精神科Q&A

【1546】恋人の急死後に人格が変化した妹は、入院治療を受けることができました(【1150】のその後)


Q【1150】恋人急死2ヵ月後の人格変化で妹(29歳)についてご相談させていただいた30代女性です。わかりづらい質問にご丁寧な回答をありがとうございました。だいぶ落ちついてきたので、その後のご報告をさせていただきます。 
 あの後、妹は心配して自宅まで「病院に行こう」と迎えに来てくれた友人の前で自殺未遂をしました。包丁で首を切ろうとしたのですが、酔っていたために手元が狂い、大事には到らなかったのですが、抱きついて止めようとした友人に怪我をさせてしまいました。幸い、こちらの怪我も軽く、縫う必要もない程度のちょっとした切り傷だったのですが、妹はひどいパニックに陥って私に電話をしてきました。「お姉ちゃん、私は頭がおかしい、このままでは人を殺すかもしれない、彼を殺したのも私だ、今も○○ちゃん(怪我をした友人)を殺した(私が驚いて悲鳴をあげると、○○ちゃんが「大丈夫です、ちょっと怪我をしただけ!」と後ろで言ってくれたのでほっとしました)警察に電話しなくちゃ」というようなことを支離滅裂な口調で言い続けるので、すぐに駆けつけてそのまま病院に連れてゆき、入院させました。怪我をさせてしまった友人には本当に申し訳ないことでしたが、これをきっかけに入院治療を受けられたのは、妹にとってとても良かったと思います。 病院では、「自分が車を運転していて彼をひき殺した」(もちろんそんなことはあるはずがありません。妹は免許も持っていません)「さっきも人を殺した、○○ちゃん(怪我をした友人)を殺した、血がいっぱい出た」(傷は薄く血がにじむ程度で、これも事実ではありません)「私は子供のころにお姉ちゃんの大事な猫(犬?)を殺した」(そんな事実はありません。私はペットを飼ったことはありません)「お姉ちゃんが流産したのは私のせいだ。私が赤ちゃんを殺した」(私は確かに流産の経験がありますが、もちろん妹は関係ありません)などなど、延々と「私は誰それを殺した」ということを異様な口調でしゃべり続けたため、統合失調症かもしれない、ということで治療を始めました。
 二ヶ月ほどの入院で症状は落ち着き、今は通院治療を受けています。彼と暮らしたアパートは「引き払うのが辛い」ということなのでそのままにしてあり、私が時々掃除をしていますが、妹は実家に戻り、休職の手続きをとって治療に専念させることにしました。お医者さまのご尽力で妄想めいたことを口にすることはなくなり、お酒もやめることができたので、服装や口調も以前のような落ち着きを取り戻してきました。 家事なども少しずつできるようになり、「そろそろ仕事に戻りたい」と本人は言っていますが、お医者さまには「もう少し様子を見てから」と言われているので、ご指示に従って、もうしばらくは養生させようと思います。このまま良くなることを祈るばかりです。【1150】ではお答えいただきありがとうございました。


林: 経過のご連絡をいただきありがとうございました。まずは入院治療が開始でき、何よりと思います。診断はまだ確定していないようですが、少なくとも落ち着きは取り戻されたとのことですので、これから診断も確定し、治療方針も定まることでしょう。妹さんのさらなる回復と安定を願っています。またその後の経過をご連絡いただければ嬉しく思います。


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