精神科Q&A
【1191】不倫。1000万円の借金。ホストとの同棲。どれも事実らしいのですが、記憶がないのです。
Q:
深く悩んでいるのですが、詳細なお話をしないと、今の状態を分かっていただけないと思う一方、内容には犯罪がからんでおり、個人の特定により他人のプライバシーを侵害することとなる可能性を考えると、メールをおくるまでに膨大な時間を費やしてしまいましたが、今回はどうしようもなくなりお便りさせていただいています。
もちろん、注意事項は拝読、承知しております。
申し遅れましたが、私は24歳女性です。ある国立大学の医学部の6年に在籍しております。
去年の7月に全身倦怠感により、ただ座っていることしか出来なくなり、心療内科を受診いたしました。後で母や友人から、顔つきもメイクも変だったと言われました。そのときの診断は「うつ状態」で、処方は、レキソタン1mg 朝夕食後でした。医師に大うつ病性障害ではないのですか?と質問したところ、うつ病の診断をつけるほどの症状ではない、うつ状態です。と言われました。主治医は女性で優しそうな感じだったのですが、なんだか突き放されているように感じ、3、4回受診し、その後行かなくなりました。以前から同性とはうまくいかないというコンプレックスがあったからかもしれません。服薬もあまりしなかったので、今でも手元にレキソタンが残っています。また、母から中学生の頃まではいつも友達の輪の中心にいて友人も多かったのにいつの間にそんな風になったの?と嘆かれたこともあります。
その後、臨床実習には行けたり行けなかったりではありますが、なんとか単位は取得し卒業見込みとなりました。
話は前後するのですが、一昨年の8月より、知り合いの頼みで、水商売のアルバイトを始めました。最初は乗り気ではなく、ちょっとした嫌な事があってヤケクソみたいな感じの勢いで始めました。その後クラブに引き抜かれ、働いていたのですが、友達に誘われホストクラブに通うようになりながら臨床実習を続けていました。
このような状態だったのですが、ちょっとしたきっかけで気分が落ち込み、食欲も性欲も物欲もなくなり、お酒だけを飲み続ける毎日でした。
これではいけないと思い、去年9月末に別の精神科を受診し、幸い話をよくきいてくれる今の男性の主治医と出会うことができました。最初はルボックス25mgx2朝夕食後と入眠困難にレンドルミン0.25mgx1T、あと忘れたのですが、睡眠を維持させる薬剤を他にも1種類頂き、年明けまで服用しておりました。しかし、日中まで眠く、勉強もままならない状態であったため、その1種類はその後2ヶ月ほどして中止となりました。その後、1月初旬ルボックスを3錠に増量され、午前中はボーっとしていて頭痛もするものの調子は良かったのですが、手のふるえと、機能性幻聴がきこえるようになり、手の震えは以前から少し本態性振戦があったような気がすると伝えると、そちらは内科に行かれてくださいと言われ、ルボックス4Tに増量と、機能性幻聴に関しては(だとおもうのですが)セデコパン0.5mgx1t朝夕食後を併せて処方されました。
しかし服薬開始初日から、全身の激しい痺れにより起きていることもままならなくなり、勝手にセデコパンの服薬を中断しましたが、後に主治医に尋ねたところ構わないとのお答えでした。
その後調子は良くなったり悪くなったりしていましたが、2週間ほど前に調子が悪く主治医に伝えたところ、今までの処方にトレドミン15mgx1T朝夕食後を追加されましたが、その後、記憶障害が起こったため(後述します)、トレドミンは念のためということで服薬中止になりました。また、そのとき思い切って、私はうつ状態ですか?うつ病ですか?とおききしたところ、「今は調子がいいが、初診の際はうつ病の診断のつけられる状態であり、私はうつ病と診断しました。」 とおっしゃいました。
現在はルボックス25mgx3T朝夕食後に加えて眠前にレンドルミン0.25mgx1Tの二種類を服薬しております。うつの状態は少しずつですが、改善しているように思います。
ここで本題なんですが、起こった記憶障害というのが、ある特定の人物に関する記憶とある特定の事実に関する記憶なのです。
このようなドラマのようなことが本当に起こった事実に自分自身たいへん驚き、困惑しております。
まず、思い出せない記憶としてある人物(以下A。男性)の記憶がすっぽりとないのです。きっかけというのも、入浴中に居眠りをしてしまった(意識消失?)だけで、その後、携帯電話のメールの送信履歴をみる機会があり、知らない人物にメールをおくっている!と思ったのが発見のきっかけでした。
その後、知り合いなどに話をきくことにより、Aと私は相当仲が良かったということだけは判明しました。
しかし、A本人にあっても初めましてと言ってしまうほど記憶の片隅にもなく、思い出せないのです。メールを読む限りでは、Aに対し、私が一方的に謝っており、その返信はなく(消したのかも)、私の謝っている文章は抽象的すぎて何のことだかさっぱり分からないのです。A本人は私のことはよく知らないと言っており、思い出して欲しくないのかもしれません。そのことで、知人たちも私に詳しい話をしてくれないのです。
実はAはホストをしており、私はその客だったのだと思います。しかし、友人の話によると、休みの日も二人で遠出したり、飲みにいったりしていたということです。これは誰も知らないあるいは隠しているのですが、彼と一緒に住んでいた形跡さえあるのです。きいたところによる彼の本名の印鑑や、彼宛の手紙もうちにあるのです。しかし彼からは、うちには一度も行ったこともない、それは勝手に持って帰ったんじゃない?と言われました。本当のことを知りたいと思う反面、彼がそう言うのならこのままでもいいかなぁと思うようになってきたんです。主治医に話しても、無理して思い出さなくてもいいのでは?と言われました。
しかし、その後、重大な事実が発覚したのです。急に高校の頃の担任からお金を返せと言われて、意味がわからず、言われたとおりに通帳を確認したところ、確かに何回かに分けて合計1000万近いお金が振り込まれていたのです! 私にはその記憶が全くありません。そもそも私はその方を高校の担任としか認識しておらず、意味が全く分からずこうしてメールをさせていただくこととなりました。
確かにお金は振り込んであったのですが、それがお借りしたものか、いただいたものなのかも定かではないのです。
しかし、友人何人かに聞いたところ、高校時代(16歳)に担任と不倫していて、後にばれて相手は離婚するハメになってしかもクビになったから二度と不倫はしないって言っていたし、大学の推薦入試も体を使った裏口入学って周りから相当言われて、かなり精神的に参ってたように見えたよ。と言われたのです!つまり、私は高校の担任と不倫し、大学に推薦入試で入学し、お金まで借りていたということになるのです!ただ、担任は私が記憶を失っているのをいいことに、不倫関係はなく、ただお金を貸したとだけ言っているようのです。
けれども、複数の友人の話や、いただいたとされるものを見る限り、ただの教師と生徒の関係でなかったことは容易に想像できるのです。ただの生徒に1000万近いお金をやるあるいは借用書もなく貸すなんて常識では考えられませんから。しかし思い出せません。このような場合、思い出す方法はあるのでしょうか?
また、私は家族との折り合いも悪く、医者にはなるつもりがないと話してから更に、親不孝娘とか何のために育ててきたかわからないなどを言われていて、親にはそのお金のことは絶対に知られたくない事実だということをいいことに、払わないなら親に言うと脅迫まがいのことまで言われています。弁護士さんを介しましょうと私がいうと、それなら親に言うと言われています。借用書や、私が貸してくださいと言っているメールなどもなく、お金がなくて困っているという趣旨のメールのみしか残っていないのです。
思い出せるのでしょうか? 私はやっぱり借りたかいただいたか分からないお金を払うしかないのでしょうか? 催眠療法なども試してみたいと思っているのですが、どのようにお考えですか?
あと、私はうつ病ではないような気がするのですが?たしかに今は部屋もきれいに片付けられるし、家事もできます。でも、あのときはただただ座っていることしかできませんでした。食欲も睡眠欲も物欲も性欲もなかったことは事実ですが、毎日夜な夜な飲み歩いていたのです。毎日浴びるように飲み、潰れて帰れば眠れるという状態でした。ただのサボりだとよく思っていました。
また、私は以前におつき合いしていた男性にボーダー(境界性人格障害)ではないか?と言われ、自分でもそうではないかとおもっています。DSM-Wの診断基準にはほぼ当てはまるし、何より見捨てられるのがこわく、交際している男性の前で何度も狂言自殺を繰り返しています。それは気分が落ち込んだときの本当に死にたいと思う気持ちとは全く別物です。気分が落ち込み、生きていても仕方がないと思うことは多々ありましたが、交際相手の前での狂言自殺は本気で死ぬ気はほとんどないといっていいと思います。死んでしまうかもと思うことはありますが別れると言う彼氏をどうにか引き止めたくてやっているのだと思います。
しかし、主治医に言ったところそういう素質は誰でも持っているもので、それだけで境界性人格障害と診断できるわけではない。と言われました。しかし、以前から同性との関係を築くのが苦手で、異性には好かれる?ほうだと自負しております。また、高校の担任にさっき電話で言われたのですが、自分が世話になるときだけは都合のいいこと言って、こっちが腹に据えかねて怒ると逆ギレすると。これも境界性人格障害の典型ではないですか?常に異性の誰かが支えてくれているという感覚がないと怖くて何も決断できません。また、近い親戚に統合失調症の患者がいるのと、周囲がいつも悪口を言っているのではないかと気になることから、統合失調症なのでは?と悩んだりもします。
また、体調が少し悪くなると、重篤な病気じゃないかと心配になります。これはうつの心気妄想なのかなぁとか、不倫していたということをよく、いつかバチがあたって死ぬとか、悪いことがおこるとすぐに不倫していたからだと友人に言っていたそうです。裏口入学じゃないよといくら友達に言われても、裏口だから医者にはなっちゃいけないともいっていたようです。罪業妄想かなぁと思ったりもして。。。
下手に知識があるから、自分をムリにうつ病に近づけて、そう見せてるんじゃないかとも思います。主治医はSSRIが著効していることからもうつ病であった可能性が高いですとはおっしゃいましたが林先生のお言葉をお借りすると、擬態うつ病ではないかと思うことがよくあります。
長々と徒然なるままに稚拙な文章を書き連ねてしまいましたが、まとめると、私の診断はDSM-Wでいうと、T軸診断が擬態うつ病(林先生の造語ということですが。。。)II軸診断が境界性人格障害ではないかと素人判断で思うのですが? 林先生のご判断では、何である可能性が高いでしょうか? また、II軸診断としての境界性人格障害の可能性は否定的でしょうか?
また、私はこれからどうしたらいいでしょうか?
主治医の先生との医師-患者関係は良好だと思っています。しかし、先生が忙しいからと私が気を遣い、10分の診察時間をオーバーしてはいけないと焦るので、いつも話し足りない感じがします。
たいへん長くなりましたが、どうぞよろしくお願いします。
追伸
ルボックスとレンドルミンを飲み始めた頃から、夜中に私を見かけたという目撃情報が多発しています。バッグ、服装、歩き方、仕草、全て私だったと言ってるんです。いつも一緒にいた友人三人が見かけており、一人は目が合ったと言っていて、いまだに私じゃないと言っても信じてくれません。そういった目撃情報は決まって夜で、私の寝てた時間なんです。そういった情報は今のところ4件もあります。しかし、次の日、私はちゃんとパジャマでスッピンでベッドから起きているのです。
他人の空似だろうと軽く考えていたのですが、記憶障害を発症してから、なんだか不安になり、そのことも関係あるのではと思い、追加してメールさせていただきました。
林: あなたの記憶障害は、解離性健忘です。
(最後の「追伸」の部分は別です。これについては後で解説します)
起こった記憶障害というのが、ある特定の人物に関する記憶とある特定の事実に関する記憶なのです。
質問者は医学生とのことですので、解離性健忘についてはすでにご存知か、あるいはお手元の精神医学の教科書を見れば、ご自分の症状がこれに当てはまっていることはすぐにおわかりになると思います。
解離性健忘の現われ方にはいろいろあり、ある時期に限定されたものもあれば(日から年の単位まで。【0810】などをご参照ください。さらには、自分の人生の全てが記憶から失われる「全生活史健忘」というものもあります)、この【1191】のケースのように、ある出来事や人物に限定されたものもあります。これを選択健忘といいます。選択健忘の内容は、多くの場合、その人にとって重大な意味を持った事であるのが常です。この【1191】の方の記憶から失われている「A」と「担任」のいずれも、ご本人にとって重大な意味を持っている(あるいは、持っていた)ことがメールから読み取れます。
まず、思い出せない記憶としてある人物(以下A。男性)の記憶がすっぽりとないのです。
A本人にあっても初めましてと言ってしまうほど記憶の片隅にもなく、思い出せないのです。
彼と一緒に住んでいた形跡さえあるのです。
「A」が重要な人物であったことに疑いはないでしょう。
そして、その「A」との別れをめぐって、何か重大な出来事があったことも確実だと思います。だからこそ「A」が選択健忘の対象になったはずです。
そしてその重大な出来事を、思い出したほうがいいか、思い出さないほうがいいかは、何とも言えません。
主治医に話しても、無理して思い出さなくてもいいのでは?と言われました。
私はこの主治医の先生に基本的に賛成です。
理由は、【1160】などにもお書きしたように、その記憶内容が本人にとって耐え難いものであるからこそ健忘になったと考えられるからです。つまり、事実に直面することに、あなたは耐えられないのではないかという危惧があるのです。ですから、(どうしても気になるのはよくわかりますが)、思い出さなくても今後特に支障がないのであれば、あえて思い出そうとする必要はないと思います。
「担任」については、やや事情が異なります。
急に高校の頃の担任からお金を返せと言われて、意味がわからず、言われたとおりに通帳を確認したところ、確かに何回かに分けて合計1000万近いお金が振り込まれていたのです! 私にはその記憶が全くありません。そもそも私はその方を高校の担任としか認識しておらず、意味が全く分からずこうしてメールをさせていただくこととなりました。
確かにお金は振り込んであったのですが、それがお借りしたものか、いただいたものなのかも定かではないのです。
私は高校の担任と不倫し、大学に推薦入試で入学し、お金まで借りていたということになるのです!
急に高校の頃の担任からお金を返せと言われて、意味がわからず、言われたとおりに通帳を確認したところ、確かに何回かに分けて合計1000万近いお金が振り込まれていたのです! 私にはその記憶が全くありません。そもそも私はその方を高校の担任としか認識しておらず、意味が全く分からずこうしてメールをさせていただくこととなりました。
確かにお金は振り込んであったのですが、それがお借りしたものか、いただいたものなのかも定かではないのです。
しかし、友人何人かに聞いたところ、高校時代(16歳)に担任と不倫していて、後にばれて離婚するハメになって相手はクビになったから二度と不倫はしないって言っていたし、大学の推薦入試も体を使った裏口入学って周りから相当言われて、かなり精神的に参ってたように見えたよ。と言われたのです!つまり、私は高校の担任と不倫し、大学に推薦入試で入学し、お金まで借りていたということになるのです!
「やや事情が異なります」と私が言ったのは、多額な金銭もからみ、また場合によっては刑事事件に発展する可能性もある重大な出来事なので、「A」の件とは異なり、思い出さなくても今後支障がないと推定するわけには到底いきません。
けれども、このように、問題の出来事の内容がすでに明らかになっていて、それをあなたは記憶にはないものの、状況からほぼ認めておられるようですので、この件もあえて思い出そうとする必要もないという考え方も出来ないこともありません。「A」の件についてお答えしたのと同様、これ以上の事実に直面することにあなたが耐えられないことが危惧されるからです。
思い出せるのでしょうか?
思い出すことは不可能ではありません。
しかし、ここまで説明してきた通り、必ずしも思い出す必要はないかもしれません。
私はやっぱり借りたかいただいたか分からないお金を払うしかないのでしょうか?
受け取ったことが事実なら、そうかもしれません。
記憶を取り戻すことに伴うリスクを考えると、払ってしまったほうがいいとも考えられます。しかし、あまりに多額ですので、そうあっさり払うというわけにもいかないでしょう。結局ここは、1000万円という金額と、記憶を取り戻すことに伴うリスクを比較し、どちらが大きいかを考える以外ないかと思います。そう言ってしまうといかにも打算的と思われるかもしれませんが、結論としてはそうならざるを得ないでしょう。
催眠療法なども試してみたいと思っているのですが、どのようにお考えですか?
やめたほうがいいと思います。
医学生のあなたはご存知かもしれませんが、催眠にかけるというテクニックは、常識に反して、意外にやさしいものです。あなたの失われた記憶を取り戻すことも、素人催眠でも可能かもしれません。しかし催眠はただかければいいというものではなく、その後が問題です。 【1191】のケースでは、催眠で記憶が戻ったとして、その後に来ると予想される、本人の心にとって破滅的な反応にどう対処できるかが最大の問題です。もしあなたが、どうしても記憶を取り戻したいと決意され、その手段として催眠を選ばれるなら(解離性健忘で記憶を取り戻すための手段として、催眠が有効なことは確かです)、かなり信頼できる治療者を選ぶ必要があります。その選択はできる限り慎重に行ってください。また、今の主治医の先生にご相談されたほうがいいでしょう。
私の診断はDSM-Wでいうと、T軸診断が擬態うつ病(林先生の造語ということですが。。。)U軸診断が境界性人格障害ではないかと素人判断で思うのですが?
DSM-Wのような正式な診断基準に、擬態うつ病というローカルな診断名を適用することはあり得ないことです。T軸に関しては、あなたの主治医の先生が「うつ病」と明言されていることからは、少なくともある時期には「大うつ病エピソード」の診断基準を満たしていたと推定できます。だとすれば、(質問者が医学生ですので細かくお答えしますと)、「296.25 大うつ病性障害、単一エピソード、現在部分寛解」が現在の状態ということになりそうです。
なお、あなたが統合失調症ということはないと思います。
U軸については、境界性人格障害の可能性は高そうです。あなたがご自分をそうではないかとお考えになる理由として挙げられている点からも、また境界性人格障害では解離症状を伴うことが稀ではないことからも、その可能性は支持されます。しかし、主治医の先生がそれを否定されるのであれば、そのご判断を重視すべきと思います。(もっとも、主治医の先生は「うつ病」とおっしゃったことはこのメールに明記されていますが、「境界性人格障害でない」とおっしゃったとは明記されていません。これは実は意味深長で、DSM-Wでは、一人の患者さんについて、うつ病と境界性人格障害の診断が同時についても矛盾はないことになっています。つまり、T軸が大うつ病性障害で、U軸が境界性人格障害ということも、診断基準上は正当な記述になります。これは、DSM-Wではそうだということにすぎず、精神科の診断分類上は重大な問題です。つまり、境界性人格障害の人の虚無感・空虚感が強まって、大うつ病エピソードの診断基準を満たすような状態になった場合、それを真の(と表現するしかないのですが)大うつ病エピソード、つまり真のうつ病と同種のものであるとみなすか否かという問題です。私は両者は異質のもので、したがって同種とみなすべきではないという見解を持っています。しかし診断基準上は両者の並存を認めざるを得ないところで、これがうつ病という病気の概念の混乱にもつながっていると考えています)
それから、「追伸」にお書きになっている点ですが、
ルボックスとレンドルミンを飲み始めた頃から、夜中に私を見かけたという目撃情報が多発しています。バッグ、服装、歩き方、仕草、全て私だったといってるんです。いつも一緒にいた友人三人が見かけており、一人は目が合ったと言っていて、いまだに私じゃないと言っても信じてくれません。そういった目撃情報は決まって夜で、私の寝てた時間なんです。そういった情報は今のところ4件もあります。しかし、次の日、私はちゃんとパジャマでスッピンでベッドから起きているのです。
これは薬の影響による健忘だと思います。「A」や「担任」にかかわる健忘とは全く異質なものです。【0685】などをご参照ください。ルボックス、レンドルミン、どちらもこのような健忘の原因になり得ますが、レンドルミンが原因の可能性のほうが高いでしょう。また、二つの薬の相互作用かもしれません。対策としては、原因薬の中止以外にありません。