精神科Q&A
【0918】うつ病が長引きなかなか復職できない
Q:
主人(40歳)は9年前にうつ病を発病しました。職場の移動で単身赴任となり、そこでの新しくまた忙しい仕事に慣れず長時間残業が続きました。そして自分が無力で皆に迷惑をかけていると悩んでいましたがある日職場で混乱して上司に付き添われて家に帰ってきました。その時上司に産業医の診察を受けるように言われ「抑うつ症」の診断を受けました。 その後ほどなく薬が効き始め、躁状態といえるくらい快活になり3ヶ月程で復職しました。
ですが今から2年前また忙しい海外プロジェクトの一員となり、土日出勤が当たり前、徹夜することもあるような生活になりました。そして1年前にうつが再発、休職。海外から休暇で戻った時、起きられない状態になってしまいました。そこでそのプロジェクトからはずしてもらいました。程なく薬が効き始め元気になり1ヶ月ほどで復職しました。
その後、時間に余裕のある仕事にまわしてもらい調子よかったのですがちょっと難しい仕事を受け持ったのをきっかけにまた調子が悪くなりました。定時で退社し休日出勤もなかったのに疲れて家にいる間はずっと横になって何をする気力もない状態で、朝になると這うようにして会社に出て行く毎日でした。それが2ヶ月ほど続きとうとう「会社でも頭が働かず他の人と仕事の話が出来ない」と言うので会社を休んで私も付き添って産業医の診断を受け、また休職になりました。 3回目の再発です。
現在、最後の休職を始めて3ヶ月になりますが最初の気分の悪さは無くなったものの、おっくう感と眠気が取れず復職できません。現在朝いつまでも寝ているのは良くないかと思い9時に目覚まし時計で起こしています。起きたときは「お腹がもごもごする」と言って少し気分が悪いようですが朝ご飯を食べると楽になり「会社の簡単な仕事ならもう出来そうだし退屈して家にいるよりその方がましかもしれない」と言っています。
家ではごろごろしていて誘えば水泳、テニス、バトミントンなどスポーツでも割とすぐ応じる状態です。
9年前から主人はずっと2週間に1回産業医とカウンセラーの診察を受けています。
服用している薬は1日当たり以下の通りです
5ヶ月前〜4ヶ月前 ドグマチール150mg、ルボックス75mg、コンスタン1.2mg
4ヶ月前〜3ヶ月前 アモキサン75mg、ルボックス75mg、コンスタン1.2mg
3ヶ月前〜2週間 ドグマチール150mg、ルボックス150mg、コンスタン1.2mg
その後現在まで ドグマチール150mg、トレドミン75mg、ルボックス75mg、コンスタン1.2mg
産業医は「前回病後早く出すぎて再発してしまったから今回はゆっくり休みましょう」ということでまた3ヶ月の診断書を出すと言っています。私はまだそんなに治療にかかる見込みなのかとがっかりしたのと同時に後3ヶ月待った時、今より病状は良くなるのかと不安です。休養すればするほど良くなるものなのでしょうか。
林: ご主人様の病気はうつ病だと思います。
2回目の復職から再発までの期間が書かれていませんのでよくわかりませんが、産業医の先生が
前回病後早く出すぎて再発してしまった
とおっしゃっていたという記載から判断いたしますと、かなり早い時期に再発してしまったのでしょう。9年前の初発と2年前の再発が、それぞれ、単身赴任による慣れない仕事、多忙で土日出勤があたり前で徹夜もあった、ということがきっかけであるのに対し、3回目は「ちょっと難しい仕事を受け持ったのがきっかけ」(これも具体的な内容が不明ですので本当は何ともいえないのですが)ということからすると、うつ病がまだ治りきっていなかったのかもしれません。
そして現在の状態の、
最初の気分の悪さは無くなったものの、おっくう感と眠気が取れず
というのは、うつ病の回復期に比較的ある一過性の状態です。
起きたときは「お腹がもごもごする」と言って少し気分が悪いようですが朝ご飯を食べると楽になり
このように、朝起きた直後だけが特に悪いというのも、この時期の症状としてはよくあることです。
そして、
家ではごろごろしていて誘えば水泳、テニス、バトミントンなどスポーツでも割とすぐ応じる状態です。
これは、改善の兆しであると言えます。
うつ病は適切に治療すれば比較的速やかに回復する病気ですが、中には長引くケースもあります。その場合でも、治る病気であるということを忘れず、あせらないことが大切です。
休養すればするほど良くなるものなのでしょうか。
このご質問は、あなたのあせりを反映したものだと思います。
「前回病後早く出すぎて再発してしまったから今回はゆっくり休みましょう」
という産業医の先生の言葉どおり、ゆっくり休むという気持ちでおられれば、逆に回復は早くなると思います。