精神科Q&A

【0628】最初の医師にはうつ病と診断され、二人目の医師からは性格の問題だと言われました。それが耳を離れません。


Q: 31歳女性です。私自身のことについて、質問させていただきます。

数年前に妹を自殺で亡くしました。
その頃から、食欲がなくなったり、夜中に何度も目が覚めたり、下痢が止まらなくなったり、どもったり、めまいを起こしたり、不正出血が止まらなかったりと身体症状は出ていましたが、世界でいちばん大切に思っていた妹を失ったのだから、このくらいの反応は当然と思って、そのままにしていました。仕事に集中している時だけは悲しい気持ちにならずに済むので、仕事にも身が入っていました。

それから数年後(今から1年半ほど前です)、満員電車の中で押された状態で10分間我慢していて、震えが止まらなくなりました。今までにはまったくなかったことです。呼吸も浅くなり、息をするだけでも周りに不快感を与えてしまうのではと思いました。自動改札に定期券を入れるのもできないほど、震えていました。この時点で、体重が7kg減少していました(ダイエット等はしていません)。また、テレビやパソコンなどには一切興味がなくなり、唯一、仕事だけはいつも通りにこなせていた状態でした。

それで、自分の状態がおかしいと認めることとなり、最寄のクリニックへ通うことになりました。こちらのクリニックへは、1年間通いました。
その間、いろいろな薬を試してみて、およそ1ヶ月を目処に変更するなどの治療を受け、最終的に処方されたのは、以下のとおりです。
就寝前:ドグマチール100mg×2 メイラックス2mg×2 パキシル20mg×2 ルジオミール50mg×2 マイスリー10mg 
服薬を続けていて、一旦は、同僚との歓談にも混じれるほどに、元気になりました。私は治ったのではないかと思うほどに元気になった時期もありました。

しかし、季節柄ということで仕事が暇になってしまった時期があり、その頃から、また調子を崩してしまいました。
もともと、仕事を後に残すのが嫌で、すぐに片付けてしまう方でしたので、いくら探しても、仕事がありません。同僚の仕事を手伝おうと思っても、担当分野が違うため、能力的に手伝うことが不可能でした。
上司に「今までさんざん忙しい思いをしてきたんだから、こんな時くらいゆっくり休んでおけよ」と言われたのですが、他の皆が仕事をしている中、一人でぼんやり椅子に座っているだけでは給料泥棒になってしまうと、ひたすら仕事を探し続けました。

それが1ヶ月ほど続いた頃から、だんだんと、会社へ行けなくなってしまいました。起きて、支度までしても、また電車に乗って、一日椅子に座って、それで終わるのか……と思うと、行けませんでした。
そんな頃、一人で喫茶店にいた時に、突然「焦って空回りして消えてしまいたくて寂しくてたまらない」という気持ちになり、主治医のクリニックへ駆け込みました。そして、1ヶ月の休職をしてはどうかと言われ、すぐに休職となりました。この時点で、私の診断名は「うつ病」でした。

休職期間中は、だんだんと元気が出てくる感じがして、両親と雑談をするのも楽しく、早く会社へ復帰したいと思っていました。

翌月復職した当初も、やる気まんまんで出社しました。
1ヶ月休んだ分、仕事も溜まっていて、ますます元気が出てきました。
でも、1週間もすると、仕事はすべて片付いてしまい、また、仕事のない日々が始まりました。
暇つぶしにと、以前自分のした仕事をパラパラとめくって見ていたのですが、これを本当に自分が作ったのかと思うほど、何が何だか、わからなくなっていました。私にとっては最後の頼みの綱だった、仕事の能率までが落ちてしまったことに気付きました。

またパニック状態になってしまった私はクリニックへ駆け込み、今度は半年間の休職との診断書をいただきました。やはり会社は快諾してくれ、すぐに休職することができました。

休職期間中ではあったのですが、3年ほどお付き合いをしていた男性と婚約をすることになり、結納をしました。
彼の横顔を見ていて、「私が彼を壊してしまうのではないか」と急に不安に襲われたことがあり、主治医に相談したところ、「結婚前に一度同居してみたらいい。ぜひそうしなさい」と強く勧められました。受診のたびにそう言われるので、私もその方が治療になるのかと思い、新しくアパートを借りて、二人で引越しました。引っ越し先が遠方であったため、引越しに伴い、病院を変えました。

今度から通うことになった病院の先生は、キツイ物言いをするタイプの人でした。しばしば、「あなたも、もういい大人なんだから」とか「そういうの(泣いたりすること)、理性でコントロールできないの?」「あなたって、何でも人のせいにするのね」と言われることがあり、受診の帰り道に涙が出てくることが多くなりました。
また、病院の方針により、以前飲んでいた薬は出せないと言われ、薬がこのように変わりました。
朝夕:デプロメール50mg ルボックス25mg
就寝前:メイラックス1mg ハルシオン0.125mg マイスリー5mg×2 レンドルミン0.25mg
死にたい気持ちが、日に日に強くなってきて、それを相談したところ、「生きるべきか死ぬべきかなんて、まるでシェイクスピアみたいね」と笑われたのが、とても悲しく、印象に残っています。
この先生のつけた診断は「睡眠障害、抑うつなどの症状はあるが、あなたは病気ではない。すべて性格の問題である」でした。
ここには4ヶ月通いましたが、とうとう病院へ行くのも、医師の顔を見るのさえ怖くなってしまい、体調も悪かったことから、実家へ一度戻って、実家近くの病院を探しました。
半年の休職期限は切れていたのですが、この状態では復職は無理ということで、もう半年、休職期間を延長することになりました。些細なストレスに極端に弱くなり、それだけで体が動かなくなり、指1本動かすのがやっと、というくらいまでになってしまっていました。

そして今、実家の最寄のクリニックへ通っています。
まだ初診を受けただけなので、これからどうなっていくか、よくわかりません。
ただ、薬だけは、以前処方されていたものに戻してもらいました。
就寝前:ルジオミール25mg パキシル10mg×2 メイラックス1mg レンドルミン0.25mg マイスリー10mg
です。

現在の症状は、このような状態です。
夜はまったく眠れない。睡眠剤もまったく効かない。明け方まで起きている。そのため、朝から眠ってしまい、いい時は昼2時頃、悪い時は夜7時頃まで眠ってしまう。
布団から一歩も出られず、布団とトイレと台所と風呂場へ行くくらい。
お風呂にも入らない日が多い。
テレビやパソコン等には、相変わらずまったく興味がない。
家事をこなすと少しは気が紛れて元気になるのだが、家事を終えてしまうと、
何かすることはないかと、家中をウロウロ確認してしまう。
本当に何もすることがなくなってしまうと、あとはただ横になっているだけ。
些細な一言でも、悪い方へ受け取ってしまい、反省してしまう。
彼を私が壊してしまった、私は死ななければいけないと思う。
下痢をすることが多い。
彼に、「病気が治ったら、また一緒に暮らそう。そして復職できたら結婚しよう」と言われたため、それを苦痛に感じてしまう。

たいへん長くなってしまいました。申し訳ありません。
症状だけを見ると、うつ病かなと自分で思うことがあります。
けれど、どうしても、2軒目の医師に言われた「性格に問題がある」という言葉が耳を離れず、本当は元気なのに、甘えて寝ているだけなのかも……と、どうしても考えてしまいます。今通っている医師の診断が出たら、それを素直に受け止めようとは思っているのですが、診断が出るまでには時間がかかるということですし、その間の不安が拭えません。

私は擬態うつ病でしょうか? うつ病でしょうか? それとも、何か他の病気でしょうか?
それとも……、本当に、単なる異常性格者なのでしょうか。
ご意見をいただければと思います。長くなってしまい、申し訳ありませんでした。


: あなたはまず間違いなく、うつ病だと思います。性格の問題ではありません。うつ病の治療を受ければ治ります。

このメールに書かれている症状は、ほとんどすべてが、うつ病に典型的なものです。これらの症状があなたの主治医に伝わっていれば、その医師が精神科医であれば、うつ病でなく性格の問題と判断するというのはちょっと信じられません。典型的なうつ病です。

なぜこのような状況になってしまったのか考えてみますと、ひとつは大変失礼な推測ですが、このメールにあなたが書かれた情報がかたよっていることが考えられます。つまり、この内容以外に、決定的にうつ病でなく性格の問題だと判断されるようなことが実はあり、あなたの主治医がそれをもとに診断しているということです。これは、メールで相談を受ける限りはどうしても避けられない問題です。

しかし、おそらくそうではないでしょう。
そうしますと、もう一つ考えられるのは、あなたの今かかっておられる医師が、精神科とは名ばかりで、実は精神科医としての知識も臨床能力もない(医師であれば、本来自分の専門ではない科を名乗っても違法ではありませんので、こういうことは十分あり得ます) ということです。メールに書かれている対応全体を通してそう感じられるのですが、さらに私がそう考えたくなる理由のひとつとして、これがあります。

病院の方針により、以前飲んでいた薬は出せないと言われ、薬がこのように変わりました。

こんな方針は信じられません。以前飲んでいて有効だった薬があれば、それを処方するのが当然でしょう。特にあなたのケースでは、以前の薬は決して偶然有効だったわけではなく、

いろいろな薬を試してみて、およそ1ヶ月を目処に変更するなどの治療を受け、最終的に処方された

という経緯があるわけですから、この時の処方が最善に近いと考えるのが自然なことです。

幸い、主治医が変わり、現在は元の処方に戻していただいているようですので、今後はあなたの病状は改善に向かうと思います。二軒目の医師のことは悪夢だったと思ってすべて忘れ、うつ病の治療を続けてください。あなたの今の症状はすべて治ります。



精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る