精神科Q&A
【1921】実家に戻った妹に家族みんなが困り果てています
Q: 6年間東京で一人暮らしをしていた妹が実家に戻ってきてから、妹の発言・行動で家族が困り果てています。妹は病気なのか、ただ性格が悪いのか・・・今後どのように対応していけばいいのかわかりません。助けてください。よろしくお願いします。家族構成は、父・母(共に50代)・私・私の娘(4歳)・妹(24歳)です。
妹は、高校生のころから親に反抗し遊び歩くことが多くなりました。卒業と同時に東京・大阪で一人暮らしをし、その間にかなり辛い出来事があったそうです。(私は妹から直接聞いていないので、本当なのか、母に心配してほしくて言っているのかわかりませんが、レイプされたりドラッグしたりと話したそうです)その辛いことは、高校のころ父と喧嘩になった時に、「一人前に稼ぐようになってから文句言え!」と言われて一人暮らしをするようになったことが原因だと言って怒り、何度も父と喧嘩になります。そして、父に物を投げつけ大怪我をさせ救急車を呼ぶ事態となりました。反省しているのかと思いきや、救急車を待つ父に向かって「刺し殺してやりたい」と叫ぶ始末でした。そのとき私の娘は、出血している父を見てしまい、それ以来物音や大きい声に怯えます。他にも、苗字の画数が悪く運勢が悪いから苗字を変えたいと言って母に父と離婚するよう頼んだり、とにかく行動や発言が周りを巻き込むので、毎日長時間相手をしている母だけでなく父や私も疲れてしまい、母も精神的に病んでしまいそうに見えます。最近では、父だけでなく母や私にもイライラすることが増えてきているので、私は妹と喋るのが怖くて避けるように生活しています。母には病院に相談だけでも行ってほしいとお願いしてみたのですが・・・(妹は、ドラッグをやった経験があるからか、絶対に病院に行こうとはしません。)私から見ると、妹は個人事業を始める準備と言いながら仕事もせず、親に資金援助を頼んだり、習い事をさせてもらったりしているのに、自分のことは全部親や育った環境のせいにして怒り狂ったり、泣いたり、もう死にたいと言ってみたり、自分勝手の域を超えているように思えます。
私なりにいろいろ調べてみたところ、妹は境界性パーソナリティ障害なのではないかと思いましたが、よくわかりません。あまり上手く伝えられませんが、妹の行動は正常とは言えない気がします。
あまりまとまりのない文章で申し訳ありませんが、私の質問は以下のものです。
@ 妹は、何か精神的な病気なのか、病気だとすると、病院に行かなくても治る程度なのか
A 今後も父と妹が一緒に暮らしていてお互いのためになるのか(現実的には妹は仕事をしていないので、別々に暮らすには親の援助が要りますが)
B 私の娘にとって父は大好きなおじいちゃんですが、「喧嘩が怖いから引っ越したい」と言います。このまま実家にいて平和になるのを待つか、二人だと寂しいかもしれないけれども、引っ越して落ち着いて暮らせるようにするのがいいのか(この場合も親に援助を頼むことになってしまいます)
私は、父と妹が一緒に暮らしている限り何が起こるかわからないと思っているので、家を出るのも出ないのも決心がつかないでいます。(自分のことだけ考えたら出たいですが、何か起こった時に母だけでは止められないので心配です)このままだと将来仲良くできる時がくるとは思えないのですが、妹をこのまま放っておいても大丈夫でしょうか? 何とかお返事いただけるとありがたいです。どうかよろしくお願いいたします。
林: 質問者のご指摘の通り、妹さんは境界性パーソナリティ障害だと思います。
妹をこのまま放っておいても大丈夫でしょうか?
大丈夫ではないと思います。
今後も父と妹が一緒に暮らしていてお互いのためになるのか
それは何ともいえません。境界性パーソナリティ障害の基本的な事項については本をお読みになることをお勧めしますが、具体的な対応については、個々のケースで複雑な事情があることが多いものですから、精神科を受診し、医師に相談することをお勧めします。
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【1901】から【1948】までの回答は一連の流れになっています。【1901】、【1902】・・・【1948】という順にお読みください。
その辛いことは、高校のころ父と喧嘩になった時に、「一人前に稼ぐようになってから文句言え!」と言われて一人暮らしをするようになったことが原因だと言って怒り、何度も父と喧嘩になります。
境界性パーソナリティ障害の特徴の一つに他罰的ということがあり、その現れとして、このように現在の自分の状態の責任が親にあるといって激しく責めるのはよくあることです。
さらにはそれが親以外の他人や社会に向けられることも少なくありません。そこに虚言が混じることも稀とはいえません。
妹は、高校生のころから親に反抗し遊び歩くことが多くなりました。卒業と同時に東京・大阪で一人暮らしをし、その間にかなり辛い出来事があったそうです。(私は妹から直接聞いていないので、本当なのか、母に心配してほしくて言っているのかわかりませんが、レイプされたりドラッグしたりと話したそうです)
というように、本人の語るレイプなどのトラウマが、虚言の疑い濃厚ということもあります。
もちろん虚言ではなく事実だったかもしれず、判断には慎重な態度が求められますが、いずれにせよ境界性パーソナリティ障害の人に見られる他罰傾向、さらには虚言もあり得るという特徴が、幼少時の虐待などについての事実関係判断の難しさにつながっています。
(2011.1.5.)