精神科Q&A
【1390】アルコール依存症の義父が、退院後数日で再飲酒を始めました(【1235】【1322】のその後)
Q:
【1235】、【1322】でお答えいただきありがとうございました。アルコール依存症のため医療保護入院で精神科に入院していた義父(73歳)は、医療保護入院の規定なのか、6か月間以上の強制入院は継続できないという理由で、今年1月上旬に退院しました。義父の入院中の状況を、私自身は時々医師やソーシャルワーカーに聞いていましたが、非常に礼儀正しく他の患者の面倒も見る模範的?な患者だったそうです。
実際、入院後一度も面会することはありませんでしたが、退院した義父は、糖尿病食のおかげかほっそりして、日に当たってないせいか顔色が白っぽかったですが、非常に落ち着いていてとても穏やかでした。よく、アルコール依存症患者が退院する時のくだりが本などに書いてありますが、その通りで、以前の粗暴で短気な義父の印象とは大違いでした。
また、当初は薬でかなり症状が抑えられているものと思ったのですが、義父の精神状態をコントロールする薬は寝る前にのむニューレプチル錠5mg1錠のみで、ほかは糖尿病や鎮痛剤、血圧降下剤でした。薬は、自分で管理してきちんと飲んでいるようです。
現在、退院して2か月が過ぎようとしていますが、だいぶ生活にリズムが出てきて、私も父の病状に関しては落ち着いて生活できるようになってきました。
ただし、飲酒については、退院後わずか数日で始まりました。以前ほどではないようですが、現在も継続して飲んでいます。それに対して、意見することはできないので見守っている状況です。ただ、あまり短気になったり、粗暴になったりというのはない様子です。退院後2週間ほどのとき、泥酔して具合が悪くなり、救急車を使いましたが、大事には至りませんでした。
結局、退院後初めての通院が嫌で、飲みすぎてしまったようでした。
林先生のアドバイス通り、いかに家族全員が、平穏に暮らしていくかが、目下の課題のように思っています。
近県の病院のアルコール依存症の家族教室で、臨床心理士の先生が、我が家の家族関係に基づいて、義父の置かれている状況を的確に意見してくださり、そのアドバイスも非常にためになりました。
義父は婿養子で、義母方の家族の背景(子、親戚)に抑圧されているという指摘だったのですが、まさにそのような状況と、また、義父自身もアルコール依存症の家庭で育ち、両親も早くに亡くなり、実妹が自殺、実弟もアルコール依存症で50歳前後で亡くなっているという事実から、家庭環境に恵まれていなかったのは間違いないようです。また、義母も父親がアルコール依存症の家庭に育っており、現在の家族状況はある意味典型的なアルコール依存症の家系のようです。
また、義父の最近の話では、義母は軽い知的障害のような症状が結婚する時からあったとのことで、義父が人生で背負っているものはとても大きいような気がしてなりません。
義父の入院中、義母と接する機会が増え、義母の不可解な言動に惑わされました。義父の元の上司の80歳すぎの東京在住の知り合いに義父を預けに行くと提案したり(本人は本気です)、義父の退院の日が決まって1か月を切ってから、やっぱり施設に入れたいと言い出したり(介護保険で介護度1が付いていたので早く申請していれば、施設も見つかったかもしれません)、私が施設を探して、その施設から打診があった時に義母に相談に行くと、お前たちに任せるから勝手にやれと言われたり、(そういう次元の話ではないのですが)・・・・。
義母は、日常会話であっても理解力が乏しいようで、3~4人で談笑していると、ついてこられなくて変な返答をよこしたり、全く聞いてなかったりということが多いです。義父も会話があべこべになると、困っているようです。ただ、義母本人はいたって、自分は普通だと思っているようで、非常に対応に困ってしまいます。
夫は、義母に傾倒しているので、どうしても義母を擁護するのですが、義兄も義妹も義母を馬鹿にして相手にしない態度の意味が最近になってよくわかります。
義父も、いくらわかっていて結婚したとはいえ、結構ストレスがたまるようです。いろいろな不幸が重なり、今の義父のアルコール依存症があるように思えてなりません。
正直に言って、この事実を受け入れるのは、私にとって容易ではありません。アルコール依存症が抱える家族伝播が一番怖いですが、義父がとりあえず今の状況を維持できるように、見守っていきたいと思っています。
こちらの質問には、精神病関連のお話が具体的にいろいろあるので、悩んでいるのは自分だけではないし、たくさんの人が悩み、日々を暮らしているのだと思うと、少し気分も楽になりました。ありがとうございました。
林: 二度にわたり経過をご報告いただいたきありがとうございました。私からの回答は基本的に 【1235】、【1322】と同じです。質問者の方やそのご家族にとっては、何の助けにもならない回答であることはよくわかっております。それでも掲載した理由は【1322】にお書きした通り、質問者ではなく、多くの読者のためということです。にもかかわらず、こうして経過をご報告いただいたことに感謝申し上げます。