精神科Q&A
【0848】やはりうつ病ではなく擬態うつ病だと思ってしまいます(【0559】の続き)
Q:
【0559】うつ病がよくなってきたのですが、「自分は治るべき人間ではない」という考えが頭をよぎるようになりましたにて回答を頂いた33歳男性です。 その節は大変ありがとうございました。
今回はその後の経過と今後の治療方法について質問がありメールさせて頂きました。
1年半前にある程度回復したので復職を試みましたが、3ヶ月でダウンし休職、その後も回復→復職→休職を3回ほど繰り返し現在4回目の復職を試みているところです。 今現在服薬しているのは下記の通りです。
アモキサン → 朝食後に25r
アビリット → 毎食後に50r
パキシル → 夕食後に20r
テトラミド → 就寝前に60r
マイスリー → 就寝前に10r
しかし、残念ながらあまり薬の効果が無いように思えるのです。
もっとも、以前の酷い状態を考えれば今現在は趣味にも目が向くようになっているので回復しているのは明らかなのですが、疲労感・不安感・不眠(早朝覚醒)・自殺願望はまだ残っています。
趣味に目が向くといっても心からは楽しめません・・・ 本当に治るのか不安でたまりません。 以前の回復も薬では無く療養した事により回復したのでは?と感じています。
アナフラニールの点滴や電気痙攣療法が有効だと言う事を本で読んだのですがこの治療法を試してみるべきなのでしょうか? それとも薬の量が足りていないのか・・・
そもそも私はうつ病なのでしょうか・・・ 薬の効果もあまり感じないので最近は私は擬態うつ病なのでは?と考えてしまいます。
林: 【0559】でお答えしたとおり、やはりあなたはうつ病だと思います。擬態うつ病ではありません。
残念ながらあまり薬の効果が無いように思えるのです。
このようにあなたはお書きになっていますが、ここに記されている処方は、私にはあまり適切であるとは思えません。
【0559】で、あなたの飲んでおられる抗うつ薬の量は少なすぎることを指摘いたしました。現在の処方は、総量としてはそれほど少ないとは言えませんが、ドグマチール、アモキサン、パキシル、テトラミドという4種類の抗うつ薬を併用するのは、普通はよくない処方です。
「普通は」と言ったのは、治療が長引いてくると、どうしても複数の抗うつ薬で治療しなければならないケースもあるからです。ですから、あなたの処方に関しては、これまでの処方の変遷を見なければ、適切か不適切かの判断はにわかにはできません。
もしこれまで、どれか1種類の抗うつ薬を十分な期間、十分な量を飲むという治療がなされていないのであれば、まずはそれを試みるべきです。これまであなたは決して回復しなかったわけではありませんし、
以前の酷い状態を考えれば今現在は趣味にも目が向くようになっているので回復しているのは明らか
という今の状態を見ても、治療の効果が出ていることは確かです。したがって、繰り返しますが、どれか1種類の抗うつ薬を十分な期間、十分な量を飲むという治療によるさらなる改善は十分期待できます。そしてこれも【0559】の繰り返しになりますが、うつ病が長引く最大の原因のひとつは、抗うつ薬の量が少なすぎることであることは、うつ病の相談室にお書きしたとおりです。
アナフラニールの点滴や電気痙攣療法が有効だと言う事を本で読んだのですがこの治療法を試してみるべきなのでしょうか?
それももちろん効果が期待できますが、それ以前に、飲み薬でしっかりした治療を試みることをお勧めします。
その後の経過(2006.3.5.)