精神科Q&A
【2325】(過食・嘔吐・自傷はなくなり、家庭でも職場でも安定しています【0771】のその後)
Q: 2005年に【0771】自傷行為、過食嘔吐を繰り返していますが、脳の器質疾患が疑われると言われました でご回答いただいた20代女性です。久しぶりにHPを拝見させて頂きました。林先生から御回答頂いてもう7年も経過していますが、感謝の気持ちをこめて現在の状況をご報告させて頂きます。
林先生に質問のメールを送った時、私は21歳の学生で感情のコントロールができず、また、食行動の問題(過食、嘔吐、体重への拘り)に支配された毎日でした。大学生活もままならない状況でした。 しかし、23歳の頃からでしょうか、徐々に感情の起伏が緩やかになり、人間関係もうまくいくようになりました。24歳で大学を卒業し、25歳で結婚。週に1度くらい夫に隠れて過食嘔吐をしていましたが、それでも日常生活に支障はなく、フルタイムの仕事を続けてこられました。現在28歳、体重への拘りはありますが、仕事で困難にぶつかっても感情的にならずに対処できるようになりました。
林先生に質問した当時は精神科に通院していましたが、内服薬の効果もあまり実感できず、結局はその後1年くらいで通院はやめてしまいました。 今振り返ってみると、”精神疾患”に甘えていたのかもしれません。自分なりに親をはじめ周囲に甘えずに生きてきて、どこかに甘えのはけ口を求めていたように思います。 私のような患者は精神科の門を叩く必要はなかったのかもしれません。しかし、あの時は苦しくてどうにもならず精神科を受診するしかありませんでした。 最近は精神科を受診する患者が増加していると耳にします。精神科医の負担も相当なものでしょう。 林先生もHPを長く続けて頂けるよう、御自愛下さい。ありがとうございました。
林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。20歳前後に過食・嘔吐・自傷、感情不安定等があり、その後、年がたつに従って自然軽快していくというこの【2325】でご報告いただいた経過は、比較的よくあるものです。
今振り返ってみると、”精神疾患”に甘えていたのかもしれません。自分なりに親をはじめ周囲に甘えずに生きてきて、どこかに甘えのはけ口を求めていたように思います。
とまでは言えないと思いますが、すでに回復された今の時点で、ご自身がこのように理解・納得されることは、ご自身の今後のためにはむしろ適切かもしれません。
もちろんそれは振り返ることができる今だから言えることで、当時は
しかし、あの時は苦しくてどうにもならず精神科を受診するしかありませんでした。
であったわけですから、同じような症状の方が、「年を経れば自然によくなることが期待できるから、精神科を受診する必要はない」と考えることがもしあったとすれば、それは適切とは言えません。
【2325】の質問者も、軽快したとはいえ、
体重への拘りはあります
という状況であるわけですから、これからも油断せずに生活を続けて行かれることを願っています。
(2012.11.5.)