精神科Q&A

【0074】うつ病と旅行


Q: 31歳女性です。うつ病のため休職中ですが、だんだん良くなってきたこともあり、この夏にシンガポールへの旅行を計画しています。雑事から解法されてのんびりしたいので、自分としては行きたいと強く思っています。けれども主治医には旅行は出来れば延期した方がいいいと言われました。確かに疲れ易いなどのうつの症状は残っているので(だからこそまだ休職中なのですが)、旅行はやめた方がいいのかなとも思っています。ただ、林先生の「精神科Q&A」に南国での治療は効果がある場合もあるかもしれない、との記述があったので、迷う気持ちになっています。どうするべきでしょうか。

林: 主治医の指示に従うべきです。
うつ病は休むことが第一です。けれども回復期には、何かやりたいことがあればどんどんやって構わないし、それが回復の助けになることも多いものです。ただしあくまで「やりたいことがあれば」であって、元気になろうとして無理に何かをするのは間違いなくマイナスになります。もう一点注意することは、やりすぎて疲れてしまわないようにすることです。あなたの場合には、旅行に行きたいというのははっきりとしたご自分の希望のようですので、問題はそれが過度の疲れにつながるかどうかということです。現在のあなたの生活から考えて、旅行は過度の疲れにつながると主治医の先生は判断されたのだと思います。もしかすると他の理由もあるかもしれません。
 それから、「南国での治療がいいかもしれない」というのは、季節性うつ病の場合は十分な日照を浴びれば治療効果があるということですので、少なくとも一ヶ月以上は行かないと意味はないでしょう。また、あなたの場合は冬に発症したわけではないので、季節性うつ病ではないと思います。ですからその意味では南国への旅行が特にいいとは思えません。ただし、旅行の解放感がプラスになる可能性は大いにあります。けれども主治医の先生は、そういうプラスよりもマイナスの方が大きいと判断されたのでしょう。

おそらくこのメールを私に出された理由は、私から「旅行に行ってもいい、場合によってはプラスになるかも」という回答を期待されてのことと思います。そうでなければメールしませんよね。しかしメールによる病状報告には限界があります。また、メールを書く理由が、「行ってもいい」という回答を期待してのことであれば、「行ってはいけない」と言われそうな何らかの症状が書かれていない可能性もあると思います(意識的か無意識的かはわかりません)。何にせよ、ある一定の答を期待して投げかけられる質問には、正確な回答は困難だと思います。主治医の指示に従うべきだという理由の一端はここにあります。最終的にはあなた自身の判断ということになりますが。・・・もし、すでに行く・行かないを決めておられていたら、この回答は無視してください。

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