精神科Q&A
【1135】抗うつ薬が増量され、発症7年目にして初めて効き目を実感しました
Q: 25歳の男性です。ご質問というよりもお礼が言いたくてメールを書いています。現在,トレドミン100mg+テトラミド30mgによる抗うつ薬による治療を受けて順調に回復に向かっています。というのは、私は7年以上治療が上手くいかず抗うつ薬や精神科医に対する深い疑惑と不信感を持っていたのですが、林先生のサイトで、うつ病が治る病気だと励まされ,そして十分な量・十分な期間薬を飲み続けないことが、うつ病が長引く最大の原因だということを知り、自分の過去の処方を見直して、まさに自分の治療歴がそれにあたることに気づき、あらためて治療に専念し、回復することが出来たからです。
以下病歴ですが,17歳のときに父親による精神的虐待や生まれ持っての神経質な気質なため高校に登校できなくなり,自分自身でうつ病を疑い心療内科を受診しました。朝起きられない,一日に13時間ほど寝てしまう,まったく物事に集中できない,思考力や気分の変動が激しい,ひどい絶望感から希死念慮があるなどのうつ症状を訴えましたが,きちんとしゃべれているし良く寝ているようだし食欲もある,甘ったれるんじゃないと言われ帰されました。二度と病院にいくまいと思いました。
それから何度か自殺未遂も繰り返しましたが,なんとか大学院まで進学しました。しかしとうとう耐えられなくなり,再び別の心療内科を受診したところ苦しいみたいだからとトレドミン30mgを処方されました。その後一ヶ月ほど様子をみましたが吐き気しかせず,今度は精神科を受診しました。ここでもうつ病とは診断されなかったのですが,とりあえずドグマチール100mgとトレドミン45mgで二ヶ月治療しました。あとから頂いた抗不安薬のソラナックスが非常に効いたいということで不安神経症でしょうと言われました。その後40日ほどソラナックスだけを服用することで非常に体調が良かったのですが再びうつ症状が激しくなり,うつの治療をして欲しいと頼んだところ,トリプタノール10mgを14日,パキシル20mgを2日(吐き気が強すぎた),トレドミン45mgを10日,トレドミン75mgを14日,ドグマチール150mgを6日,アナフラニール30mgを10日と効き目がないと言うたびに処方が変わっていきましたが体調は戻りませんでした。先生もあなたはうつ病の感じではないと常々言われていました。そのため私はうつ病ではなくダメな人間なんだな,薬物治療では自分は治らない,でも症状は重く苦しい,やはり死ぬしかないのかと思い,通院をやめました。大学院にも登校できなくなっていたので,休学届けを出して半年ほど寝て暮らしていました。
しかし見かねた姉が再び治療を勧めてくれました。はっきり言って薬物療法に対しても精神科医にも絶望していましたが,同じ症状を話したところ今度の先生は、多少波があるものの典型的なうつ病でしょうと診断して下さいました。そしてトレドミン45mgとテトラミド30mgを7日,トレドミン75mgとテトラミド30mgを14日,トレドミン100mgとテトラミド30mgを14日と処方してくださり現在の回復期に向かいました。
そこで林先生に御礼を言いたいのは、現在の主治医の先生の治療が始まってからも,私はひどく絶望しており通院を止めそうになっていました。しかしこのサイトを見てうつ病が治る病気だと励まされ,そして十分な量・十分な期間薬を飲み続けることが大切だと知り,過去の処方を見直して自分は十分な量・十分な期間うつの薬を飲んでいないと気づき治療に専念することができました。不思議なことにトレドミン75mgでは全く効果が現れなかったにも関らず,トレドミン100mgに変更後あきらかに薬の作用と効果を実感し,現在就職し順調に回復しております。私の様な非定型のうつ症状も十分な薬を服用することで回復することができました。7年以上続いた症状が改善され,毎日努力できることに心から感謝しております。私と同じように治療が長引き苦しんでいる方々に,私のような例があることを知って頂きたいと思い、このメールをお書きしました。
林: 貴重な体験をご報告いただきありがとうございました。あなたが繰り返し書いておられるように、うつ病の治療は十分な量・十分な期間、抗うつ薬を飲むことが重要です。というふうにいくら言われても、うつ病がまだ回復せずに苦しんでおられる方はなかなか納得されないことがよくあります。あなたのこの体験談は、そうした方々にとって、この上なく貴重な情報になることと思います。ありがとうございました。