精神科Q&A

【1360】うつ病の治療に前向きに取り組んでから、症状が改善してきました(【1266】【1301】のその後)


Q: 【1266】糖尿病で入院中に思いもかけずうつ病と診断されました【1301】私はうつ病と診断されましたが、同僚を見ると「うつ病 = 甘え」としか思えず、自分の診断を受け入れられませんで質問させて頂いた者です。

何度もメールをさせて頂き、他の沢山の方からのメールもある事は分かるのですが、どうしてもお礼と私と同じ様な方がいらっしゃれば参考にして頂きたく、再度メールさせて頂きました。

林先生から頂きました回答は私の背中を押して頂いたといいますか、「自分をうつ病と認め、治療に前向きに取り組もう」と思うきっかけを与えてくれました。

というのも、【1266】でご質問を書きはじめた頃は内科へ入院し1週間ほど経ち、内科の検査結果が出たばかりで、精神科の受診を思いもかけずした頃でもあり、入院直前まで仕事をしており、丁度その頃は職場で欠勤者や退職者が続々と出ていた頃です。

私の入院は「すぐに」と言われていましたが、すぐに会社を休むわけにもいかず2週間入院を延ばしてもらい、具合が悪い中、体をひきずる様に職場へ行き、その中で「精神的に行けない」「鬱っぽくて」などという欠勤の連絡を受ける度に、心の中で「私は入院しなくちゃならない程に具合が悪いというのに、精神的にとか鬱っぽいとか何だよ」などと叫び出したい気分で、その後入院しうつ病と診断されても余計に自分が鬱病と認めたくない思いでもありました。

入院中にはじめての精神科の受診をした時は内科の医師より「神経科に」と聞いていただけだったので、はじめの診察を行った教授より「精神科の○○です」と言われた時には「騙された」という感情もありました。また、大学病院である事と4月であった為か見学の学生も多く、診察室にしてはかなり広い部屋で窓以外の壁をコの字状態に学生15人程が取り囲み、真ん中に教授と私、その隣では研修医が何やら記録を取っている様な状況だった事と聞かれた事に答えるというのがほとんどで、あまり何を言われたのか、聞かれたのか覚えていません。

ただ、強烈に覚えているのは「今のあたなの睡眠状態はうつ病でしか説明が出来ない」という一言だけです。もしかしたら、林先生の仰られる通り他にも説明をされていたのかもしれないですが、体の倦怠感のせいか聞くのも億劫で適当にしか聞いていなかったのかもしれません。

【1301】でご指摘があった様に「家系にうつ病の人がいるか?」というのは聞かれた記憶があります。その時は「祖父が」という事を答えましたが、【1301】で私が書いた様な詳しい状況は聞かれず、聞かれなかったので答えませんでした。

家系内にうつ病の者がいるという事が重要な情報であるという事を【1301】での林先生の回答ではじめて知りました。そこで思い返してみると、父(祖父は母方の祖父なので父との血の繋がりはありません)もうつ病と言われた事があります。

父は心臓病の開胸手術を行い、術後しばらくICUにいたのですが、元々若い時に左肺の除去手術を行っており、その為心臓が右へ寄っていってしまっている状況で、癒着もあり、尚且つ呼吸も片肺だけの状況なので非常に難しい手術と言われておりながら、手術をしなければいつダメになってもおかしくないと言われていたのもあり、手術をする事にも快諾で、手術に向けての検査・準備にも前向きで手術室にも元気良く手をふりながら入って行き、翌日意識が戻っても生きる事に前向きな状態であったのに、ICUを出てからぱったりと生きる気力を無くしてしまった様な状態になりました。

食べる事は勿論、話しをする事も、リハビリも全くやる気がなく、生きる気が無い様にしか私には見えませんでした。

たまに話しだしたかと思えば、キャッシュカードの暗証番号を私に教えてきたり、家のどこに何があるという様な万が一に備える様な事を言ってきたり、体は良くなっていっているのに、気力が全く無いというか「死を感じているのだろうか?」と思わせる様な状態でした。

その時の主治医(循環器外科の医師)からはICUにいる時やICUを出た後に、環境が変わり鬱状態になる事があるという説明を受け、抗うつ剤を投与してみるとの説明を受け、その後順調に回復し現在は普通(とはいえ、呼吸器と循環器の障害者認定を受けていますが)の生活状況で、特にうつ病の状況はありません。

隠していたつもりはなかったのですが、重要な情報であるという認識もなかったので、もしかしたら重要な情報かもと思い、父の事も書かせて頂きました。

林先生の「擬態うつ病」を是非読んでみたいと思います。ただ、まだ「読みたい」という気持ちはあるものの「本を読む」という事がどうしても出来ない状況です。読める様になった時には是非読んでみたいです。

ここからは是非、私と同じ様に思いもかけずうつ病と診断されたり、うつ病と診断されても肯定したくないという気持ちがある方への参考になるかと思い、現在の私の職場の状況を報告させて頂きたいと思います。

私がうつ病と診断された時は心の中では「肯定したくない」という気持ちで、お見舞いに来てくれた友人達や職場の人にも「うつ病って言われたんだよ〜」なんて笑い話として言ってみたりしていました。誰もが「あんただけはうつ病にならない」と言います。林先生のご指摘通り、「ストレスが原因でうつ病になる」というマスコミなどが流している情報を「正しい情報」として私を含め認識していたからだと思います。

自分で言うのも何ですが、元々私は行動的で何事もはっきりと言うタチですし、面白いものや変わったものに目を向け探し、おもしろおかしくみんなに話す様なタイプで、いつも自分の周りには楽しいものや人があふれている恵まれた環境で生きていると思っています。

仕事も誰よりも率先して行う方で、任命や指示が来てからではなく、いつそれが来ても良い様に準備や勉強、行動をするタイプで、同期の中でも一番早く出世し、先輩達を追い抜いて、現在もある程度の役職がついています。

現在は普通に仕事をしていますが服薬は継続しており、これは内科の医師に指摘されたのですが、血圧がかなり低い状況です。精神科の薬の影響ではないか?という事で精神科の医師にも相談し、やはり薬の副作用という事でした。

その為、急に集中力を欠いたり、自分が行った事を覚えていなかったりする事が度々起きており、上司に相談しミスをすると重大な結果を招く様な仕事は外してもらっています。だからといって、給与を下げられたですとか、業績評価を下げられたという事はありません。私は知らなかったのですが職場でうつ病を理由に退職していった人達は、特に医師からうつ病という診断を受けていたという事がなかったり、自己申告のみで実際にはどうか分からないというものばかりだそうです。おそらく、実際に診断を受けているのであれば退職ではなく休職という手段も取れたでしょうし、退職するのに診断書は必要ないので考えてみれば当たり前の事なのかもしれません。

なので、「ストレスが原因でうつ病になる」という認識はやはりあった様ですが、実際に私が医師より説明を受けた内容をきちんと伝えた事によって、「ストレスが原因でうつ病になる」わけではないという事を理解してもらえました。そして、服薬がなくなるまで時間がかかるという事を私が言い出す前に、「時間がかかるものと捉えているので、あまりあせらない様に」と言って頂けました。

私は恵まれているのかもしれません。内科の入院がなければ精神科を受診する事もなかったでしょう。職場でも自分が自称うつ病の人達を見て良い感情を持っていなかったにも関わらず、上司や会社からは私が思っていた以上の理解を示してくれました。はじめは自分がうつ病と肯定するのにも抵抗があり、尚更会社には言いにくいという事もありましたが、林先生にも背中を押して頂き、自分で自分がうつ病であると受け入れる事によって、会社にも言い出す事が出来ました。

ひとつ自信が持てるのは、「職場で理解してもらえたのは、上司・同僚・部下がきちんと話を聞いてくれ、理解してくれたというのも大きいけど、そういった事をしてもらえる様な仕事を今まであんたが出来ていたからだよ」と友人に言ってもらい、その言葉が今の私の支えになり、大好きな仕事をやはり頑張っていこうと思っています。

長文ですいません。本当にありがとうございました。まだまだ通院は続きそうですが、前向きに頑張っていこうと思います。こう思えるのは少しずつとはいえ、良くなってきている兆候でしょうか?そう思いたいものです。このメールも前回は1ヶ月かかったのが、1日がかりでしたが、以前よりかなり早くなりました。ありがとうございました。


林: 経過をご報告いただきありがとうございました。回復に向かっておられるご様子、何よりと思います。このように貴重なご経験を公表させていただくことで、うつ病の治療を開始し、回復される方が(その中には、命が救われる方も多数いらっしゃるはずです)、何人も生まれると思います。ありがとうございました。今後のあなたのさらなる回復と安定を願っています。


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