精神科Q&A

【2364】永きにわたりましたが、確かにうつ病は治りました


Q: 48歳男性、既婚、1男1女の父親です。今年、X年に、18年続いた、うつ病が寛解に至りました。 今では、本も読めるようになり、また、大好きな山登りの計画を立てたり、実際に行ったり、日中お出かけしたり、バイトをしたり、しても、大丈夫になりました。明日からは、2年ぶりの職場復帰です。(意欲障害、易疲労性の呪縛までもが外れ、QOLが飛躍的に向上しました。)これを機に、自分も精神科Q&Aに投稿してみようと思いました。今まで皆さんに助けられてきたことへのお礼の気持ちでおります。 このホームページの開設以来、サイト内のいろいろな記事を読ませて戴き、心の支えとなり、また、治療方針の方向性を立てていく基本情報として利用をさせて戴いております。医療相談ではなく、事実を事実として率直に伝え、精神医学の専門家である林先生の飽くまでも第三者からの客観的見地からの事実の見解を載せて戴けているので、神秘性やオカルトチックな考えに流されること無く、現実的な対応策を立てていくことができました。林先生、及び、精神科Q&Aに投稿なされた皆様に、ここに、心からの御礼を申し上げます。 小生、実に18年6ヶ月に渡るうつ病とのお付き合い(闘いではなく、お付き合いです。説明は後述)をし、本格的に適剤・適量・服用タイミング(服薬レシピ)を探し始めたX-8から、8年10ヶ月かかって、現在の自分にジャストフィットした服用レシピを見つけ出し、今年寛解に至ったという経緯を持っております。その間に、場所に関わらず、自分が否定されたことなどで傷つき、精神状態が錯乱して泣きわめいたり、自殺企図も3回、全身の重さ、ダルさで身動き身動きが一切とれなくなったりと、極めて重いところにも至りました。(主治医曰く、F32.2→F32.11→F32.0 だそうです・・・) なんと言っても、うつ病の治療は、「「お薬が決め手」」、いや、それが「「全て」」であると、今、確信しています。(いや、確信できました) 本当に、自分の心身にジャストフィットした服薬レシピを見つけ出したことで、あれだけ酷かった精神症状、身体症状が、嘘のように治りました。内科のお薬と違い、どれが誰に効くのかが分からない、実際に試してみないと分からない精神科のお薬ゆえに、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗精神病薬をのきなみ片っ端から飲み、服薬レシピを探し出しました。試行錯誤、平たく言うと人体実験を繰り返しながらの、長く、苦しい闘いでした。寛解に至るまでの間の大切なことは、以下3つだと思います。   @自分にジャストフィットした服用レシピ(適剤・適量・服用タイミング)を探し出すこと   この服用レシピを探し出すことだけは闘って下さい。(闘うべき部分です)   A病気とは絶対に闘わないこと    なぜならば、闘うと100%負けるからです。心身の消耗も激しいです。    なぜか? それは、うつ病や統合失調症と言った精神科で扱う病気の正体は、脳の不調から来ているからです。    自分というのは、脳に支配されている側です。逆に脳は、我々を支配している側です。    我々の意識や、現実世界での出来事とは無関係に、脳が痛いと感じているから痛いのです。    脳が楽しい、辛いと感じるから楽しい、辛いのです。なので、お薬を欠かさず飲んで、ガマンするしかありません。    小生の場合、「あぁ〜また来たか・・・」「そうそう、この不安感や痛みは、脳がそう感じているから不安であり、痛いのであって、自分が悪いんじゃないもんねぇ。かんけいないねぇ〜」「あっ、また脳内物質の変調が始まった。。。」と言って「安心して」やり過ごせるように、かなりの努力をして、自分を変えて行きました。(バカになって開き直る)   B主治医の先生が「治してくれる医者」だったこと   服用レシピを探し出すという目標に向けて、いろいろな可能性、手法を提供してくれました。治してくれる医者でもあり、自分に合うお人柄の先生です。もう17年のお付き合いになりました。。 (当、林先生のホームページの「あなたが本物の患者なら」の引用) 服用レシピですが、X-18年春からの、X-9年秋の閉鎖病棟への入院(この時から、本格的な服用レシピの探索が始まりました)までの10年間は、何れも眠前に、以下のレシピでした。   ・アナフラニール10mg×3T  ・デパス0.5mg×3T  ・ハルシオン0.25mg×1T  ・ベンザリン5mg×1T 会社の業務に支障が出てしまっては通院治療の意味がないとの、産業医の見解があり、このような低用量での服用でした。業務は激務で、深残業、休出、徹夜と、少ない時でも月に40時間、多いと100時間の残業でした。(これでは治るわけがないな・・・と今は思ってます) そこから8年10ヶ月の歳月を費やして、試行錯誤(人体実験の繰り返し)しながらの本格的な服用レシピの探索をした結果今年になって、自分にピッタリと合った服用レシピを探し当てることに至りました。(今後も維持量として飲み続けます)   ・眠前:アナフラニール25mg×4T、ノリトレン25mg×6T、ジプレキサ10mg×1T(見つけた順に並べてあります。)  ・昼(14:00):デパス0.5mg×3T  ・毎食後:マグラックス330mg×2T   ※先年9月にジプレキサ10mgを追加して、1年間様子見をしました。    意欲障害、易疲労性がほぼ改善され、気持ちも安定しています。 以下、もう少し整理された書き方の、他の資料の文章です。(今、3回目の長期休職が終ったところです) (1)どのような経緯で調子を崩したか結果論として、X-18年以来続いている、うつ病に対する薬物治療で、適剤・適量(服用レシピ)を完結出来ていなかったことが、一番の大きな原因と考えられる。(当初、産業医の見解として、業務に支障が出てしまっては、通院治療の意味がなくなるとのことで、低用量での服用が続いていた。)また、その間にも、X-15年3月末まで、開発・設計業務をかかえての深残、徹夜、休出をしていたことで、悪化の一途を辿った。(内、X-16年10月半〜X-15年4月末にかけて、うつ病により、6ヶ月間、1回目の休職)X-9年春からは、組織異動により、業務負荷も減り、定時間勤務並みの勤務となったが、それまでの心身への無理と、職場環境の変化、薬物治療の適剤・適量の未完により、体調が思わしくなかった。(参考:適剤・適量・服用タイミング(服用レシピ)の本格的な探索開始は、X-9月からの、前回、2回目の休職開始・閉鎖病棟への入院から始まった。) (2)どのような原因で調子を崩したか・X-9年春からの職場環境の変化で、人間関係や、それまでに培って来た自己スキルが全く役に立たなくなってしまったことから、 不安感、焦燥感がつのり、「孤独」になって行った。また、その事から、解雇されるのではないかという強い不安感を抱いている。 ・X-9年冬以降、服用レシピ(適剤・適量・服用タイミング)の探索(試行錯誤)をしながらの勤務が年単位で続いてしまったこと。・X-18年〜X-9年の間に、X-16年10月半〜X-15年4月末にかけて6ヶ月間の休職をしてしまうレベルの病状でありながら、 低用量での服用と、激務の継続をしてしまっていたこと。 (3)再発予防の対策・欠かさずに、服用レシピ(適剤・適量・服用タイミング)に従って、お薬を飲むこと。今回の長期休職で、自分にジャストフィットした、 最終形態と思われる服用レシピを完結できた。(最後まで残留していた意欲障害、易疲労性の改善)・体調不良への変調症状として、背中痛、不眠、及び、易疲労性、意欲障害が発現するので、察知したら早めの休息をとること。 (計画年休等の有効な活用) 以上、長くて、拙い文章で、大変申し訳ないのですが、うつ病の寛解に至った者として、たった今も、病気で苦しんでいらっしゃる方達に向けてのエールです。確かにうつ病は治りますね! みんなも!大丈夫!!


林: この【2364】の質問者は、このメールを書かれた時点で、躁うつ病(双極性障害)の躁状態だと思います。このメールだけからもそれは窺われますが、実は同じ日にほぼ同じ内容のメール、しかし少しずつ書きなおしたメールを、10通以上いただいています。おそらくこれまでうつ状態が長く続いていたことは事実と思われますが、そこから脱したとき、このように躁状態になるのは、躁うつ病では時々あることです。躁うつ病 患者・家族を支えた実例集 の冒頭のcase1も同じパターンです。この方には躁うつ病としての適切な治療を受けていただくことが望まれます。

(2013.3.5.)


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