精神科Q&A

 【1382】リストカットもなく、友達が普通にいる私でも境界性パーソナリティ障害でしょうか


Q私は26歳の女性です。 
私は大学4年の夏にイギリスに留学しました。留学生活はとても大変なものでした。そのせいか 道を歩いている途中、気持ち悪くなるという症状が出て学校のホームドクターにかかったのですが 日本に帰れば治ると言われ薬を処方されず、そのまま夏に帰国しました。(その留学は交換留学だったため約1年間の期間つきでした) 
しかし帰国したところ、症状はよりひどくなりこれ以上我慢していたら、道を歩けなくなると思い精神科を受診しました。 
そのときには、レキソタン2mgとパキシル、メイラックス(もう何mgだか覚えていません)を処方されました。 
すると道を歩いていると気持ち悪くなる症状はなくなりました。 

そして就職活動をし、大学5年目(実質上)の秋に就職が決まり、薬を飲み続けていました。 
もともとだったのですが、父親が暴力的な人間だったのですが、ある日些細なことで、怒鳴り皿を割りました。 
私は小さい頃からそれを見続けてきたのですが、なぜかその行為がとても許せなくなり、私も怒鳴り皿を投げ、しまいには 包丁も投げました。 
それを見ていた母は、びっくりして私と一緒に精神科に行きました。そしてリスパダール1mgとテグレトール(これは何mgだか忘れました) を夕食後と就寝前に飲むようにと処方されました。 
それと同時に大学にあったカウンセリングルームに通っていました。イギリスから帰国してから、すぐ行っていたのですが その時は母親と私の関係について悩んでいたので主にそれを相談していました。母親はいつまで経っても、就職できない私 に対してプレッシャーをかけ、ヒステリックに責め立てて、私を悩ませていました。私なりにも頑張っていましたが、就職氷河期の最悪な時期、そして留学から帰ってきてからの、時期はずれの就職活動で なかなか決まりませんでしたが、なんとか就職先は見つけました。そして母親は納得したのか、ヒステリックになることはありませんでした。 
そのことに関して主にカウンセラーと話をしていましたが、12月に父親の行為で私自身もそのように振舞ってしまったことを話しましたが、 もうすぐ卒業ということでそのカウンセラーとお別れすることになってしまい、深く話すことはありませんでした。 

話は母親のことに戻るのですが、母は私に対して教育熱心なタイプだったと思います。反対に私は勉強が嫌いでした。中学受験に対しても 母は必死で、私が隠れて漫画を読んでいるとヒステリックになり、私の首を(ふざけてなのかさだかではありませんでしたが)しめたり、お腹を蹴ったりしていました。そして勉強しないでいる私を見て、情けない思いからか、母自身が泣いているときもありました。小学生の私にとってはつらい時期でした。しかし中学受験はしました。レベルは低いものの、女子校の中高一貫の学校に通うことができました。そこでの生活はとても楽しく、朗らかに過ごしていました。母の教育がなければ、楽しい中高生活は送れなかったと自負しておりますが、母親が憎いと思う気持ちもあります。 
そして高校3年のときに大学に受験し、大学に通いました。大学に通っている間は特に何もなかったです。 

また話の時間が前後してしまうのですが、留学先から帰ってきてカウンセリングルームに通っていたときに、月に2度大学に精神科の先生がいらっしゃる ことがあったのと、医師に満足していなかったので、セカンドオピニオンを聞こうと思い診察を受けました。そのときに「リストカットはするか?」など聞かれ、父親との関係を話したところ私は躁うつ病ではないかと診断されました。その医師は70歳代の方だったと記憶しています。 
その医師が言うには、家庭環境が不安定な人には躁うつ病になる傾向があるとおっしゃっていました。薬の処方に関して言えば、リスパダールと テグレトールにあとリチウムがあればパーフェクトだと言われました。そして医師を変えてもらうため、他の医師を紹介していただきました。 

しかし、紹介していただいた医師は、本を出版していて本の中では日本の精神科治療はよくない、もっと精神療法に時間をかけるべきだと主張していましたが、実際に会って精神療法を行っているか聞いてみると、「境界性パーソナリティ障害、摂食障害を持っている人は実際こないで欲しい。ここのクリニックでは診ていませんと看板に出したいくらいだ」と言って、私の期待は裏切られた気分でした。なので、不満はありましたが、今までかかっていた医者に通い続けることに決めました。 
その後、父親も私の振る舞いにびっくりしてか、暴力的になることは少なくなりました。 

大学を卒業して4月に就職しました。仕事は初めは順調だったのですが、人間関係がよくないところに配属になり、諸悪の根源の人が私の直属の上司になりました。はじめはなんとか過ごしていましたが、あるとき昼食を食べていると吐き気を催しました。もともと緊張すると食べ物が喉を通らないというところがあったので、レキソタンの5mgを食事前に飲むといいと医師に言われ飲んでいました。しかしその上司がいると食べ物が喉を通らなくなってしまい、本来レキソタン5mgは職場では飲みたくなかったのですが、飲みました。しかし食べることができず、昼休みを過ぎた頃眠気に悩まされるだけでした。結局効かなくなってしまったのです。 
そして年が明けて、どうして私はこの会社で働いているのか、無駄な残業が多く、人間関係も悪い、仕事も覚えることができない(皆忙しくて教える人がいなかったのと、新人教育のマニュアルができてないというのもあったと思います)こんな会社にいたって何一つ良い事がない。しかし転職したってどうだろう、1年目で辞めて雇ってくれるところなんてあるわけがない。と絶望的でした。相談する同期もいませんでした。

通勤途中会社に行くのが、嫌になって、電車を降り、帰りがてらいつものクリニックに行き、今日は会社をサボったと報告し、いつものように夕食後と就寝前のリスパダール1mgと朝、昼、夕のレキソタン2mgを処方してもらい家路につきました。(この時にはおちついてきてるということと、あまりの眠気にテグレトールはなくなりました。)そしてなんで私は生きているんだろう、このまま会社に通い続けていたって何一ついいことがないのに、私は我慢できるか?できない、私はその時は死ぬとかよりも私自身をこの世から消してしまいたいと思い、いままで残っていたリスパダールとその日処方してもらったリスパダールを併せて40〜50錠とレキソタンと残っていたテグレトールちょっとをまとめて飲みました。 
するとハイテンションになり、元彼に電話し「私、今薬いっぱい飲んだの!」と話し、自分の顔がどんな顔をしているんだろうと思い、洗面台に行きました。そして私は倒れ、母親がちょうど仕事から帰ってきて救急車で病院に運ばれて、胃洗浄を受けました。 

内科に入院し2日で退院し、その足で精神科のクリニックに行き、とりあえず診断書を発行してもらい、1ヶ月会社を休むことにしました。結局4ヶ月目の時に元の職場に戻って仕事ができるなら、休んでいてもいいが、そうでないなら辞めろみたいなことをやんわりと言われました。私は元の職場でやっていく自信がなかったので辞めました。その時、通っている精神科のクリニックだけでは、母が不十分だと思いカウンセリングルーム通うことにしました。(今は通っていません)通ってはいたのですが、今思い出してみると何を話していたのか覚えていないのです。覚えているのは、緊張すると食べ物が喉を通らなくなって、薬も効かなくなったということで自律訓練法を教えてもらったことです。(しかし私自身根性がないのでいつまでたっても右手が重くなると思い込んでも重くならなかったので、途中で諦めました) 
会社を辞め、このままではいけないと思い、とある資格をとるために通い始めました。それは午前中だけ週3日通っていれば、とれる資格でした。 
その時もカウンセリングを受けていたのですが、何かのきっかけで家族のことを話したと思うのですが、カウンセラーから私は境界性パーソナリティ障害ではないか?と言われました。しかし境界性パーソナリティ障害の定義としてはカジュアルセックス、友達がいない、自傷行為、過食行為が挙げられると思いました。しかし、私は男をとっかえひっかえしたり、リストカットしたりしません。過食も特になく、薬の副作用で太るぐらいです。そして友達が普通にいることです。いつも通っているクリニックに行って、医師に私は境界性パーソナリティ障害か?と聞いたところ、違うと否定されました。そしてトンボがえりで、医師に境界性パーソナリティ障害じゃないって言われたとカウンセラーに報告したところ、実のところよくわからないと言われました。 
しかしいつも不思議に思っていることがあって、私は医師に私の病名は何ですか?と聞いても特に回答をもらったことがないのです。とにかく病名はつけないが、あなたの症状を抑えるためにお薬で抑えるのが目的であるということは言われています。私の症状は不安感、イライラ感、キレることです。 

1年かけてとある資格をとりましたが、実際はなかなか仕事がないので、資格を取ってほぼ1年間はニートの生活を送っていました。しかし今年の9月から働き始めました。働き始める前の週に母親と取っ組み合いになりました。理由は些細なことでした。ただとてもとても憎く思い、ひっぱたき、蹴り、こぶしで殴りました。こういう取っ組み合いはたまにあるのですが、母親を殴っている時は、小学生時代に首をしめられ、腹を蹴られたことを思い出します。やり返している気分になるのでしょうか。 

また夫婦仲が悪い両親元で生まれ、私は「なぜ私を産んだんだ。こんな糞ったれな世の中に」と繰り返し言っています。1階でドタバタやっているので、2階にいた父親が下りてきて、私をストップするために羽交い絞めにしました。そして私が動こうとすると暴力で抑えます。すると今度母親が、止めに入るのです。父親が暴力を振るので、私は誰にも近づかせないために、包丁を持ち出しました。結局包丁は投げ捨てたのですが、私は父親と折り合いが悪く、このような状況になると父親の私の前の息子(私にとっては腹違いの兄)Aは幸せだな!こんな暴力的な父親の元で育てられなくて。前の奥さんは別れて正解だったよ!と私は悪態をつくのですが、いつもそう思って生きています。 
このことを医師に話したら、「包丁だけはやめな」とアドバイス(?)をもらって、いつものように帰りました。 

話は変わるのですが、今年の春から私は母親の口座から、お金を盗んで服を買うようになってきました。合計で140万は使ったと思います。とあるブランドが好きなのですが、それが雑誌やインターネットに載ると大したデザインではないのに欲しくなってしまうのです。服はたくさんあり、1回しか着ない服もあります。こんなことは今までなかったです。これは買い物依存症でしょうか。 
今は母親がキャッシュカードがどこにあるかわからないところに隠してあるため、買うことができないのと私はなるべくそのブランドの情報を見ないようにしています。 

ニート生活を送っている間、私は友達と丹沢に行きました。緑が多く、川の水は澄んでいてとてもいい場所でした。友達はとても気持ちいいと言っていました。私はこの場所はとてもいい場所だということは認識しているのですが、気持ちいいと思えなかったのです。次の日仕事でブルーマンデーだとかそういうのは全く無いのに、心ここにあらずという感じでした。 
そして町を歩いているときや、携帯電話のメールを読み返しているとき、そして楽しいはずの友達との旅行の計画を見ているとき、ふと不安感みたいなのがざわざわとそしてフッと湧き上がってきます。私はこの嫌な気持ちはないのよ!と言い聞かせて、不安感をねじ伏せていますが、時折あります。それを医師に伝えたら、レキソタンが朝、昼、夕が2mgだったのが、5mgにかわりました。ついでにリスパダールでイライラ感を抑えていると言われましたが、時折イライラすることがあるというと、2mgを就寝前に飲んでいたのですが、3mgに増やされました。しかしイライラすることが減るということは特に感じていません。 
あと空虚感も時折感じます。人生の中でないわけがないと分かっていますが、電車に飛び込んだら、この空虚感や今までのしがらみから開放されるのではないかと考えたりします。しかし実際は怖くて実行できません。 

話はまた変わりますが、もう一度私は医師に「私は境界性パーソナリティ障害ではないか?」と聞いたところ「境界性パーソナリティ障害というのは今の日本ではこれを病気の範疇に入れるか入れないか議論されているところだ。医師の中にはただの性格の問題としているところもあるだろう。」そして医師はこう言いました。「私自身は境界性パーソナリティ障害は病気の範疇に入れていない」と。ただ医師は私の症状を抑えるために薬を出していると。 
私の病名は一体なんなんでしょうか。以前ふとカウンセラーに言われた境界性パーソナリティ障害なのでしょうか。 
9月から働き始めたと先ほど書きましたが、会社に行く途中に、会社に行くことが怖くなり、うそをついて辞めました。しかしそこは人間関係はわりといいところだと思います。しかし前の職場であった昼ご飯を食べることができないという症状が続いていました。 
会社には行けませんが、友達との旅行やお食事は行けます。ただ私は甘えているだけなんでしょうか。 
もし仮に私が境界性パーソナリティ障害であってもなくても、この状態から抜け出すことができるのでしょうか。 

今とりあえず飲んでいる薬は朝、昼、夕のレキソタン5mgと就寝前にビガモール(これは私が子供の頃から悩まされてきたのですが、座っている時や、眠っているとき、足がむずむずしていてもたってもいられない時があると話したら、処方されました。)2錠、リスパダール3mg、ユーロジン2mgです。あと不安時や食べ物が喉を通らないときにはワイパックス1mgを処方されています。ワイパックスはたまたま医師の違う曜日に受診したら、レキソタン5mgからワイパックスに変えてもらったのです。ワイパックスも同じように、効きません。そして先週不安感が消えないと言ったら、セディール錠を渡されましたが、頭と体がかったるくなるという副作用がひどいので、飲んでいません。 
そしてクリニックはセカンドオピニオンは聞きに行ったことはありますが、処方されるクリニックを変えたことは一度もありません。 

精神科に5年くらいお世話になっていると、今までどの薬を飲んでいたか、ちょっと忘れている部分があるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。 


林: あなたが境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)である可能性はかなり高いと思います。

しかし境界性パーソナリティ障害の定義としてはカジュアルセックス、友達がいない、自傷行為、過食行為が挙げられると思いました。しかし、私は男をとっかえひっかえしたり、リストカットしたりしません。過食も特になく、薬の副作用で太るぐらいです。

上のようなことは、境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)の特徴の一部ではありますが、診断のための必要条件ではありません。境界性パーソナリティ障害 患者・家族を支えた実例集 の診断の章などをご参照ください。
また、「リストカットしたりしません」とのことですが、このメールの内容だけをみても、衝動的な過量服薬があり、したがってあなたには境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)の特徴としての自傷行為は明らかに認められます。
また、「友達が普通にいる」とのことですが、境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)の人本人はそのように「普通」と思っていることもしばしばありますので、あなた自身の言葉だけではあまり情報としての価値はありません。

一方、あなたが躁うつ病である可能性はほとんどありません。

セカンドオピニオンを聞こうと思い診察を受けました。そのときに「リストカットはするか?」など聞かれ、父親との関係を話したところ私は躁うつ病ではないかと診断されました。その医師は70歳代の方だったと記憶しています。 
その医師が言うには、家庭環境が不安定な人には躁うつ病になる傾向があるとおっしゃっていました。薬の処方に関して言えば、リスパダールと テグレトールにあとリチウムがあればパーフェクトだと言われました。


これは、あなたの聞き間違いか、この医師の説明がでたらめかのどちらかです。

 

その後の経過(2008.10.5.)


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