精神科Q&A

 【0867】とても苦しいのですが、通院を躊躇しています


Q:24歳女性です。大学を卒業して、小学校の教員をしています。今年3年目です。

幼少時から、なにか「生きづらさ」のようなものを感じることがありました。もともと、内気な方だったので、そのせいだと思っていました。今思いつくのは、たとえば、以下のようなことです。

・体の調子が悪くても、家族(血のつながりのある、ごく一般的な家族です)に心配をかけたくない(されたくない)ので、言い出せない。疲れた顔を見せたくないので、わざと明るく振る舞ってしまい、余計に疲れてしまう。

・友だちに相談されることは苦痛ではないけれど、自分の悩みなどを話してしまうと、友だちが重荷に感じるのではないかと思って言えない。

・自分がいても、みんなは楽しくないと思ってしまい、遊びの輪の中に入っていけない。

・・などです。

中学くらいまでは、勉強も、稽古事も、それなりにがんばってきたような気がしますが、それが、ここ数年になって(大学〜就職してから特に)、あまりがんばれなくなりました。朝早く目が覚めてしまったり、急に感情があふれ出てしまうような感覚に襲われたり、悪夢を見たり、そんなことが多くなりました。出勤の途中で、「このままカーブにつっこんでしまってもいいかな」と思ってしまうこともありました。昔から読書好きだったのに、読んでもちっとも頭に入らない、頭が働かない、のもつらく感じていました。もしかしたら、わたしは精神的に病気なのではないかと思い、3ヶ月前くらいに精神科をたずねました。

とても穏やかな感じの先生だったのですが、「今、一番つらいことはなんですか」と、質問されると、『自分はもっとがんばらなくちゃいけない』『心配かけちゃいけない』という気持ちがいっぱいになってしまって、『大丈夫です』と笑ってしまいました。その後先生はしばらく、待ってくれましたが、何も話せませんでした。その日はパキシル、とメイラックスという薬を2週間分もらい、先生からは「相談したいことをメモしてきてもいいですよ」と言っていただき、帰りました。病名は特に言われませんでした。

薬は、3日間くらい飲みましたが、薬に頼っちゃいけないと思い、やめてしまいました。2週間後の受診日も、迷惑かけてはいけない、という気持ちと、相談のメモをどうしてもかけずにいて、行くことができませんでした。

そのあと、順調に過ごしていて、ああやっぱり自分が甘えていただけなんだと思い始めていましたが、ここ一ヶ月くらい、また色々な苦痛が現れ始めました。なんだか、すぐに疲れてしまったり、楽しい内容の話でも、聞いていると苦痛な気持ちで胸がいっぱいになってしまったり、頭が思うように働かず、仕事が手につかないこともあります。また、夜中、だるくて目が覚めることがあります。どんな体勢をしても落ち着かず、ベッドから起きあがったり、部屋を動き回ったりせずにいられません。そのときは、本当に、つらくて、泣きたいような気持ちになります。そんなことが続いて、仕事にも集中できなくなったため先日、メモをもって受診しました。

メモをみた先生は、ちょっと薬を変えてみましょうといって、デパスというのを朝晩、食事後に飲むようにと一週間分出してくれました。先生に迷惑をかけると思うと来られない、という話もしたところ、「私も仕事だから、気にしなくていいから、一週間後、また来てくれますか」と声をかけてくださいました。

『一週間後に行かなかったら、先生との約束を破ることになるのではないか』という気持ちと『来ない=元気になった、ということだから、その方が先生は安心するんじゃないか』という気持ちがあります。

・・苦痛な色々なことから、誰かに助けて欲しい、のですが、そうすることもなんだか苦しくて、どうしたらいいのかわかりません。単に性格の問題で、自分が未熟だからいけないような気もします。けれど、薬が処方されている、ということは、わたしは、病気なのでしょうか?通院をした方がいいのでしょうか?


: あなたはうつ病の可能性が高いと思います。必ず通院を続けてください。

朝早く目が覚めてしまったり、急に感情があふれ出てしまうような感覚に襲われたり、悪夢を見たり、そんなことが多くなりました。出勤の途中で、「このままカーブにつっこんでしまってもいいかな」と思ってしまうこともありました。昔から読書好きだったのに、読んでもちっとも頭に入らない、頭が働かない、のもつらく感じていました。

これは、うつ病の始まりとしてよくあるパターンです。

精神科の初診の時、

「今、一番つらいことはなんですか」と、質問されると、『自分はもっとがんばらなくちゃいけない』『心配かけちゃいけない』という気持ちがいっぱいになってしまって、『大丈夫です』と笑ってしまいました。その後先生はしばらく、待ってくれましたが、何も話せませんでした。

とのことですが、この先生はあなたの状態を正確に把握されたのだと思います。
 うつ病の診断は、言葉で表現された症状をチェックしていくと思っている方も多いのですが、本当の精神科の診断はそういうものではありません。

その後先生はしばらく、待ってくれましたが、何も話せませんでした。

このように、言葉で表現されなくてもかなりの診断がつくことは充分あるのです。

その日はパキシル、とメイラックスという薬を2週間分もらい、先生からは「相談したいことをメモしてきてもいいですよ」と言っていただき、帰りました。病名は特に言われませんでした。

病名は特に言われなくても、処方の内容から考えれば、うつ病か、少なくともうつ状態にあると診断されたのでしょう。メモのことをおっしゃったのは、あなたが面と向かって言葉では表現しにくい状態にあると判断されたのでしょう。

薬は、3日間くらい飲みましたが、薬に頼っちゃいけないと思い、やめてしまいました。

これはまずかったですが、まだまだやり直しはききます。
このあとまた症状が強くなってきたようですが、再受診されたのはとても良かったと思います。

先生に迷惑をかけると思うと来られない、という話もしたところ、「私も仕事だから、気にしなくていいから、一週間後、また来てくれますか」と声をかけてくださいました。

先にお書きしたように、この先生はあなたの状態を正確に把握しておられると思います。ぜひこの先生の指示に従うべきです。

『一週間後に行かなかったら、先生との約束を破ることになるのではないか』という気持ちと『来ない=元気になった、ということだから、その方が先生は安心するんじゃないか』という気持ちがあります。

その方が先生は安心するんじゃないか というように、ご自分の病気を治すことよりも、医師を安心させることを考えてしまうのは、うつ病の方に少なからず見られることですが、当然ながら病気を治すことを最優先とすべきです。

病気なのでしょうか?通院をした方がいいのでしょうか?

必ず通院を続けてください。それによって、あなたの現在の苦しみは消えていくはずです。


その後の経過(2006.6.5.)


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