精神科Q&A
【1369】ひきこもっている弟は醜形恐怖か統合失調症か
Q: 34歳の弟のことで質問します。私は35歳の姉です。
弟は六年以上前になりますが統合失調症と診断され、措置入院を半年ほど経て、自宅療養。今は遠くはなれた南国の方で家を借り、犬と一緒に障害年金を受給しながら移住者支援をしている方から単発で仕事を頂いて何とか生活をしています。
七年前位前まで自活をして家を出ていたんですが、突然帰ってきて「仕事やめたから、帰ってこようかな」と言うので、その頃父がガンを患い母は病院に泊まりこんでいたので「そうしなよ」と軽い気持ちで言いました。私も仕事をしていたので日中何をしているか分からなかったんですが、だんだん部屋にこもるようになり、ご飯も食べずに電気もついてない部屋でぼんやりしていることが多くなりました。その時点でおかしいと思ったので、毎日仕事から帰ってきたら部屋に行って話をするようにしていました（ほとんど返事は返ってきませんでしたけど）。
そのうち「死にたい」とか「この顔では生きていけない」とか、母が小さい頃に言った言葉とかをよく覚えていて、「母さんが頭がおかしいから俺もおかしいんだ」とか言い出し、（母はアルコール依存症で、自律神経の薬を長年服用しています）「小さい頃から顎や顔のことでからかわれたり、通りすがりの人とかが振り返る。笑ってる。ずっと我慢してきたが限界だ」と言うようになりました。私も精神保健センターや精神科へ相談をしに行ったりしているうちに自殺未遂をしたりするようになったので入院させざる終えませんでした。診断結果は「分裂かなぁ…」と言う感じでしたけど、薬によってだいぶ落ち着いては来ていました。
私から見たら弟は自分の「顔」をものすごく嫌悪して憎んでいるように見えました。先生に私からお話したところ「醜形恐怖」という病気があると聞きました。
顎の事をものすごく気にしていて退院後整形もしました。私もその病気について本を読んだりしましたが、整形は効果がないんですね。弟は、普通に会話も出来るし、おかしな行動もなく幻聴もないようですし「統合失調症」ではなく「醜形恐怖」なのではないかと思っていました。
現在弟は地元を離れているので、病院も変わったんですが「統合失調症」として治療されているのだと思います。今服用している薬は、ジプレキサ5mg、レンドルミン１錠、コンスタンは人と会わなければならないときは欠かせないといって一日に2錠くらい飲むときもあるようです。最近は頭痛と胃痛と体のだるさがひどいようです。（薬の副作用でしょうか？）考え方がものすごく排他的で、人間をあまり信用できないようで、特に若者は「人を見た目で判断して、影で笑いのネタにするクソ野郎」といいます。あと、二ヶ月ほど前にいとこが自殺してしまい、相当ショックを受けていました。
現在は離れて暮らしているので、私も母も心配しながら今は見守るしかないと言う状況です。
最近、週に２、３日頂いていた仕事が週に６日位になり（２ヵ月半の仕事）疲れてはいたようなんですが、上に書いた頭痛、胃痛、だるさがひどく、病気が悪化しそうな気がするといって仕事をあと１ヶ月残して辞めてしまいました。今かかっている病院の先生が入院するかい？とのことで二週間ほど入院することになったのです。
長くなってしまって申し訳ありません。
先生にお伺いしたいのは、弟の病気は「統合失調症」なのか「醜形恐怖」なのか。違うならば他の病気の可能性。
薬はこのままでいいのか。
私が近くにいたら一緒に病院に行って話を聞きたいところなんですけど出来ないし、(弟は本心を先生に話していないような気がするんです）弟にしつこく聞くと嫌そうです。
たまにものすごく辛そうで（人前に出ると緊張して訳のわからないこと言っちゃったり、本心ではないことも言ってしまうこともあるようです。それで後悔したり…）
自殺の可能性とか考えてしまうと私も結婚して地元を離れているんですが毎日心配でなりません…弟は、今自分が抱えているものは「俺の場合はこの体から魂が抜けない限り本当の意味では楽にはなれない」といいます。ほとんどの人を信用できないといいます。
あと、仕事をせっかく頂いていて途中でやめてしまい、しかも病院の先生の方から仕事を頂いている方に電話をしてもらったそうです。
私は大人として、きちんと自分で話すべきだと思うし、あと１ヶ月で終わる仕事ならこれから先またお世話になることもあるんだから頑張れないのだろうかと思いましたが入院を決めてしまいました。私も話を聞いていて、病気のせいだから無理をさせない方がいいのか、病気に対しての甘えもあるのか、性格の面もある…とか考えると判断が出来なくなってしまいました。私はどうするべきだったのかと思います。これからの接し方も…
現在は退院して、少し休みたいと言って家にこもっているようです。
弟は地元を離れて一年ちょっと経ちました。
よろしくお願いします。
林: 弟さんは統合失調症です。【0945】、【0946】などにお書きしたように、また統合失調症 患者・家族を支えた実例集 のcase 28 の解説にもお書きしたように、醜形恐怖症のようにみえても、それは統合失調症の初発症状のこともしばしばあります。「自我の障害」という点で、統合失調症と醜形恐怖症(や、自己臭症など)には、共通点があるのです。
統合失調症と醜形恐怖症の区別は、【1370】のように難しいケースもありますが、この【1369】では、すでに統合失調症という診断で入院した既往まであるわけですから、統合失調症に間違いないでしょう。
弟は、普通に会話も出来るし、おかしな行動もなく幻聴もないようですし「統合失調症」ではなく「醜形恐怖」なのではないかと思っていました。
それはあなたの願望にすぎません。弟さんは統合失調症です。