精神科Q&A
【0019】 精神科のクリニックか病院を紹介してください。
もう少し解説します・・
ご紹介は一切しないという方針でやっています。私(林 公一)の診療場所についてのお問い合わせも時々いただくのですが、こちらもお教えしないことにしています。理由は、私のサイトが医療機関の宣伝の要素を持たないようにするためです。
インターネットで医療機関の宣伝をすること自体には、問題があると考えているわけではありません。むしろ、病院やクリニックがホームページで診療内容の情報を提供すれば、大いに患者さんのためになると思います。また、第三者の立場で病院やクリニックを評価するサイトがあれば、もしその内容が正確なら、とても役に立つでしょう。
ですから、「宣伝の要素を持つことを避ける」というのは、あくまでも今の私のサイトに関してはそういう方針だということです。私の作成・運営方針は、トップページに記されている通り、「脳の科学の進歩により、こころの病の多くが治るようになっています。それを知っていただくために作成しているサイトです」ということです。アクセスしていただいた方々に、こころの病気についての正しい知識(私の考えるところの正しい知識、ということです。時代によって、また人によって、特にこころの問題に関しては何を正しいとするかは違ってきますので、普遍的に正しい知識というのは存在しないでしょう)を提供することがサイト開設の目的で、次のステップ、つまりどこの病院を受診するか、などについては扱わない方針をとっています。宣伝の要素を持ってしまうと、どうしても内容にもその影響が出てしまうという危惧も持っています。
なお、現時点(2000年11月)では、私の知る限りでは、第三者の立場で病院やクリニックを評価・紹介する本やホームページにはあまり信頼できるものは存在しません。そういうものの作成者がいい加減だということではなく、いまの制度では、医療機関の診療内容の情報を正確に集めることは不可能だというのが大きな理由です。
むしろ参考になるのは、クリニックや病院が自分で開設しているHPです。こういうものは、結局は宣伝のために作成されているのだから、といってあまり信用しない方もいらっしゃいますが、逆にその「結局は宣伝のため」ということを意識して読めば、とても役に立つと思います。どんなものでも、本当の作成意図が読者にわかっていれば、真実はおのずと見抜けるものです。この意味で、私はどんな種類のものでも広告や宣伝というものがとても好きで、よく見ています。よく見れば作成者のいろいろな思惑が見えてきてとても面白いものです。反対に嫌いなのは新聞で、新聞というものは一見公正中立なポーズをしながら、実はなんらかの意見を裏で持っていてその方向に読者を誘導しようという意図があることが多いものです(すべてがそうであるとは言いませんが)。宣伝や広告は、「商品を良いものに見せて売る」という意図があることを誰もが知っていますから、そういう心配はないわけです。
ちょっと話がそれましたが、広告といえば、医療機関の広告は法律で大きく制限されています。このため、患者さんの側からすると、それぞれの医療機関の特長を知ることができず、どこを受診したらいいかわからないという事態が起きているのです。インターネットによる病院の紹介も、もしかすると広告とみなされて法に触れる可能性もあるので、作るほうも手探り状態というのが現状だと思います。法律による広告の制限は、自由競争による弊害によって患者の利益を侵害するおそれがある、というのが趣旨ですが、逆に制限によるマイナスが目立ってきているのも事実で、法律は近い将来に改正される動きもあるようです。(2001年3月に一部改正されました)
そんな先のことより、いまどこを受診したらいいかというご質問でしたよね。いままでの話はみんなそれに関係あるのですが、もうひとつつけ加えるとすれば、直接知っている人に評判を聞くというのも、言うまでもなくいい方法です。もちろん、ほかの人にとってのいい先生があなたにとってのいい先生とは限りませんが、そういう限界を理解したうえで人に聞けば、一番役に立つ情報が得られるかもしれません。
そう言いながら、実は私は、「いい病院を見つけたらあまり人には教えないほうがいい」とも言っていますので、矛盾しているのですが・・(このことについては、「あなたが本物の患者なら」をご参照ください)