精神科Q&A
【0826】境界性人格障害なのですが、親との距離を置くための入院は無意味でしょうか
Q:
私は35歳 女性です。29歳のとき境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)と診断されました。今は、県外の病院へ人格障害に詳しい専門医に、月に1回診てもらっています。1時期は「80%回復した。」と医師から告げられ、私自身は病気が良くなり喜んでいたのですが、両親からは「これから仕事はどうするんだ」としつこく言われ、毎日、激しい喧嘩をするようになりました。その喧嘩に耐えられなくなり、私は自分を「死」へ追い込むような行為を繰り返すようになりました。最近、2回ほどオーバードーズでICUに入院しました。今、まったく自分が立ち直る気力が無くなってしまい、同じボーダーの子が良くなるのを知ると、悲しくて、悲しくて・・・。食事もまともに摂れません。
最近、主治医から「オーバードーズと自殺企図は止めなさい」と言われ、約束しました。約束は守るつもりですが、親は「先生と何を話してきたんだ?」としつこく問いただすし、私が過敏になっているのをわかっているはずなのに、「こんな歳にもなってふらふらとして、職にも就かないで」と、腹の立つことばかり言われます。こんなとき、本当は嫌なのですが「入院をして親から距離を置く」という方法は如何なものでしょうか?もちろん、ボーダーラインが入院するのは決して病気が良くなる為のことではないということは承知ですが・・・。
林: 入院とは、さまざまな目的でなされるものです。あなたがお考えのように、
「入院をして親から距離を置く」
というのも、状況によっては立派な理由になります。
そしてあなたの状況を見ますと、家庭の環境が病状の不安定さにつながっているようです。ご両親の理解も不十分なのでしょう。あなたの治療にはご両親の参加も必須だと思います。入院して距離を置き、そしてその間に医師からご両親へも何らかの働きかけをしていただくというのが、適切な方針だと思います。
なお、ご両親からは
腹の立つことばかり言われます。
というあなたの受取り方のほうが実は問題であるという可能性も否定はできません。そうだとしても、そのことを冷静に考えるためにも、入院は適切な手段ということになるでしょう。