精神科Q&A
【1979】うつ状態と診断されたのですが擬態うつ病ではないかと不安になります
Q: 20代女性です。クリニックに行き、簡単なアンケートのようなものに答えました。ネットで調べていたのでこれが鬱のレベルを判断するものだとはわかっていました。正直に答えようと思うのですが、ここにチェックをつければ重度だと診断されるとわかっててチェックしているのではないかと急に不安になり始めました。 「甘え」「怠け」「わがまま」なのかとひどく悩みました。クリニックの先生は「甘えている人はここには来ませんよ」とおっしゃてくださいましたが、納得がいきませんでした。 私の症状は、家にいると急に胃が締め付けられるようにギュッとなり、呼吸が荒くなり不安で不安で自分は「孤独」だと思う日々が続きました。極端に自信がなく人と話すことも億劫になるほどでした。そのような症状が出るのは仕事のことを考えるときでした。 鬱状態と診断され一ヶ月休職することになったのですが、休むことが決まってから気持ちが楽になりフラットになったように感じました。薬が効いたのかなとも考えましたが3日で効くような即効性があるとは思えません。 やはり甘えで働きたくないから理由をつけていたのでしょうか? 意欲はなく相変わらず自信もありません。お酒も飲まないように言われているので外食もしません。(以前はストレスの発散に浴びるように飲んでました) 遊びに行きたいという気持ちはありません。 自分の気持ちはネットや本からの知識で無理矢理こじつけてるだけのような気がします。不安で情けない気持ちです。軽症もしくは仮病で休んでいるのかもしれません。 判断力が鈍っているので今は何もしなくて良いと先生に言われてるのですが、日々考えてしまいます。 私はうつ病でしょうか?擬態うつ病でしょうか? 判断基準を教えていただきたいです。
林:
1.うつ病か、擬態うつ病か、これをチェックすれば区別できるというような「判断基準」は、存在しません。あるのは「うつ病らしい」「うつ病らしくない」という目安だけです。『それは「うつ病」ではありません!』のp.78などをご参照ください。
2.
やはり甘えで働きたくないから理由をつけていたのでしょうか?
このように感じるのは、「うつ病らしい」といえます。但しこれも目安でしかありませんが。
3.このメールには擬態うつ病についての誤解があります。すなわち、質問者は、
「擬態うつ病とは、うつ病ではないただの甘え」と考えておられるようですが、それは違います。「うつ病に見える、または、うつ病と称しているが、実際はうつ病ではないもの」、それが擬態うつ病です。そこには甘えも含まれますが、その他にもたくさんのものが含まれます。(2011年4月発売の 擬態うつ病 / 新型うつ病 実例からみる対応法 に、あらためて詳しく解説してあります)
4.
休むことが決まってから気持ちが楽になりフラットになったように感じました。薬が効いたのかなとも考えましたが3日で効くような即効性があるとは思えません。
これはその通りで、これだけを取り上げてみれば、うつ病らしくないといえます。しかし、うつ病らしくないことは、
やはり甘えで働きたくないから理由をつけていたのでしょうか?
ということに直結しません。
休むことが決まってから気持ちが楽になりフラットになったように感じました。
これだけを取り上げてみれば、もっとも考えられる診断名は、適応障害です。適応障害はうつ病ではありませんので、もしうつ病と称するようなことがあれば、擬態うつ病に含まれます。しかし主治医の先生の診断は「鬱状態」とのこと、それは適応障害の診断書として理解できるものです。
5. 結論として、質問者の症状は甘えではないと思います。うつ病かどうかについては、わかりません。
(2011.4.5.)