精神科Q&A
【1657】長時間のカウンセリングをしてもらいたいのですが
Q: 20歳男性です。自分はストレスによるうつ病と診断されたのですが、気分が落ち込むなどの症状以外に、ストレスによって動悸、過呼吸、体に電気が流れるような感覚、振るえ、不眠、２週間から３ヶ月の解離性離人症などといった症状がでていました。
カウンセラーには意識を無意識に無理やり押し込むことによって負の感情をためこみストレスがためてしまうのではないかといわれ、自分の考えていることを外にだす訓練の一貫として箱庭療法と意志を伝える訓練として箱庭の説明をしていたのですが、週に１回のカウンセリングと受診によって症状はよくなったり悪くなることもありながらある程度よくなっていたのですが、引越しによって通院が困難になってしまい、家から近いメディカルクリニックへ通院することになりました。
そこでは何を話しても、すべての症状は ストレスによるもので、薬によってコントロールできると言われました。受診時間も以前までは診察は１０〜２０分程度、カウンセリングも最低でも４５分以上１時間以内と決まっていたのですが、現在は診察は５分程度となっています。
前述したとおりストレスなどを押さえ込んでしまうため、自分の現在の意志を引き出してもらわなくては 伝えることができなく、短時間の受診時間ではそれが困難となってしまい 症状が悪化してしまいました。
そのためかＯＤを繰り返してしまったため 医師に転院を勧められてしまいました。
今後どのようにしたらいいのかわからず、一応通院可能な病院へ手当たりしだい連絡し 治療方法などを聞いたのですが、自分が学生であるため午前中の診療が無理というため、ほぼすべての病院がいわゆる５分診療的な病院で薬物療法のみであり、心理学的療法を行わないといわれてしまいました。
やはり現在は時間をかけて治療を行うためには学校を辞めるという方法しかないのではと思いました。
また保険適用外のカウンセリングも考えましたが、経済的にどう考えても不可能なためどのようにしたらいいのか・・・。
体に電気が流れるような感覚がかなりつらく、普通の生活を行うのが困難であり、どうしたらいいのか悩んでしまっています。
林: あなたがなぜ長時間のカウンセリングを望んでおられるのか。その観点から経緯を見ますと、最初に治療を受けていたカウンセラーの先生からは
カウンセラーには意識を無意識に無理やり押し込むことによって負の感情をためこみストレスがためてしまうのではないかといわれ、自分の考えていることを外にだす訓練の一貫として箱庭療法と意志を伝える訓練として箱庭の説明をしていたのですが、週に１回のカウンセリングと受診によって症状はよくなったり悪くなることもありながらある程度よくなっていた
と言われ、次のクリニックの先生からは
すべての症状は ストレスによるもので、薬によってコントロールできると言われました。
という経緯であることが読み取れます。
そして、あなたが今の短時間の治療では効果に乏しいとお考えになっている理由は
前述したとおりストレスなどを押さえ込んでしまうため、自分の現在の意志を引き出してもらわなくては 伝えることができなく、短時間の受診時間ではそれが困難となってしまい
ということですね。
ここにすでに矛盾があります。
つまり、あなたの症状の原因が
ストレスなどを押さえ込んでしまうため、
であるという根拠は、前に治療を受けていたカウンセラーの先生からそのように言われたということ以外にないわけですから、そちらのほうを信じて、次のクリニックの先生の見解を信じないというあなたの姿勢には、合理的な理由が見出せません。
カウンセリングにも副作用はたくさんありますが、あなたの場合、以前受けていたカウンリングによって、自分の症状の成り立ちに思い込みが出来てしまっているとも考えられます。だとすればそれは、以前に受けたカウンセリングの重大な副作用といえるでしょう。
もちろん、このケースで、「長時間のカウンセリングが必要」か、あるいはクリニックの先生がおっしゃるように「すべて薬でコントロール可能」かは、わかりません。ただはっきり言えることは、どちらが正しいかわからないということです。つまり、長時間のカウンセリングを受けなければよくならないと考える根拠はないということです。
ほぼすべての病院がいわゆる５分診療的な病院で薬物療法のみであり、心理学的療法を行わないといわれてしまいました。
とのことですが、正確にはどのように説明されたのか、ここには疑問があります。文字通り薬を出すだけという治療が行われることは滅多にないもので、何らかの心理療法は併用されるのが普通です(うつ病の心理療法については、うつ病 患者・家族を支えた実例集 の最後のケース、「理想の治療」をご参照ください)。あなたが長時間のカウンセリングを強く希望する問い方をしたため、それをやんわり拒否されたというのが事実ではないでしょうか。
自分の症状の改善のために必要な治療は何か。もう一度冷静によくお考え直しください。なお、あなたが本物の患者なら も参考になるかもしれませんのでお読みください。