精神科Q&A
【1417】中学で抑うつ状態、今は統合失調症と診断されている私の、統合失調症の発症はいつだったのでしょうか
Q: 私は22歳男性です。
3年前の11月に統合失調症と診断されました。
以来現在まで、通院と服薬を続けています。
思えば、初めて精神科かかったのは、中学2年生の時でした。
不登校になり、無気力状態になった私を心配し親が連れて行ってくれたのでした。
その病院で診察を受けて、服薬を開始しました。
薬の内容は残念ながら、手元に記録も何もなく覚えておりません。
病名は、後になってから知らされたのですが、抑うつ状態ということでした。
それから高校2年くらいまで、通院と服薬を続けました。
(中学の不登校は、一時登校した時もありますが、結局また行かなくなりそのまま卒業に至りました。)
高校受験はなんとか乗り切り、無事進学できました。
しかし、入学後少し登校しただけで、また不登校になりました。
その間は友達と朝まで遊んだりもしていましたが、リストカットなどもたまにしてしまうことがありました。
一年後、留年を決意して再び高校へ通い始めました。
再び不登校になることはありませんでした。
高校二年の時、自己診断で通院と服薬を止めてしまいました。
理由は、気分の変調もないし、診察も世間話で終わるようなこともあり通院の必要性に疑問を持ったからです。(今思えばこれは大変な間違いでした。深く反省しています)
しかし、通院を止めてからしばらくすると、無性にイライラしたり、感情の起伏が激しくなったり、気分が落ち込んだりするようになってきました。
家に置いてあるものをめちゃくちゃにして暴れたり、家族に暴言を吐いたり、酒を大量に飲んだり、リストカットをするようになったりしました。
私は両親に再び、別の病院の精神科に連れられていきました。
その時は自律神経失調症と言われました。
また服薬をし始めましたが、症状は良い時ときもあれば悪い時もあるという感じでした。
ある日主治医に「君はカウンセリングの方がいいかもしれない」と告げられ、別の病院を紹介されました。
そこは、服薬に頼らずカウンセリングのみを行う診療所でした。
そこに通ってからも、症状は特に変わらず、安定している時もあれば不安定な時もあるという状態でした。
高校3年になって大学受験の時期になり、深夜遅くまで勉強しなければならない時もありましたが、幸い特にひどい症状も現れず、無事大学に合格しました。
高校卒業後、一人地方から、首都圏へ進学のため上京しました。
いよいよ新生活が始まるぞと意気込んでいたのもつかの間、一ヶ月ほど経過したある日、ある些細な出来事をきっかけに気分が急激に落ち込み、学校へ行けなくなってしまいました。
電話で親と話した結果、一旦実家へ戻ることになりました。
そして、再び以前行っていたカウンセリング専門の診療所へ行きました。そこでは催眠療法などを受けました。(この時の病名は告げられなかったので分かりません。)
すこし話がずれますが、私の気分の変調(イライラ感、気分のおちこみ等)は、バイオリズムのように、良くなったり悪くなったりを繰り返すのです。
約半年後、状態も安定してきて、再び地方から首都圏へ戻り大学へ通い始めました。
精神状態は少し疲れ気味で、大学や都会の環境になじめないという感じでした。
大学にはカウンセラーがいましたので、そこで自分の状態を話しました。
結果、精神科の病院を紹介されました。
そこでも、病名は告げられませんでした。主治医には「薬は飲みますか」と聞かれたので、病気でないならいらないと思い、断りました。
この病院は一度限りで、以後通院はしませんでした。
そしてまた、2ヶ月もたたないうちにまたしても学校へ行けなくなり気分が急激に落ち込み、家で閉じこもる状態になりました。
それからまた少しずつ良くなってはきましたが、大学2年の春、登校を再チャレンジして、また失敗してしまいました。
両親と話し合った結果、半年休学することにしてその間気ままに過ごすことにしました。
その後も気分の落ち込みは何度か繰り返しましたが、時間をおけば、調子を取り戻すことができていました。
それから約半年後に、大学を自主退学しました。何度も登校に失敗しているのと、大学へ通う目的意識を失ってしまったのと、色々と考えた結果でした。
同時に新しくバイトを始めました。週三日か四日でしたが、職場の人たちとも仲良くなりキツイという感覚はほとんどありませんでした。
この頃から、おかしなことが自分の中で起き始めました。
誰かの言葉が頭に響くような感覚になったり、何かに体をのっとられているような感覚に襲われたのです。当時私は、それらは心霊現象の類のものだと思っていました。
そして、2ヶ月ほどたったある日、バイトを休んだのをきっかけに、急激な気分の落ち込みに襲われました。バイトにも当然行けなくなり、家にずっと閉じこもるようになりました。
しばらくすると、目の前に有名な霊能者が現れ、「魂の修行をしなさい」と言われ、食事をとるな、電話をとるな、パソコンをいじるな等次々に命令を受けました。命令に従わざるを得ませんでした。
数日たった後、「このままじゃ家から出るなという命令をされるかもしれない。殺されるかもしれない」と思い、家を出て交番に駆け込みましたが、警察官もこんな私をどうにもできるはずもなく私はあきらめて家に帰りました。
その次の日だったと思いますが、今度は友人に助けてもらおう思い友人宅へ向かい歩いていた時、偶然別の友人が私を発見し無事保護されました。
私は、その友人の助けで、精神病院で診察を受け統合失調症という診断が下ったわけです。
また医師の強い勧めで実家へ帰り、地元の病院への通院と服薬が始まりました。
それから症状は徐々に良くなり、精神障害者の作業所へ通所するようになり、現在は車の免許を取るため教習所に通っています。
ここで質問させてください。
1.中学からの学校へ行けない、気分が落ち込みの繰り返し、イライラ感などは、性格によるものが関係していますか?
2.中学校から大学までの一連の経過は統合失調症と何か関連がありますか?
3.関連があるとしたら、私の統合失調症の発症時期は、いつごろでしょうか?
長文失礼いたしました。
林:
私の統合失調症の発症時期は、いつごろでしょうか?
中学2年だと思います。統合失調症の初発症状が抑うつ状態であるのはよくあることで、このため、最初はうつ病と診断されることもあります。この【1417】のケース、
初めて精神科かかったのは、中学2年生の時でした。
不登校になり、無気力状態になった私を心配し親が連れて行ってくれたのでした。
・・・
病名は、後になってから知らされたのですが、抑うつ状態ということでした。
これは、統合失調症の発症(特に、中学生のように、低い年齢での発症)のパターンとしては、稀なものではありません。【1422】もご参照ください。
ただし、この【1417】のケースの統合失調症の発症が中学2年だというのは、そのあとの経過がわかっているから言えることで、中学2年の時点では、それが統合失調症のはじまりだと診断することはかなり困難か、あるいは不可能だったかもしれません。ですから当時の「抑うつ状態」という診断は、それなりに妥当なものと言えるでしょう。
そしてこの【1417】のそのあとの経過も、しばらくは確定診断が難しいものです。高校2年で薬をやめたときの精神不安定は、診断のひとつのヒントにはなりますが、当時お飲みになっていた薬の内容が不明である以上、何ともいえません。そして、
ある日主治医に「君はカウンセリングの方がいいかもしれない」と告げられ、別の病院を紹介されました。
そこは、服薬に頼らずカウンセリングのみを行う診療所でした。
そこに通ってからも、症状は特に変わらず、安定している時もあれば不安定な時もあるという状態でした。
ということは、当時は医師からみてもまだ統合失調症とは言い切れなかったことを示しています。また、薬を飲まない状態でも必ずしも悪くならなかったということは、やはり統合失調症という診断はつけにくかったのでしょう。
診断がはっきりするのは大学を自主退学された後、すなわち、
この頃から、おかしなことが自分の中で起き始めました。
誰かの言葉が頭に響くような感覚になったり、何かに体をのっとられているような感覚に襲われたのです。当時私は、それらは心霊現象の類のものだと思っていました。
この症状は、自我障害と判断することができ、統合失調症の可能性がかなり高いものです。
そしてこれに続いてみられた症状の記載から、統合失調症という診断はほぼ確定します。ですから、「統合失調症の発症」を、「統合失調症の診断基準を満たしたとき」とするならば、【1417】の発症は20歳台になります。けれども、経過全体を見れば、中学2年のときの症状が、すでに統合失調症のはじまりであったと判断すべきでしょう。
1.中学からの学校へ行けない、気分が落ち込みの繰り返し、イライラ感などは、性格によるものが関係していますか?
2.中学校から大学までの一連の経過は統合失調症と何か関連がありますか?
3.関連があるとしたら、私の統合失調症の発症時期は、いつごろでしょうか?
この三つのご質問への回答はすでに明らかと思いますが、一応まとめてお答えしますと、統合失調症の発症時期は中学生で、そのあとの経過はすべてその症状です。