精神科Q&A

 【1088】大腸癌手術後の幻覚


Q: 75歳の父が大腸癌の手術を行いました。 
ところが、縫合不全による腹膜炎を併発し,再手術を3日後の夕方に行いました。 その翌日にはICUから個室に戻ってきて,普通(かなり退屈そうでした)でしたが、夜中に突然,「天井の張替えを何で今するんだ?」と言い出し、幻覚症状が始まったようです。 
「白い服を着てお祈りをしに20人くらいの人が入ってきた」 
「壁に犬の絵が書いてある。」その他もろもろ… 
結局それが次の日の朝まで続き,お医者さんに診てもらったところ 
「ICU症候群のようですね」と,言われました。 
その日は丸一日寝ることもなく,興奮気味に色々しゃべり,先ほど(23時ごろ)疲れ果てたのかいびきをかいて眠りに着きました。 
ネットで色々調べているうちに当HPでせん妄の記載を見つけ,質問メールを送っているしだいです。 

大まかなことはネットで理解できたのですが,心配なことはこのまま回復するのでしょうか? 
看護師さんたちは「良くあることなんよ。大丈夫よ」と言ってくれるのですが,不安です。 
お忙しいこととは存じますがアドバイスいただけると幸いです。


林: 典型的なせん妄です。ICUの中で発症した場合、ICU症候群と呼ばれることもありますが、実際にはせん妄と全く意味は同じです。ですから、おそらく質問者の方はすでにお読みになっていることと思いますが、【1053】【1079】にお書きしたことと全く同じ回答になります。

この【1088】のケースは、手術後で、しかも夜に始まったということですから、看護師さんの言われた、

良くあることなんよ。

という言葉の通りです。

せん妄の回復には、昼夜のリズムを取り戻すことも一つのポイントになり、時にこれが難しいこともあるのですが、この【1088】の方は、翌日の昼間にかなりよく眠られたようですので、これだけで回復することも期待できます。

大丈夫よ

という看護師さんの言葉通りです。

この回答が掲載されるのは、メールをいただいてから約1週間後になりますが、おそらくすでにせん妄からはほぼ完全に回復しておられると思います。


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