精神科Q&A

【0289】抗うつ剤を飲んで仕事は出来ませんか 


Q:  私は40歳の看護婦です。昨年うつ病の診断書で3ヶ月間病休を取り休みました。半年前に産業医や関係部署の課長の復帰審査を経て仕事に復帰しました。しかし現場の管理側の「看護婦は、抗うつ剤を飲んで仕事をしてもらっては困る」という意向があります。
 うつ病になると、仕事中ミスをするとも言われました。そのため現場の看護業務にはつけず、片付けや洗濯といった雑用をずっとさせられています。3ヶ月前までドグマチールとパキシルを飲んでいましたが、今は飲んでいません。しかしドグマチールを飲んでいたから、まだ通常の業務に復帰させられないといわれます。他の職員から見ると変わったところは無いといわれますが、婦長からは「かたまっている」とか、「日によって波がある」といわれます。婦長とは、はっきりいって気が合いません。些細なことで怒鳴られたりします。また、私が婦長を逆恨みしているとか、指示に刃向ったとかも言われました。しかし私は全くそういうことはしていません。周りの看護婦もそんな噂は聞いたことが無いといいます。婦長とは、感情的にかなり関係がこじれにこじれている感じです。私自身はもう全く通常の業務に戻れると思いますが、実際に判断するのは婦長です。
 このままいつ復帰できるのか目途もありません。抗うつ剤を飲んで仕事をしてはいけないのでしょうか?

: 抗うつ薬を飲みながらでももちろん仕事はできます。実際、抗うつ薬を飲みながら働いている人はあらゆる職種にたくさんいらっしゃいます。
 あなたのケースは、職場の規定上は復帰可能とされたものの、直接の上司に拒まれたということですので、くやしいと感じられる気持ちはよくわかります。
 もし抗うつ薬を飲んでいるということを理由に通常業務への復帰を拒まれているとすれば、それは不条理なことです。しかし、上司(婦長)から見ると十分治っていない面があるとのことですので、そうなると話は少し違ってくるでしょう。職場復帰そのものは認めた上で、業務内容に配慮すること自体は、上司の裁量であり、義務でもあるはずですから。
 ただしあなたのケースで、「十分治っていない面がある」というのが、婦長のあなたに対する不公平な判断によるものか(つまり婦長とあなたの感情的なこじれによるものか)、それとも実際にあなたの仕事ぶりが上司である婦長から見て不十分なのか、私には判断できません。メールを読む限りでは前者のようですが、一方の当事者だけの言葉からそこまで断定することは避けたいと思います。
 感情的なこじれを別にして、単に「抗うつ薬服用中は職場復帰は認めない」という規定や不文律があるとしたら、端的に悪い規定だと思います。こんな規定があれば、誰でも精神科に通院していることや服薬していることを職場に対しては秘密にするという対応を取るのは目に見えていますから。
(念のため繰り返しますが、あなたのケースでは、単に「抗うつ薬を服用中だから通常業務をすることは認めない」というのとはニュアンスが異なると思います)

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