精神科Q&A

【0786】精神障害での年金申請で、身体的介護の必要さ加減が障害の軽重を意味するのでしょうか(【0678】のその後)


Q【0678】統合失調症の病状は、「知能」的活動の表れで推し量れるものでしょうかでご回答いただきました者です。たいへん参考になりました、ありがとうございました。
 その後、売りに出していた家は売れ、気候にも馴れ、若干ですが体調は回復しました。
 年金については、先生のご回答と、他にもいろいろな文献・他の人の体験などを参考に熟考し、もう一度、主治医に相談してみました。
しかし、3ヶ月経っても気乗りしないような返答しか得られず、診察室を出たあともしばらく立てない状態で泣いてしまいました。
 いつも通りの薬を処方され、このままではどうすれば良いのか?どうしよう?どうやって生きていけるの?と、押しつぶされる様な思いを抱えて病院を出て、その足で向かった先は市役所でした。

 医師が言った、「ウチ程度の病院で書かれた診断書では認定されない」・「あなたより重い状態の人が受けるもの」・「これだけまとまった文章を書いて、それだけ考えを話せるなら症状は軽い」・「またしばらく様子を見ましょう」(これは毎回、必ず言われます)というセリフや、だからといって実際に就労出来ない状態・状況にあることは変わらず苦しいことなどを、窓口の(中では詳しいという)方にお話しました。
 結果、役所の窓口では当人の申し出があればもちろん書類をお渡ししますし、ここで
「あなたは年金を受けられません・受けられます」等とは言いませんので、どうしてもというのであれば、これを担当の医師に書いていただいて提出してください。と、診断書ほか一式を下さいました。
 また、その窓口の方によれば、どこの病院だから…という理由で裁定が変わることはありません、という事でした。

 診断書が1枚あたり何円かかるのか、見当もついていませんでしたが、母に相談したところ出してくれることになり、翌日病院へ行って「書いてください」と申し出ました。しかし、やはり渋るのです。
問い詰めると、「受給したら、あなたの就労意欲が削がれるのではないか、と思って」
いる、というのです。これについては、後日ネットで得た情報によると、受給した年金でギャンブルや高級志向にハマって身を持ち崩した人がいるらしい、という前例にもよるのかな、と考えますが…

 それはともかく、ネットで情報(主に他の患者さんの体験)を垣間見た中で、日常生活にある支障の程度が私と同じくらいと感じる方が、申請して2級を取得された という例をあげて、受給の可能性はあると思われるので書いてください、という説明もしました。
 すると医師は、「じゃあ、そういう病院へ行って書いてもらったらどうですか?」と言うのです。
 意味がわからなかったので問い返すと、「その、書いてくれる医師に書いて貰えばいいと思いますよ、申請が通るように書いてくれるのでしょ?」と言いました。
 私が「書いていただいて申請して通った方はいますけど、それを書いた医師・病院が何処かなんて知りません」・「それに初診からの診断書はこちらでしか書いてはいただけません」と説明すると、
「だったら初診(認定日)の診断書は書きますから、現在の診断書は、ウチではなく(大きな病院へ転院・入院して)書いてもらえば良いんじゃないかな?」と、なんだか突放すようにいわれました。
32条を適用されていない他の病院に転院(ましてや入院)するお金が有るなら、これほどまで年金に執着するまでもありません。「そんなお金、ないです」と言いました。
 「私は治りたいし、働けるようになりたいんです」・「先生がおっしゃるように、焦らず、時期をみて、自分に適した仕事をマイペースで…出来る、そんな環境をつくるために受給したいのに」と訴えると、ようやく診断書を書き始めてくれました。

 それでも、不愉快な時間は続きました。日常生活における障害の度合いなど、この医師は知りませんので、該当項目に○をつけるのには私が居なければいけなかったのですが、このときも未だ、"年金貰うほど重症じゃないでしょ"という感情を隠そうともしませんでした。
「食事は自分ひとりでは食べられないんですか? 誰かに口まで運んでもらわないと食べれないんですか?」・「お風呂も自分ひとりでは入れないんですか? 1週間とか2週間とか入らなくて、家の人に服を脱がせてもらわないと入れないんですか?」・「買い物もひとりでは全然できないんですか?」などのような聞き方で、いかにも「あなたはそんなにひどくはないんでしょ?」という決めつけを前面に尋ねられ、非常に不快でした。

 私が診断書を事前に読んで感じた障害程度では、"適切な援助"="その都度の助言・ないし手助け"という意味に思いましたので、それならば必要だ、と考えるのです。なのに、医師はあくまで="身体的な介護"の域を"援助"の意味に用いていた、と感じます。
身体障害ではなく精神障害での年金申請で、上記のような身体的介護の必要さ加減が、果たして障害の軽重を意味するのでしょうか?
 もちろん、このような介護・介助を必要とする、重度の精神障害状態という場合もあるのは分かります。そのような方こそ、社会的保障を得て、可能な限り健やかに日常を送られるべきとも思います。
 けれど、傍目にありありと重度の障害がなくても、日常生活が苦痛で困難ならば、求められる限りの支援を社会に求めても、誰に非難されることでも無いですよね?とくに、日常で傍目(この医師のように表面のみの傍観者)には、働けるんじゃないの?と思われていること自体が、比較的軽い症状の精神障害を患っている身には、苦痛でなりません。

…なんだか、質問や報告というよりはグチの部類という気がすごくしますが、ご容赦ください。
ちなみに診断書は2枚で(遡及請求したので)二万円でした。これも後日、医療機関によって異なるが5千〜1万円程度、と知りましたが、正直高すぎだと思っています。今後、もし受給できたら、診断書等の安い公立の医療機関に転院を考えています。

今回わたしがいちばんお聞きしたいことは、
・診断書にある"適切な援助"とは、傍目にも分かり易い"身体的な介護(介助)"のみを
さして使われているのでしょうか?
という点です。

なお、前回【0678】でご指摘をいただきました「具体的に妄想・幻聴・幻覚とはどんなものだったのか、書かれた方が、より良い回答が〜」ということについて、普段は思い出さないように(回想によって感覚が生々しくよみがえるので)していたため、書き添えられず、申し訳ありませんでした。
 過日思い出したものとして、一例を追記します。誇大妄想だったと思いますが、
・過度の神経緊張から、摂食障害気味に食べると吐いてしまっていた頃、TVで北朝鮮
のニュースを見ていた食事時のこと。うろ覚えですが、
 北朝鮮が陸路?での食糧支援輸送を拒んでいる、といった様子の報道。それが自分の食道から胃への食べ物の流れを、同様にここから先は×"と感じて、胃に入っていくことを拒んでいた。そして、ニュースで北朝鮮、北朝鮮と繰り返しアナウンスされているのを聴いている内に、ふと疑問を感じて、母に「あれは北朝鮮の事で、私の胃の話じゃないんだよね?胃に通して良いんだよね?」と訊き、母にそうよ、と頷かれてから、やっと安心して飲み込めるようになり、その食事は吐かずに済んだ。
幻聴はいろいろで…救急車のサイレン、FAXの送信中の音、外国映画のドアベルの音、私に向かって笑う声・怒鳴る声・死ね等と命令する声、実際には無かった郵便物がポストに入る音 などです。
幻覚で一番多いのは、空間がひずむ・広がる・別の場所になる、虫がいる など。虫は、小さなものが視界に入るが居なかったり、横になっていて 自分より大きなダニのようなものが覆い被さってきたり、何かを開けた瞬間 中に溢れるほど蜂がいたり、というものです。

先日は、駅から家まで歩いて帰る途中、ずっと、誰かしらが交互に見張って尾行してきている感じで、恐かったです。妹にそのことをメールで言いながら、なだめられながら、どうにか帰宅しましたが、偶然 私の帰宅と同時に来た某・集金の方も、実は尾行の一人だと思いました。
今日は 先日と同じ大通りで、同じように後ろからスケボーで直ぐ脇を追いぬかれ、
同じように先に家へ続く角を曲がられました。結構なスピードで突然現れるので
なおさらビックリしますし、やはりあのスケボー青年も、途中のコンビニ店員も…
私を見張っていると思います。何故でしょう…。いえ、これも妄想なのでしょうか。



診断書にある"適切な援助"とは、傍目にも分かり易い"身体的な介護(介助)"のみを
さして使われているのでしょうか?


違います。つまり、あなたの考えが正しく、あなたの主治医は間違っています。
たとえばあなたが挙げておられる食事を例にとりますと、おそらくあなたもお読みになったと思いますが、年金診断書には以下のように分類されています:

「自発的にできる・自発的にできるが援助が必要・自発的にはできないが援助があればできる・できない」

そして重要なことは、年金診断書には書き方の注意として、

「援助とは助言・指導をいう」

と明記されていることです。したがって、

私が診断書を事前に読んで感じた障害程度では、"適切な援助"="その都度の助言・ないし手助け"という意味に思いました

あなたのこの解釈は正しいです。

「食事は自分ひとりでは食べられないんですか? 誰かに口まで運んでもらわないと食べれないんですか?」

あなたの主治医がこの質問だけをもとにこの項目を判定しようとしていたとすれば、それは間違いです。

大変不愉快な思いをされたようですので、このような質問をされたくなる気持ちは理解できますが、実際にはいまこの回答をお読みになっても事実上はあまり意味がないのではないかと思います。それよりも、

今後、もし受給できたら、診断書等の安い公立の医療機関に転院を考えています。

これを私もお勧めいたします。

 なお、あなたご自身の症状を詳しく追記いただきありがとうございました。これをお読みした結果、あなたの診断名は統合失調症(精神分裂病)にほぼ間違いないと思います。これからも慎重に治療を続けていくことが必要です。

やはりあのスケボー青年も、途中のコンビニ店員も…
私を見張っていると思います。何故でしょう…。いえ、これも妄想なのでしょうか。


そうです、すべて妄想です。そして「妄想なのでしょうか」とあなたが半信半疑であることは、回復傾向を反映していると思います。必ず治療を続けてください。


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