精神科Q&A

【2023】悪口を言われている気がするといってカウンセリングを受けたところ、精神科の受診を勧められた


Q: 20代学生です。中学からの友人の話です。 お互い地元を離れて、一人暮らしをしています。4年前に大学に入り、半年も過ぎた頃から大学に行けなくなりました。授業中に周りの人が悪口を言っているような気がするとの事でした。単位取得条件がレポートのみの授業などで学期末にレポートを出しに行こうとすると、周りから「あいつ授業に出ていない癖にレポートだけ出しに来やがって」などと言われているような気がする、そんな事を言っていないのは分かっているんだけど…と言っていました。私は大学で心理学について学んでいるので、学内のカウンセリングを受けることを勧めました。最初は嫌がっていたのですが、なんとか説得をして行くことになりました。最初は「行ってよかった」と言っていたのですが、数ヶ月後(失念してしまいましたが、三ヶ月ほどではなかったかと記憶しています。)カウンセラーの方から病院の受診を勧められたそうです。しかし、病院には行きませんでした。金銭的な問題や通院距離問題でした。 その後両親と相談し、受診はしないと決めたようです。学校にも通えるようになりましたが、留年が決まり、現在四年生です。半年ほど前だったと思いますが、友人とはPCを使い電話やチャットをよくするのですが、突然「なぜ両親は自分を見捨てないのだろうか」と泣き出しました。話を聞いてみると、死にたいと思っている、カウンセリングをやめたことについては自分のような人間がカウンセラーに話を聞いてもらうのは申し訳ない、迷惑がかかる。と話していました。カウンセラーは年配の女性の方だったようですが、馬鹿にされてるような感じを受けたり、理解してくれないという思いもあったようです。私に話をしたことに対しては迷惑がかかるなどとは考えていないようですが、大学からの友人等には甘えたりできないようです。自分のような人間が、話を聞いてもらうこと、何かをお願いすることというのは迷惑がかかることだそうです。 友人の父は優秀な大学を卒業し、一流企業に勤務しております。両親はプレッシャーをかけるような育て方をしているようには思えませんが、コンプレックスがあるように感じます。両親だけでなく、周囲の人間に対して見捨てられ不安があるようです。 その事以来、何事もなく過ごしているようですが、この春から周りの友人がいなくなるので、環境の変化について心配しています。両親とどのような会話をして、受診しなかったのかはわかりませんが、現在は普通に生活できているようです。気になるのは睡眠時間が長いこと(生活が不規則で平均12時間前後眠っています、長いときは15時間以上)、元々学生時代から授業中の居眠りが多い方でしたが、朝寝て夜起きることもよくあります。現在は落ち着いていますが、友人がいなくなることによって、またなんらかの問題が出てくるのでは?と思っています。 あまり強くも言えない状態ですし、話を蒸し返すことになると友人が辛いのではないかと思ってしまいます。これから社会に出ていくことを考えるときちんと病院での治療なり、カウンセリングを受けて欲しいと思うのですが、どう思われますでしょうか?よろしくお願い致します。


林:
「あいつ授業に出ていない癖にレポートだけ出しに来やがって」などと言われているような気がする

これは被害妄想的な過敏さにあたる症状で、

そんな事を言っていないのは分かっているんだけど…と言っていました。

このように自覚があるうちに受診することが望ましいのは、【2022】までで度々述べてきた通りです。
したがって【2023】の質問者の

学内のカウンセリングを受けることを勧めました。

という対応は適切といえます。
上の症状(「あいつ授業に出ていない癖にレポートだけ出しに来やがって」などと言われているような気がする)だけでは、統合失調症かどうかの判定は困難ですが、この後、

最初は「行ってよかった」と言っていたのですが、数ヶ月後(失念してしまいましたが、三ヶ月ほどではなかったかと記憶しています。)カウンセラーの方から病院の受診を勧められたそうです。

ということは、カウンセラーの先生は、何回か話を聞くうちに、統合失調症の可能性が高いと判断されたのだと思います。

しかし、病院には行きませんでした。

まずい判断でした。

金銭的な問題や通院距離問題でした。

ではやむを得ませんね・・・とは言えません。統合失調症という病気の重大さを考えれば、このような問題を理由に受診しないことを「やむを得ない」というわけにはいきません。

その後両親と相談し、受診はしないと決めたようです。

残念ながら、病気に対するご両親の認識が甘いと言わざるを得ません。

カウンセラーは年配の女性の方だったようですが、馬鹿にされてるような感じを受けたり、理解してくれないという思いもあったようです。

これ自体、被害妄想であった可能性もかなりあると思います。

以上、この方が統合失調症であり、受診しないことによる悪化を危惧しての回答です。
しかしもちろん偽陽性(統合失調症であると思われたが、実際は統合失調症でなかった)の可能性もあります。

現在は普通に生活できているようです。

これが事実であれば、偽陽性の可能性は高まります。

では、受診しないという判断は正しかったということになるのか。
それは経過を見なければわかりません。が、経過を見ていたら手遅れになるという帰結も考えられるケースであると言えます。

気になるのは睡眠時間が長いこと(生活が不規則で平均12時間前後眠っています、長いときは15時間以上)

確かにこれは気になる点で、統合失調症の一般的な症状としてこのような過眠はあまり知られていませんが、【2006】のような例もあり、実際には睡眠障害のひとつとして統合失調症の人に過眠があらわれることはあり得ることです。(この【2023】も【2006】も、薬物療法を始める前であることにご注意ください。治療を始めてからの過眠は、多くの場合、薬の副作用であると考えられがちですが、必ずしもそうとは限りません。それが症状のこともあるのです)

◇ ◇ ◇

【2000】から【2078】までの回答は一連の流れになっています。【2000】、【2001】、・・・【2078】の順にお読みください。


(2011.6.5.)


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