精神科Q&A
【1235】義父のアルコール依存症と義兄の浪費癖に関連した義母の共依存の可能性について
Q:
私はアルコール依存症の義父(72歳)、義母(62歳)、義母の母(障害あり)と同居する二男(32歳)の妻(33歳)です。ただし、台所やお風呂も別々の2世帯住宅に住んでいて、義父たちとあまり接触しないように、極力トラブルに巻き込まれないように暮らしています。
義父は若いころからお酒をよく飲んで、義母や子供たち(3人)、また同居する義母の母に暴力をふるっていたようです。また、親戚に対しても喧嘩をしかけては人間関係をめちゃくちゃにしていくことを繰り返していました。現在もほぼ毎日、朝から水を飲むようにお酒をのんでいます。
胃潰瘍、肝臓の疾患、糖尿病、若干の痴ほう症状があるようです。1年程前、泥棒に入られたといって、警察を呼びましたが、本人の勘違いだったようです。
先週、夜の9時すぎ、義父が些細なことで怒り始め、次男である夫と激しい口論になり、夫の指示で110番をして結局警察に仲介に入ってもらいました。
警察の方に仲介に入ってもらうのは今回が初めてでした。今までも、夫と口論になるのは、1年に数回ありました。夫は極力口論を避けるように心がけているようですが、義父が放火すると脅したり、全く事実無根の暴言を吐くこともあり、なかなか避けられないこともありました。義母や義母の母を罵倒し、暴力をふるうのは、ごく日常的なことです。
その夜はいったん収まったものの、翌日夫は仕事を休んで、義父の様子を監視していました。義父は普段からねたみが強いため、家族に嫌がらせをするのではないかと夫はひどく心配していたようです。朝方まで義父はお酒を飲んでいたようです。結局、朝の8時ころにまた義父と夫が口論となり、義父が挑発してきたようで、夫が直接110番通報をして、再度警察に仲裁に入ってもらいました。そして警察の方から病院に連れていったらどうかと提案があり、義母も承諾したため、警察の方に伴われて精神科へ行きました。
精神科での診断は、アルコール依存症でそこからさらに一歩進んだ状態ではないかということで、そのまま隔離入院となりました。
義父が入院してからまだ数日しか経っていませんが、私たち家族の心配は、退院後に義父に復讐されるのではないかということです。2〜3か月は確実に入院しているようですが、その後が非常に心配です。そのため、今日義母と夫と私の3人で、アルコール依存症に対する理解を深めることも兼ねて、保健所へ行きました。
そこで保健師の方に相談にのっていただきました。その話の中で非常に気にかかったのが、共依存という内容でした。
共依存については全く知らなかったのですが、話を聞くうち、義母は非常にその傾向が強いのではないかと思いました。義母は、ほとんど義父に反抗することはありません。
また義夫母の食費をはじめとする基本的な生活費は、義母の母の障害者年金を使っています。義父は1月に10万円以上の年金をもらっていますが、2万円ほどを生活費としてあてている以外は、全て自分の小遣いとして使っているようです。義母は、義父のいうことを信じる傾向が強く、また、義父のこのようなお金の使い方に対して、全くあたり前だと思っているようです。私個人としては、義母は義父の年金をもとに生活し、義母の母の年金は基本的に義母の母のためにつかうべきだと思うのですが。
また、今まで話の中に出てきませんでしたが、夫の兄である長男(36歳)は、7年ほど前に一度自己破産しております。原因は本人の浪費癖のようでした。高価なオーディオや家庭用品を自分の収入を上回るペースで買い、借金を重ねたようです。ただ、私が夫と結婚する前なので、詳しいことはわかりません。
義兄と同居したことはありませんが、潔癖症で、借りたお金は返さないそうです。夫もお金を貸したことがあるそうですが、返してくれなかったそうです。
5年ほど前に他県で派遣の仕事を始め真面目に暮らしていたようでしたが、一昨年のお盆に一度里帰りをした際、義父母が往復の旅費を渡し、20万円ほどお金を借りていきました。
もちろん返していないそうです。ただ、私が気になったのは、家族もいなくて一人暮らしをして浪費癖のある義兄に20万円もの大金を“なぜ”義父母が貸してしまうのかということでした。また義兄は、旅費をもらうのではなくて、義父母にお小遣いなりをあげるのが、当り前ではないのかということでした。
そして、昨年義兄の勤めていた会社から突然電話があり、義兄が無断欠勤しているということでした。会社の担当者の方は3日間ほど何度も電話で連絡をとろうとしましたが、 本人は電話に出ず、結局大家さん立ち合いでアパートの部屋を確認したら、部屋にいたそうです。派遣先が自分の好きな仕事ではなかったようです。
また、その後数か月して今度は大家さんから家賃が3か月分滞っているという理由で、連帯保証人である義父母のもとに請求書が来て、支払いしました。15万円ほどだったようです。
そして2,3か月前、それまで全く連絡の取れなかった本人から、こちらに帰ってきたいという旨の電話や、お金を無心する電話がありましたが、今度は夫も義父母も取り合わなかったようです。現在は、どこにいるのかまったくわかりません。こちらから、連絡をとってもいません。
以前は、義母は義兄に対して、たびたびお金をこっそり渡していたようでした。義母は義父や義兄のよくない行動を助長している気がして仕方がありません。義母は孫に対してもほとんど叱ることはなく、孫が強く出ると言うなりになってしまうことが多く、孫も義母に対して命令口調で物事をいうことが多いです(この孫は私たちの子どもではありません)。
義母が今のままの状態で、義父が退院してきては、また入院前のようになってしまうのではないかと非常に心配になりました。
この義母の共依存の状態を改善する手だてはないのでしょうか。夫は、義母にひどく同情しているのでまだ、夫には話していません。
林: 義父さんのアルコール依存症は、手遅れに近い状態だと思います。したがって、共依存云々を論ずる段階ではありません。
この義母の共依存の状態を改善する手だてはないのでしょうか。
もはやそのようなことを考えても無駄だと思います。10年前、あるいは20年か30年前でしたら、共依存の状態(アルコール依存症の家族カウンセリングルームのイネイブラーとほぼ同じことです)の改善方法を考えることは有意義だったと思います。けれどももう遅すぎます。お義父様のアルコール依存症は、精神症状からみても身体症状からみても末期であり、もはや残りの人生をいかに少しでも平穏に送るか(ご本人もご家族も)をお考えになるべき段階だと思います。
また、このメールからは詳細に不明な点もありますが、共依存(イネイブラー)は、必ずしもお義母様だけではないように思います。おそらくご家族全員が、お義父様の飲酒を容認(黙認といってもいいし、無視といってもいいかもしれません)したことで、このような結末になっていると解釈するのが妥当でしょう。
建設的な回答を求めてご質問いただいたというのはよくわかります。
しかし、これがアルコール依存症の事実です。
その後の経過(2008.1.5.)