精神科Q&A
【1400】夫婦ともに統合失調症なのですが、症状は影響し合うのでしょうか(【1260】のその後)
Q:
【1260】にて回答を頂いたものです。遅くなりましたがありがとうございました。
前回、統合失調症にも抗うつ薬が有効なのかということで質問させて頂きましたが、
現在の処方は
エビリファイ18mg トリプタノール150mg アモキサン150mg
頓服 レキソタン15mg 不眠時頓服 ヒルナミン25mg
眠前 アモバン7.5mg ロヒプノール2mg ユーロジン2mg
です。
トリプタノール150mgで服用してから、1ヶ月ほどにあれほど頑固だった「抑うつ感」も無くなり「気分がいいのはこういうことだったのか」と感じ嬉しくなりました。「抑うつ感」が無くなると同時に「○○しなければならない」とか「自分を卑下する思考」がなくなり復職も12月に決定し体力をつけたりして働ける日を待ちわび準備をしていました。
しかし、以下が今回ご相談したいことです。
実は妻も統合失調症を患っており(結婚後に発症。主治医から告知も受けました)闘病4年になります。
妻の現在の処方は
エビリファイ12mg アナフラニール225mg トリプタノール100mg
不穏時頓服 リスパダール液1mg
眠前 ロヒプノール2mg ベンザリン5mg マイスリー
です。
11月の中旬から幻聴や視線を感じるようになったようで、睡眠も1日2~3時間しかとれなくなり幻聴が聞こえるときは部屋の隅で丸くなって固まっています。今もたまに幻聴など感じるようです。
私もその頃から状態が悪くなり、「不眠」「集中力の著しい低下」「頭の中がガヤガヤする感じ」がでてきて主治医と相談し、私が待ち望んだ復職はしばらく延長ということになりました。
主治医の判断としては
・私の不眠などの精神状態が悪くなってきたこと
・妻が今のような状態では、とても私が安心して仕事できる状態ではなく、仕事に打ち込めないことは会社側にも私自身にもマイナスなので妻の状態が落ち着くまで復職を延長しましょう
とのことでした。
ご相談したいこととは
(1) 妻の状態が悪くなってから、私自身も引っ張られるように病気が悪化したこと
(主治医からは、お互いに影響しあっているからできればしばらく別居という形をとったほうが良いのでは と言われました)
影響し合うということはあるのでしょうか?
(2) 私自身の復職の延長といった判断は本当に良かったのか
私が休職ということでその間、妻に収入面で負担をかけてしまったのでそれが悪かったのか。それなら私がやはり復職したほうが良かったのではないか
という点です。
妻の状態が悪くなり、引っ張られるように私も悪化したので「妻の病状に振り回されないようにして下さい」と言われました。
長くなりましたが、ご回答お願い致します。
林: まずは、あなたご自身の症状が改善されて良かったと思います。油断せず今後も治療を続けてください。
奥様も統合失調症とのこと、ご苦労は多いかとお察ししますが、通常の家庭に比べて、逆にお互いの病気が理解しやすいとポジティブにお考えになるのがいいと思います。
ご質問の項目ですが、
(1) 妻の状態が悪くなってから、私自身も引っ張られるように病気が悪化したこと
(主治医からは、お互いに影響しあっているからできればしばらく別居という形をとったほうが良いのでは と言われました)
影響し合うということはあるのでしょうか?
この問いに対する答えは、「影響し合う」という言葉の意味によります。
「伝染病のようにうつる」という意味であれば、それはノーです。
「心理的に影響し合う」という意味であれば、それはイエスです。しかしそれは、配偶者の方が統合失調症であるかどうかということではなく、配偶者の方の精神状態が影響するということを指しています。ご家庭の中で何らかの不安材料があれば、病状も不安定になりがちであることは否めません。
しかし、だからといって、別居が望ましいかどうかは何とも言えません。
(2) 私自身の復職の延長といった判断は本当に良かったのか
私が休職ということでその間、妻に収入面で負担をかけてしまったのでそれが悪かったのか。それなら私がやはり復職したほうが良かったのではないか
これは難しいところですが、その時点でよくお考えになったうえで復職延長が最善と判断されたからには、その判断自体に間違いはなかったとすべきでしょう。仮にその結果奥様の病状が悪化してしまったとしても、それは結果論にすぎません。逆に、もし復職を延長しなければ、あなた自身の病状が悪化し、そしてその影響でやはり奥様の病状も悪化したかもしれないからです。