精神科Q&A
【0077】 統合失調症(精神分裂病)になりました。就職で気をつけることは何ですか
Q: 28歳の男性です。昨年統合失調症(精神分裂病)を発症しました。病院に行きセレネースを二週間ほど飲んで陽性症状は消失しました。今はセレネース0.75ミリグラムを2錠とアキネトン1ミリグラムを2錠飲んで、専門学校に通っています。来年には就職したいと考えているのですが、その場合どんなことに気をつけたらいいでしょうか。それとも普通の就職はあきらめるべきでしょうか。私がインターネットで調べた限りでは、就職がうまくいっている人はほとんどいないようなのですが。
林:普通の就職はあきらめるべきでしょうか。
そんなことはありません。今はほぼ安定しておられるようですので、今後は再発の防止が重要になります。統合失調症(精神分裂病)の再発防止には、薬物療法と心理社会的療法(カウンセリングなど)が必要です。どちらも同じように大切ですが、必須なのは薬物療法で、「薬さえ飲んでいれば何でもありません」という統合失調症の人はたくさんいらっしゃいます。薬だけでは効果が不十分な時、または薬の効果を高めるために、心理社会的療法が必要と考えてもいいでしょう。つまり、統合失調症の治療の基本は薬物療法だということです。
したがいまして、職業を選ぶときは、薬を続けられる仕事を選ぶことが第一に大切です。特に再発しかかったときなどには薬を飲み、あるいは薬の量を調整することが必ず必要です。私がインターネットで調べた限りでは、就職がうまくいっている人はほとんどいないようなのですが。
それは全くの間違いです。普通に就職している統合失調症の人はたくさんいます(たとえば【0468】の方)。もしうまくいっていないという情報ばかりが目についたとすれば、それは、情報を発信するのはうまくいっていない人のほうが多いということでしょう。うまくいっている人はあえてご自分が病気であるとを公開しようとはしないことの方が普通ですから。
それから、もうひとつ、これはあなたには当てはまらないかもしれませんが、陰性症状が強い場合には、別の配慮が必要になります。微妙な人間関係が苦手のことが多いので、できれば比較的ひとりで自分のペースでこつこつやれる仕事の方がいいでしょう。たとえば統合失調症の有名人で紹介したジョーン・ナッシュは、妄想が激しく入院したこともありますが、数学者としてその後も学究を続け、ノーベル賞を受賞しています。