiatry 42: 126-127, 2009.
マイスリー(ゾルピデム)服用の45分後に友人と話した内容を全く記憶していなかったという症例報告です。この時の話し方は、【2190】のケースのように抑制欠如(disinhibited)であったと記されています。
● Daley C et al: “I Did What?” Zolpidem and the Courts. Journal of the American Academy of Psychiatry and the Law 39: 535-542, 2011.
【1998】の質問者は、記憶のない間に自分が刑事事件でも起こしてしまったら・・・と心配しておられました。この論文はまさにそれがテーマで、マイスリー(ゾルピデム)服用後のparasomniaの医学的解説から、実際の裁判例(但しアメリカの裁判です)までを論じたものです。
(2012.2.5.)