精神科Q&A
【1422】7歳で幻嗅、13歳で不登校、27歳で妄想的、30歳で自殺企図
Q: 統合失調症の31歳男です。 主な症状は幻聴(死ねとか役立たずとか、ざわざわした人の声)それからストーリーのある独り言です。(一人何役もする) 現在お薬はコントミン朝夕400mg、リスパダール朝昼夜4mg頓服はリスパダール錠2mgです。また睡眠障害にハルシオン0.25mg、リーゼ20mg、アモバン10mgです。 また産みの母が統合失調症で、53歳になる現在も薬を飲んでいます。母は20代で発症したということでした。時々会っていますが、私は統合失調症とは言わず、うつ病という事にしてあります。 事の始まりは7歳のころ、手のひらから変な臭いがすると親に言うんですが、両親ともにそんな臭いはしないと言われて困惑したときがありました。石鹸で手を洗っても臭いがするのです、いま考えると幻臭ではなかったかと思います。しかし7歳で幻臭というのもおかしいですね。まだ主治医の判断は出ていません。
精神科を初めて受診したのは、13歳中1の頃です。心理テスト(箱庭など)が主でした。虐められていて、不登校になったからです。半年ほど通いました。診断はどうであったのかわかりません。
次に精神科へ罹ったのは、15歳中3の頃です。転校しても不登校が治らなかった為、中学校から紹介されたそうです。しかし2回の通院で行くのを止めてしまいました。理由は「僕は病気じゃない」と言っていたようです。はじめて自殺未遂をしたのもこの歳です。頭痛薬を1箱飲んで自殺を図りました。この頃から独り言と妄想があり、引篭もっているのが、母のせいで閉じ込められているというものでした。何度か逃げよう(家出)と、屋根伝いに家から脱出を試みたことがあります。
公立の高校にもなんとか受かったのですが、行こうとした高校は性質が悪いと言われ不安になり引篭もり。中退してからは仕事を転々としました。通信制高校に行き始めた頃は調子が良かったのですが、3年生になるとまた引篭もりに。またこの頃は嘘が多かったです、自動車学校の授業料で旅行に行ったりしていました。それが親にばれて、こっぴどく叱られました。
そんな時、叔父が東京に来いというので出て行きました。成功を夢見ていたんですが、現実は厳しくまた仕事を転々とし、最後には引篭もりに戻ってしまいました。それで地元に逃げ帰って引篭もりの日々。この頃から眠れなくなっておかしいかも知れないと思っていましたが、精神病院の敷居が高く行けませんでした。市販の頭痛薬で寝ていました。敷居が高いと言うのは、昔、母が精神病院に入るとき、暴れる母を無理やり看護婦が連れて行かれるシーンが頭に残っていたからです。
祖父の通院介護で地元を離れ、田舎に住むことになりました。これが25歳のころです。仕事は自営業を始めルンルン気分でやっていました。パソコンを教える仕事でした。最初の頃は生徒さんが多くてよかったのですが、順次卒業していかれて新規の開拓をやらなかったものですから、衰退してしまいました。少々誇大的でした。 27歳位から病気妄想があって、祖父が入院している病院の外来へ思い立ったらすぐに行き診察は受けるんですが、MRIや胃カメラの予約をすっぽかしていました。また病院の喫煙所でおかしい人に会い、こちらまでおかしくなってしまいました。そして爺ちゃんが死に、その時死臭が好きになり今でもあの臭いが好きです。
29歳になってようやくA精神科へ行きましたが、数時間待って5分診療でした。そしてネットで薬をたくさん飲めば死ねるということを知り溜め込みました。そこの医師は薬好きで有名で、効果が無いと判断すると量を多くしたり、強い薬を出したがる傾向であまり良い医師ではありませんでした。通って2ヶ月ほどで診断が出ました。統合失調症と告知されました。そして30歳にもなるのに、仕事もしていないと嘆き、溜め込んでいた薬をまとめて飲み、衝動的に自殺を図りました。結果吐血と昏睡で救急車で運ばれました。 その後B精神科へ転院し、数十分待って20分程度の診察になりました。先に示した薬と主治医のおかげで自殺念慮などは無くなりました。ただ主治医が、私を統合失調症ではないと思っているような気がしています。根拠はなかなか薬を変えない点です。話の種にエビリファイを飲んでみたいと言いましたが、あなたの今の状態には合わない薬です。といわれました。また妄想が現実的といわれています。 本当に私は統合失調症なのでしょうか?
林: 7歳の幻嗅のような奇妙な症状。13歳から15歳にかけての不登校(【1417】もご参照ください)。その後の漠然として不適応と、妄想的な傾向。そしてこのメール全体から読み取れる思考障害。さらに遺伝歴。これらを合わせ、そして何よりすでに統合失調症と医師から診断されていることも合わせると、あなたは統合失調症に間違いないと思います。思考障害は随所から読み取れますが、たとえば:
私を統合失調症ではないと思っているような気がしています。根拠はなかなか薬を変えない点です。
なかなか薬を変えないことは決して統合失調症でないと医師が思っている根拠にはなりませんし、その他、ご自分の診断についての一貫しない曖昧な説明、自殺についての説明などは、どれも思考障害の根拠になります。もちろんこれら一つ一つだけを取り上げてみれば、それだけでは何とも言えませんが、経過など全体からみれば、統合失調症の思考障害の表れであると判断できます。ぜひ今の治療を根気良く続けてください。