精神科Q&A
【0904】一卵性双生児の統合失調症の経過(【0738】、【0748】のその後)
Q: 【0738】、【0748】では回答いただきありがとうございました。2人の発症から1年がたちましたので今回は質問ではありませんが、その後を簡単に報告させていただこうと思います。
後に発症しましたAにつきましては会社側が理解があるというか精神科にかかって休職する事への対応に妙に手慣れており1年の休職は構わないとのことで10ヶ月の休職後、5月より復職しました。
妄想はない様子ですが、職場に妄想の対象の人もいることもあり2週間に1度の受診をしています。
薬はジプレキサと眠剤をそれぞれ飲み始めの頃の量まで減らして当分飲み続けるとのことです。
職場も事情を知る上司の目の届く部署へ変更してもらい残業もしばらくはせずにいましたが最近ミーティング等少しずつ時間外の仕事も出るようになってきました。
土日は遅く起き、昼寝もよくしていますが仕事は毎日行けており、仕事初めの険しい表情もなくなってきています。
発症後自己中心的な発想とそれへのこだわり、攻撃性が強かったのですが少しずつマシになっているように思います。
先に発症しましたBにつきましては
帰省・治療のために夢だった仕事を退職させたこともあるのかやる気が出ないのか、したい仕事がないと家にゴロゴロしております。
妄想は早くおさまり、Aのような攻撃性とは反対に陰性というかうつ状態、不安、活動低下、じっとしていられない、が続きました。
安定剤をやめるときには1日布団にいる状態でしたが今は家でゴロゴロしているものの少し家事を手伝ったり、目的の漫画の発売日には開店にあわせて買いにでかけるなどの日常生活はでき、自発的な行動も増えてきています。
廊下をウロウロする姿もありますが、かなり減りました。
ただ仕事は学生時代に経験していて自信のあったアルバイトを選び、1度やってみたのですが、本人的には一生懸命やったにもかかわらずやる気がないとみんなの前でいわれ、仕事を干された状態になったことがより仕事に踏み込むことをより躊躇させてしまうようです。
ただ、あの時は病気を知らない他人が見れば活気のないスローペースな働き盛りですからある意味仕方ないかなあとも思うのですが。
薬はリスパダールと眠剤を飲み始め程度の維持量まで減り4週間に1度の受診をしています。
話すこと1つ1つにどういう意味?と深読みしていましたが今は冗談を言ったりニコニコするようになってきました。
2人の関係も仲良しから避けるか攻撃する関係となっていましたがうまく距離が取れるようになっているというかお互いの距離をとりつつも思いあう感じがでてきました。
症状も落ち着いているせいか、お互いに影響しあうこともみられなくなっています。
一卵性双生児は同じ遺伝子を持つと聞きます。
だから同じ病気になるのはわかる気がしますが出る症状が違い、効く薬も違う。
なんだか不思議なところもありますね。
「治療すれば初めの症状は必ずおさまる」といわれるのが今の状態かなと思うのですが、この言葉にどれだけ勇気づけられたことか。
例え最初の症状と限定されても「絶対おさまる」という言葉はこのはちゃめちゃな状況が必ず終わるときが一旦は来るんだと何度もすがるように読みました。
これからはどう経過していくのか、なってみないとわからないですが受診も内服もきっちり行うまじめな2人の性格が良い方へ結果を出してくれることを願うばかりです。
とても冷静に客観的に、でも相手のことを思って書かれているこちらのHPの姿勢に信頼を置いています。
どうしても家族のエゴや期待、否定する気持ちはぬぐえません。それでも現実として正しく病気を受け止めるために自分も冷静にできるだけエゴを混ぜずに理解するために本当に助かり、頼りになる存在です。今後も是非続けていただけることを期待します。
林: 経過を詳細にご報告いただきありがとうございました。また、私のサイトを評価していただき光栄です。
私のサイトに価値があるとすれば、その大部分は公開を前提として皆様からいただくメールにあると私は強く考えております。そして、この【0904】のように、経過のご報告をいただきますと、私にとっても、また読者の方々にとっても、非常に有意義だと思います。本当にありがとうございました。もし可能なら、今後もご報告をいただければ幸いです。また、私の微力でも何らかのお役に立てそうであれば、ご質問にお答えしたいと思います。お二人のこれからの経過が良好であることを願っております。