精神科Q&A
【0661】二人の姉がうつ病なのですが、私は・・・?
Q:
40歳の女性です。自分がうつ病なのか、それとも更年期障害なのか(もしくは単なる性格上の問題なのか)、わかりません。
睡眠障害(入眠困難、眠りが浅い)、自己嫌悪や自信のなさ、罪悪感、無力感、孤独感、体の不調(肩こりなど)、将来に希望を持てない、生活を楽しめないなど、うつ病ではないかと思われる徴候があるのですが、仕事面に関しては--能力の限界を感じてはいますが--仕事が嫌だということはなく、逆に休日に気分が最悪に落ち込むことのほうが多いです。
私の問題は、とにかく夜いろいろなことを考えてしまって眠れないことと、気分が落ちこんで生活を楽しもうという気が起きないこと、自分に自信がないために親密な人間関係を築けないこと(したがって未婚)です。
家族環境について説明しますと、2人姉がおりましたが、真ん中の姉は18歳のとき、下の姉は33歳のときに自殺しました。真ん中の妹については、はっきりした原因はわかりませんが恐らくうつ病ではないかと思われます(今思えば、拒食症の徴候もありました)。下の姉の場合は、薬物中毒からうつ病になり、医師の治療を受けていましたが、快方に向かいかけたやさきに自殺しました。また母は、妹たちのことや、2000年に父が心筋梗塞で死んだあとに事業の借金から自宅を手放したことなどからパニック障害になり、現在も治療を受けています。その他、母方の叔父がやはりうつ病で自殺しており、また同じく母方の従姉妹が育児ノイローゼで精神科に入院したことがあります。
このように身内に精神的な問題を抱えている(いた)者が多いので、自分も同じなのではないかという思いにかられます。
前述したように、仕事ができないとか、通常の社会生活を営めない、といった問題は、私にはありません。しかし、毎日がむなしいばかりで、将来に希望が持てません。
このようなむなしさは最近になって始まったことではなく、真ん中の姉の死に端を発していると思われるので、慢性化してしまっているとも言えます。この数年で、さらに下の姉の自殺、父の死、多額の借金とストレスが続いたのですが、その渦中にいるときよりも、いくぶん生活が落ち着いてきた去年くらいから、よけいむなしさや無力感や罪悪感を感じるようになりました。
これまで、私自身は、専門医にかかったことはありません。診察を受けたほうがいいでしょうか?
林: 診察を受けたほうがいいと思います。
もっとも、あなたがうつ病であるかどうか、あるいは他の何かの病気であるかどうかは判断が困難です。
睡眠障害(入眠困難、眠りが浅い)、自己嫌悪や自信のなさ、罪悪感、無力感、孤独感、体の不調(肩こりなど)、将来に希望を持てない、生活を楽しめないなど、うつ病ではないかと思われる徴候がある毎日がむなしいばかりで、将来に希望が持てません。
これらは確かにうつ病の徴候ではありますが、いずれも項目のみの記載に近く、具体的な内容がよくわかりませんので、判断は困難です。文字でこのように書かれた場合には、あらゆる可能性が考えられます。
それでもあなたが診察を受けたほうがいいと私がお答えした理由は、やはりあなたの身内に精神的な問題を抱えている方が非常に多いという事実です。ここでも単に「精神的な問題」というとあらゆる範囲のものがありえますが、メールの記載から判断して、どの方も病気と診断できるレベルの問題だと思います。
それから、ある人が将来自殺する可能性があるかはどうしたら予測できるか、というテーマの研究はたくさんあるのですが、その最も強い因子のひとつが、「家族に自殺者がいる」ということなのです。ですから少なくともデータ的には、あなたの診断名が何であれ、自殺への注意が必要だということになります。
「自殺への注意」といっても、漠然として雲をつかむようではありますが、その第一歩として、あなたには受診をおすすめします。直接の診察を受ければ、適切な診断と治療のきっかけになると思います。