精神科Q&A

 【1370】醜形恐怖症の娘が美容整形を強く望んでいます


Q: 40歳代の母親です。18歳の娘についてご相談します。娘は14,5歳の頃より自意識過剰になり自分の顔をひどく気にし、精神不安定になりました。中学生の頃いじめにあい、キモイと、男子から避けられたことが主な原因だと思われます。中学校は休みがちながらも強い意志で卒業し、高校も志望校に入学できました。友人も少ないながらできましたが、顔の美醜に対するこだわりが強く、「こんな顔では生きていけない、死にたい、学校を辞めたい」などと言い、苦しみのあまりリストカットもしていたようです。高校も何とか卒業しましたが、こんな調子ですので大学受験には失敗しました。今年は浪人すると本人は言っておりますが、ひっきりなしに、鏡を見たり、携帯で顔写真を撮影したり、長時間化粧をしていたり、勉強には集中できない状態です。1年ほど前に心療内科を受診し初めて「醜形恐怖症」という言葉を知りました。

 ちなみに、娘の顔立ちですが、決して不器量ではありません。飛び切り美人ではないと思いますが、人並み以上と思います。娘は「親のひいき目」と言いますが。先日はエレベーターの中で外国人の方に「カワイイデスネ」と言われたのですが、娘は全く信用しません。「あたしが制服を着た女子高生だからだよ」といっています。

 一番困っているのは、どうしても美容整形をしてキレイなりたい、と興奮し泣きながら、暴言を吐きながら、懇願されることです。こういったことが月に2,3回起こります。機嫌が良くて明るい状態と、このような状態をを繰り返しています。(機嫌の良い時とは、メイクがうまくいったり、少しはまともな顔に見える時なのだそうです。)自分の顔は、「大嫌いで、本当に気持の悪くなる顔。眼が、豆粒見たいで、下あごが出ている」と言っています。しかし客観的に見ても、眼は二重まぶたで大きく、豆粒という理由がわかりません。ほっそりしていて、スタイルもわるくないです。下あごも特別気にならないと思うのですが。
 鏡を見るときは、びっくりするくらい顔をねじまげて見ます。このようにしないとまともには見られないのだそうです。「私のこの苦しみはだれにもわかってもらえない」と、泣きます。周りが、あなたは決して醜くないよと心底話しても聞く耳は持ちません。唯一の価値観が、「美しくあること」なのだそうです。「ブスの私は生きている資格もない」とも言います。

 心療内科ではカウンセリングを数ヶ月受けましたが、「私に必要なのは、精神科のカウンセリングではなくて、美容整形のカウンセリング」と言ってはばからず、拒否。現在は月に1度受診して、医師からルボックスを150mg処方されて飲ませています。娘が苦しむときは、もっぱら私が話をひたすら聞いてやり、一緒に寝てほしいと云えば寝てやります。美容整形については本人が相当研究しており、20歳まで待つようにと、だましだまし、今日まで引き伸ばしてきましたが、今後どんなアルバイトをしてでも、200万円ためて実行したいといっています。本当にその必要があれば、こんな時代ですから美容整形を反対はしません。お金だって出してあげても良いのです。でも娘はそこそこ美しくそんな必要はないと思っています。美容整形にかかわるリスクもさることながら、何度しても決して満足できない結果になるのではないかと思います。お金を貯めて自分の好きな顔になるまで整形したいという娘にどのように対処したらよいのでしょうか。本人はもとより母親の私も相当苦しんでおります。娘は今後無事生きていけるのか、明日にでも絶望して死んでしまうのではないかと、毎日が不安でたまりません。どうかアドバイスをお願いします。


林: 娘さんの症状は確かに醜形恐怖症に一致していますが、このこだわりの強さなどからは、統合失調症も疑われます。醜形恐怖症の症状が目立つものの実際は統合失調症である実例としては【0945】【0946】をご参照ください。但しこの【1370】は、統合失調症か醜形恐怖症かまだはっきりしません。このようなケースも時にあるものです。対人恐怖の図書室に紹介した、鍋田恭孝著 『対人恐怖・醜形恐怖』がご参考になるかと思います。
 なお、美容整形手術に効果がないことは、あなたがおっしゃる通りです。その実例としては【1369】があります。

 いずれにせよ、この【1370】は診断も治療もかなり微妙なケースです。信頼できる精神科での長期的な治療が必要だと思います。


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