精神科Q&A

【2336】3.11の被災者です。震災から一年たってから、うつの症状がひどくなりました


Q: 30代女です。私は2011.3.11の震災で被災者となりました。現在、うつ状態のため休職中です。【2217】震災後のうつ病の再発と経過 ( 【1999】、【2079】のその後) の方が【1999】うつ病の再発か、震災の影響かにお書きになっている「震災から1ヶ月ほど経った頃から、非常に疲れやすくなってしまい、以前のように体が動かず、わけもなく落ち込んだり、何でもない時に泣くことが多くなりました」「最近は、わけもなく死にたいと思うようになりました」「今回の地震で亡くなった方のことを思うと、そんなことを考えては申し訳ないと思います。今までも気持ちが落ち込むことがあっても、何度か自分なりに工夫して乗り切って来たので、大丈夫だと思う気持ちもあります。疲れて何も手につかない日もありますが、色々やれる日もあります」 という状況が私の場合、2012年4月にひどくなり、加えて、楽しかったことが楽しくなくなり、耳鳴りや頭痛や眠れなくなったりして、5月半ばに目の焦点が合わなくなり、眼科・内科の異常がないことを確認したうえで心療内科に行きました。そこで休職指示をいただき、休職中です。 9月に初めてその心療内科でカウンセリングを受け、3度目のカウンセリングで「そういえば」という感じで「震災でつらい目に遭ったけど、私よりつらい人がたくさんいるから、つらいって言ってはダメなんだと思っていたし、甘えなんだと思う」ということを伝えました。カウンセラーさんにそこで「悲しいことはちゃんと悲しまないとダメだよ」と諭されました。以来、少し目が覚めたような感覚です。 医師は回復の見込みについては特に明言はしませんが、休職指示は今年いっぱい出ています。 気持ちの揺れや不安になることや、地震のあった日からの行動を思い出しては後悔することや泣くことも多いですが、今年の4月よりは以前持っていた喜怒哀楽が戻ってきた気がします。「今さらつらいってどういうこと?」と家族を含めた周囲の人には言われますが、それは私がつらいときにつらい、悲しいときに悲しい、苦しい時に苦しい、だから助けてほしいということを言えなかったから、こんな時期になって何もかもつらくなってしまいました。 焦りが多いですが、主治医を信じてできることをやっていこうと思います。


林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。トラウマから約一年後に、このような症状が強まることは、多いケースとは言えませんが、十分にあり得ることです。この【2336】のケースでそのような状況が発生した理由は、ご本人のお書きになっている、

私がつらいときにつらい、悲しいときに悲しい、苦しい時に苦しい、だから助けてほしいということを言えなかったから、

というのは有力な考え方ではありますが、確実にそうであるといえるものではありません。文面からは、ご自身を責めている雰囲気も読み取れますが、(自分がもっと前の時期に気持ちをストレートに出さなかったために、「こんな時期になって何もかもつらくなってしまいました」)、今になって(被災から一年が過ぎてから)つらくなった理由が、必ずしもそうであるとは言い切れませんし、仮にそうだとしても、これから改善は十分に期待できますので、

主治医を信じてできることをやっていこうと思います。

その通り、焦らず毎日を送ってください。

(2012.12.5.)


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