精神科Q&A
【0168】 うつ病だと思っていたのに、人格障害だと言われて憤慨しています
Q: 30歳の女性です。精神科の通院は5年になります。
今まで病気に対する説明はあまりありませんでした。しかし最近になって、実は人格障害だと言われました。どうして5年も教えてくれなかったのかと、主治医に対する不信感が募り、診察を受ける意欲をなくしました。かつてはうつ病と診断されたこともあって、うつ病は治る病気だといわれました。治る病気と信じていたのに、裏切られた気持ちです。今は薬は飲んでいますが、もう主治医の先生とは話をしたくありません。人格障害に見られる症状は、軽減したり、なくなったりすることがあるのでしょうか。
林: 患者さんご本人に、病名をどうお伝えするかというのは難しい問題です。とにかく正しい病名を伝えるべきだという考え方もあるとは思いますが、それは現実の患者さんを知らない人の意見だと思います。病名を伝えられたことによって、強く失望して病状が悪化したり、あるいは病院に来なくなってしまう方も少なからずいらっしゃいます。そうしますと、本来の目的である治療は失敗ということになってしまいます。
ですから特に精神科では、病名の告知にはとても神経を使います。あなたの場合の細かい状況まではわかりかねますが、人格障害という診断名を告げられなかったのは、何らかの治療上の理由があったのだと思います。たとえば、もし最初から「あなたは人格障害です」と告げられたら、あなたはどう感じたか、考えてみてください。
それから、人格障害はうつ病に比べて改善しにくいことは確かですが、だからといって良くならないと決まっているわけではありません。5年も続けて診て頂いた先生に、これからも治療を受け続けられるのが一番いいと思います。
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● あなたが本物の患者なら・・・病名の告知についてもご参考になると思います。(ただし、ひねって書いてあります)
● 擬態うつ病・・・本当はうつ病でないのに、うつ病と診断名がついていたり、ご本人がそう思い込んでいる人のことです。擬態うつ病は増えていると思います。その理由のひとつは、「うつ病」という病名なら納得されやすいということがあります。