精神科Q&A

【0325】私の友人は境界性人格障害でしょうか


Q:  私の友人(18歳、女性)は、中学の頃から慢性的にリストカットなどをしていました。その他にも不眠症や拒食症を繰り返し、学校にもあまり通っていませんでした。自分ではうつ病だと言っています。病院には行っていません。私が色々と病気について調べたところでは、うつ病というより境界性人格障害なのではないかと思いました。見捨てられ感が強い、などという症状が一致していると思うのです。しかし当てはまらないなと思うものもあります。例えば私は彼女が良い自分と悪い自分を使い分けて他人を操作するような人間には見えません。境界性人格障害でもなく、うつ病でもないとすると、彼女は何という病気なのでしょうか。

: わかりません。ただしメールの文面からは、もっとも考えられるのは境界性人格障害だと思います。うつ病ではないでしょう。

境界性人格障害でも、あるいは他のどんな病気でも同じですが、本などに書いてある項目のすべてが当てはまる人はまずいません。したがって、この方が、「当てはまらないと思うようなものもある」ことは、境界型人格障害を否定する何の根拠にもなりません。また、「他人を操作するような人間には見えない」と書かれていますが、他人を操作する人は、他人を操作するようには見えないものです。そう見えるようでしたら、誰も操作されないでしょう。ですから、「他人を操作するような人間には見えない」ということは、その項目にあてはまらないという何の根拠にもなりません。

本などに書かれている診断基準(境界性人格障害の診察室にも記してありますが)、すべて上に書いたような性質のものです。つまり、まず第一に、すべてが当てはまる人はまずいません。第二に、ひとつひとつの項目について、当てはまるかどうかの判断自体が、そう簡単ではありません。診断基準をご自分が、あるいは知っている人について当てはめて診断しようとしてもそれは無理で、目安にしかならないということのひとつの理由はそういうことです。


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