精神科Q&A

【0438】うつ病でリストラされ症状が悪化、治るのでしょうか


Q: 41歳、男性です。うつ病で半年前にリストラされ、症状が悪化しました。それでも、生活のためにと、当初、就職活動しましたが、面接時にいつもパニック状態となり、失敗の連続でした。うつ病→面接の失敗→うつ病の悪化 という悪循環を繰り返してきました。

 5ヶ月前より就職活動は一旦休止し、休養につとめるようにしました。過眠状態が顕著に現れ、1日16時間くらい寝ていました。体は動かさないのに、食事は普通に取っていたので、体重は5キロくらい太り、顔がむくみ、知人からなにかボケーとしている感じだよと言われてしまいました。
 
 今年になってからそれではいけないと思い、プール通いを始めました。実は私は病前はトライアスロンをやっていたので、水泳は楽々のはずなのですが、再開した当初100メートル泳ぐだけで疲れてしまいました。今では、1日3キロ泳げるようになり、毎日通っています。現在の症状としては、不眠、慢性的な疲労感、水泳以外に全く興味がないということです。睡眠剤はアモバン10mg、サイレース4mgを飲んでいますが、それでも4時間眠れれば良い方です。疲労感の中でもなんとか3キロ泳ぐことができますが(水泳は何もせずにも水中に浮かんでしまいますので、それ程負荷がかからず全身運動で良い気分転換にはなっています。ただそれは、いったんプールまで行ってしまうことが出来れば気分転換になるということです。家を出てプールへ出かけるときには勇気がいります)それ以外はごろごろしていて、テレビも新聞も見る気がしません。泳いでいる時以外は、失業中ということで、焦燥感、不安感、絶望感に覆われ気が狂いそうになります。失業という状況を脱出しなければ私のうつは治らないのじゃないかと思うのですが、先ほど述べましたように、悪循環の繰り返しとなってしまいますので、そうすると永久にこのままの状況が続くのかと、さらに絶望感が強まります。来週も就職試験があるのですが、パニック状態に陥るのは目に見えています。

 このような私に薬物治療は有効なのでしょうか。また、うつが治るということがありえるのでしょうか。何か良い、治療法はありますでしょうか。アドバイスよろしくお願いいたします。

: うつ病は、治ります。メールの文面から判断して、あなたはうつ病と思われますので、薬物療法は有効と考えていいと思います。
 うつ病が長引くと、現実の生活にいろいろな影響が出てきます。それは家庭内の変化だったり事上の変化だったりします。あなたのケースのようなリストラは極端な例ですが、うつ病の結果としてありうることではあります。
 そして、このような変化があると、症状に二次的な影響が出てきます。つまり、たとえばリストラとなれば、それ自体のために落ち込んだりあせったりするのは自然なことです。こうなると、今あなたの実感している症状が、うつ病が治っていないことによるのか、それともリストラされたことによるのか、わかりにくいという状況が生まれます。似たようなことは、うつ病が長引いた場合によくあることです。
 そして、このような状態になると、あなたが書いておられるように一種の悪循環になっているため、
「失業という状況を脱出しなければ私のうつは治らないのじゃないか」
というふうに考えてよけい絶望的になられるのも理解できます。
 けれども、今のあなたの症状は、文面から判断する限りリストラによる二次的なものよりも、うつ病そのものの症状という要素が強いと思います。(リストラの影響が皆無とは言いませんが)
 ということは、薬物療法が十分期待できるということになります。
 今飲んでおられる抗うつ薬の記載がありませんので、はたして十分な治療を受けておられるのかどうか判断できません。うつ病が長引くことの最大の理由のひとつは、抗うつ薬の量が不十分なことですので(このことは、うつ病の医学部講堂やうつ病の図書室に書きました)、その可能性も考慮しつつ、今後しっかり治療を受けられることが第一です。うつ病は治ります。

 


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る