精神科Q&A
【0824】家事だけができない義姉は擬態うつ病でしょうか
Q:
私は28歳の既婚女性です。
相談は実家に住む32歳の義姉のうつ病についてです。
現在私の実家で両親と暮らしている義姉は、結婚前からうつの症状(眠れない、朝起きれない、家のことができない、食欲がない、頭痛、だるさ等)があり、当時仕事はしていたものの休みがちで実家のご両親には「わがまま病、単なるなまけ者だ」と言われてきました。
しかし、私の兄は「義姉はうつ病なのではないか」と思い、専門書を読んだり相談窓口へ行ったりした後、嫌がる義姉を辛抱強く説得して、結婚後医師の診断を受けさせました。
医師の診断「うつ病」。現在、服用しながら月に1、2回の通院をしています。
実家の父は、現在単身赴任で遠方におり、実家では母・兄・義姉で生活していますが、うつ病の姉はほとんど部屋から出てこないので、普段の生活はフルタイムで働く母が帰宅後と休日に家事一切を行っている状態です。
当初、「病気だから家事を手伝わせたり、励ましたり、何もしないことを責めたりしないで欲しい」と兄に強く言われていた為、母も私も義姉のペースを脅かさないよう慎重に接してきましたが、最近「本当に病気なのだろうか?それとも良くなっている状態なのだろうか?」という疑問が頭から離れません。
というのも、普段は体調不良を訴え(今では訴えることもなくなりましたが)家事等ができないのですが、ほかの出来事は普通にできるのです。たとえば・・・
・兄の休日には二人で外出する(映画や遊園地、ショッピング、飲み会など)
・自分のための買い物はできる(夕飯の材料とかではありません)
・自室で一日、テレビを見たりゲームをしたりマンガを読んだりしているらしく、その内容などについて私に話をしてくる(今日も一日寝てました・・・などの報告も)
・自分の実家に一人で新幹線で帰り、そのままご両親と温泉旅行にいく
・趣味(パッチワークや園芸)の活動はできる 等
それでも兄は、私達に「自分がやりたいと思う事さえ体調不良で出来ないことも多い。過呼吸発作もあるし、夜も良く眠れないようだ」と言いますので、治療のためと思い母も我慢している状況です。
服薬を2年近く続けている現在も、2年前と状況は変わっていませんが、素人目にはわからないゆっくりした速度で病気が良くなっているのでしょうか?
それとも、最初からうつ病ではなかったのでしょうか?
このような生活があと何年も続くのかと思うと、母も疲れきってしまい(体力的にも精神的にも)弱音を吐き始めています。
兄は家事に協力的ですが、時に義姉をかばおうとして母に厳しい言葉を言う事が増えました。
このままでは、家族の気持ちがバラバラになってしまいそうです。
義姉の状況が病気の回復傾向だとしても、病気でない(擬態うつ?)にしても、このような家族をもった者として、どのように行動するべきなのかアドバイスをお願い致します。
林: 家事などの義務だけが出来ない。それ以外の、自分の好きなことは大体できる。これはご指摘のように擬態うつ病の可能性は強いでしょう。けれども、うつ病からの回復期に一時的にこうした状態になることもありえます。この【0830】の記載内容からは、その判別は難しいですが、どちらかというとうつ病ではない可能性のほうが強そうです。
お兄様の見解はどうなのでしょうか。うつ病であると信じておられるようですが、それは擬態うつ病の可能性も吟味した上で、それでもやはりうつ病であると判断されているのかどうか。これを確かめる必要がありそうです。
このような生活があと何年も続くのかと思うと、母も疲れきってしまい(体力的にも
精神的にも)弱音を吐き始めています。
このような状態では、単にお義姉様をいたわり続けるという選択肢は不適切でしょう。またそれがご本人のためになるかどうかもわかりません。
お義姉様ご本人とお兄様が、現在と今後をどう考えておられるのか。それをご家族の間で一度きちんと話し合われることが必要だと思います。