精神科Q&A
【1459】被害妄想の妻に、同じような症例を教えることの是非
Q:
家内(50代)が隣人からの電磁波攻撃妄想による統合失調症で、エビリファイ等の投薬治療を受けて三ヶ月ほどになりますが、妄想がとれません。薬をもらいに病院には何とか行くのですが、当然のことですが病気とは思っていないようです。統合失調症という病気であることをわからせるために、同じような症例を見せて、妄想であることを教えようと思うのですが、それがいいことかどうか、また、接するうえでの注意すべきことがあればご教示いただければ、と思います。よろしくお願いします。
林:
同じような症例を見せて、妄想であることを教えようと思うのですが、それがいいことかどうか
無駄です。いくら理屈で説明しても納得しないのが、妄想というものです。【0919】などでも回答した通りです。ついまわりの方は、このように何とか妄想であることを理解させようと苦心されるのですが、無駄です。むしろご本人からすると、自分のことをまったくわかっていないという確信を強め、態度が余計頑なになることも少なくありません。
但し、病気が回復してくれば話は別です。病識というものは、【1314】でもご説明した通り、はっきりと黒白がつかないことも多く、灰色の段階では、言い方によっては妄想であることを漠然と理解していただくことは出来ることもあります。しかしあくまでもそれは回復してきたときの話です。逆に、妄想であることをわからせて回復させようとするのは(よくそういうことをするご家族やご友人がいらっしゃるのですが)、無駄です。
また、接するうえでの注意すべきことがあればご教示いただければ、と思います。
上記(妄想について、どの時点でどう説明するか)を含め、主治医にご相談ください。