精神科Q&A
【1508】うつ状態だと言いながら休日は元気な夫は躁うつ病でしょうか
Q: うつ病になって3年が過ぎる私の夫のことです。治療を受けているのに、【1411】の方と同じようにハイテンションの状態です。一年半前より、心療内科から大学病院へ転院して、ほぼ変わりない薬でいます。
朝 リーマス200×1 リボトリール1r×1 ノリトレン25r×2 ドグマチール50mg×1
昼 ジプレキサ5r×1 ノリトレン25mg×1夕 リーマス200×1 リボトリール1r×1 ノリトレン25r×2 ドグマチール50mg×1
就寝前 リーマス200×1 トリプタノール25mg×3 ハルシオン0.25×1 マイスリー10r×1
便秘時 プルセド錠12r×2
です。
半年くらい前に、「あと少し、やる気がでない」と先生に言い、昼のノリトレンを増やしてもらいました。うつ状態、普通、元気な状態、の緩やかな波の繰り返しで生活していましたが、眠気が強く仕事中眠たい状態が多く、記憶力の低下、注意散漫、話がかみ合わない、切れる。などの理由で職場の仲間から反感を買う状態がではじめてしまいました。 そしてその状態に落ち込み職場に行くのが怖いと言い出し、休む日も多くなりました。 しかし、気がついてみると、休みの日になると調子よくなって元気にあちこち行ったり、自分の趣味の事になると普通より行動力があったりで、家族の者も、仕事は出来ないのに遊ぶ事となると、元気になる、とあきれ果てています。高級車を勝手に契約してきたり、高い買い物のローンを組むという行動に出たり。自分の気が向いた事をする時は全く病気ではありません。普通よりしっかりしています。そうしているうちに、体が対応できなくなり、体調をくずして何日か寝込んでしまいます。
【1411】の方は治療していない様子ですが、主人の場合は治療をしていてでの状態です。そして、これが欲しい、と言い出したらきかず、駄目だと言えば、ショボンとなり、まるでわがままな子供のようなときもあります。「そんな高級な買い物、体調悪くて仕事に行けない日もあるのに出来るわけない」というと「こうやってしているときは、職場に行くのが怖くない。」と訳のわからない説得をしだします。主治医に相談すれば、「病気のせいもある程度ある、がもともとの性格もある。」確かに、薬を飲むようになってから、もともとの性格がきつくなった感じはあります。先生からは、「この薬を飲んで、仕事が出来ているのなら、眠気等は我慢してください。キレるのも自分で出来るだけコントロールしてください。」と言われ、薬も現状のままです。今現在の主人の状態は、プライベートで何か目的があれば(買い物等)元気に仕事をしている状態が続きます。休日もその事で動きまわっています。極端に鬱のひどいときのような落ち込みは出ていません。(これから先、でるかもしれませんが)寝込むというと、体に疲れがたまると不調になりめまいなどを起こして寝込みます。貯蓄も削り、主人の行動にも疲れきってしまいそうです。 確かに仕事は出来るようになった。が仕事以外に上手に休息をとったりしてセーブする事ができたら、普通の生活に戻れそうな気がするのに、それをしてくれない。治療はこのまま、でよいのでしょうか。そして、主人の場合も躁うつ病でしょうか。もし躁うつなら、躁うつ病専門をみてくれる病院を探したほうがいいのでしょうか。これから先どうしたらよいのでしょうか。
林: これはなかなか診断が難しいケースだと思います。一般的にいって、うつ病で仕事を休んでいる時に、むしろ元気だという場合には、(1) 実はうつ病ではなく、そもそも病気というほどではなく、仕事への不適応にすぎない というケースと、(2) 実は躁うつ病で、休んでから躁転した というケースがあります。(これはあえて単純化したもので、どちらにも入らないケースもあれば、本当にうつ病でもそれほどは重くないため、仕事のストレスを避けている状態では比較的元気というケースもあります)
(2)の、実は躁うつ病 というケースは、症状や経過をよく見ればほぼ診断がつくものです(たとえば、躁うつ病 患者・家族を支えた実例集 のケース7)。
この【1508】も、
高級車を勝手に契約してきたり、高い買い物のローンを組むという行動に出たり。
というあたりは躁うつ病のようにも思えますし、処方にリーマスが入っていることから、主治医も躁うつ病と判断しているようです。
しかし、このメールに書かれているその他の症状は、躁うつ病の躁状態というよりも、甘えともとれるものが大部分です。とはいうものの、軽い躁状態ではそのようなこともあり得ますので、甘えのように見えるというだけでは診断の決め手にはなりません。
というわけで、この【1508】の診断は、よくわかりません。主治医の方針に従うか、別の医師に意見を聞くか、の二つが現実的な対応策だと思います。
但し、もう一つ、一度入院するというのも有力な方法だと思います。入院すれば、医師に詳しく観察していただくことも出来るので、より確実な診断が出来る可能性があるからです。